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その66

お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

テルやヒロキも「自分だったら、耐えられない。」と。

僕らは朝までダブルヤマシタ問題を、グループメールで話し合った。

この会議に、男ヤマシタにも参戦してもらおうかと思ったけど、それは「酷だ」となった。


眠すぎて体が重たい朝だけど、教室に着くと、男ヤマシタは自分の席で勉強をしていた。

女子のヤマシタさんは、仲の良い友達と普通にケラケラ笑って話している。

どういう神経してるんだ。

見損なったよ!ヤマシタさん。

僕とテルとヒロキは、早速ヤマシタのところに集まり、一緒に静かに塾のテキストでわからなかった箇所などを、もう一度おさらいしたりした。

そうだよ!僕達は受験生なんだもん。

これからは勉強!勉強!勉強に打ち込まなくちゃね。

そう思いつつ、僕もテルもヒロキも時折手を止め、女子のヤマシタさんをチラリと見た。

すると、必ずと言っていいほど、目が合う。

やはり、別れたとは言え、元彼が気になるらしい。

だが、男ヤマシタは、別れた彼女が一緒の教室にまるで存在していないかの様にしている。

彼は冷静だし、決してそちらの方を見たりしない。

ただただ、黙々と僕らと一緒に問題を解いてゆくだけ。

そんな姿が、どことなく哀しくて切なかった。

ダブルヤマシタが別れたというニュースは、瞬く間に学校中に知れ渡った。

2人が付き合い出した頃、散々揶揄った奴らは、またしても別れたことで2人それぞれを揶揄った。

男ヤマシタの方は、相変わらず平然とかわして相手にしないけれど、女子のヤマシタさんは、いちいち反応しては動揺し、泣き顔を見せては男ヤマシタに助けてもらいたいといった素振りを見せた。

「厚かましいにも程があるよ!」

僕が憤っていると、テルとヒロキが「まあまあ…その話題はさ…ちょっと…。」とたしなめ、すぐに違う話題を振って、なるべく明るく装った。

一番傷ついてるのは、男ヤマシタだったね。

そうだった、ごめん、ごめん。


女子のヤマシタさん側の連中の中には、「元さや」に戻したい人も何人かいて、彼女達なりにヤマシタさんを説得ってのか、「謝って、また付き合ってもらいなよ。」なんて言ってみたりしていた。

けれども、ヤマシタさんが首を激しく横に振るので、「そう、じゃ、知らな〜い。」と離れていく人も出始めた。


重い苦しい日が数日続くと、周りもだんだん慣れてきていた。

そうなってくると、元バスケ部だった鮎川などのチャラい系の男子が、やたらヤマシタさんに絡んでいた。

「ねえ、ねえ、もう、ハルオと別れたんでしょ?だったらさ〜、俺と付き合わない?ねえ、いいっしょ?付き合おうよ〜!ねえ、まゆちゃん。」

「え〜…そ、そんな、急に、言われても…。」

戸惑いながらヤマシタさんが、チラチラ男ヤマシタの方を見ている。

けれども、男ヤマシタは絶対にそちらを見ない。

「あ、あの…ご…ごめんなさい…あの…今は…ちょっと…その…なんて…言うのか…その…。」

そこまで言いかけたヤマシタさんは、急に教室から走って出て行った。

「な〜に?どうしたの〜?」と、他の女子。

「ん〜、なんか知らねえ〜けど、いきなり飛び出して行っちゃったよ〜、何で〜?全然意味わかんないし。」

「鮎川、あんた、まゆにしつこくしたんじゃないの〜?」

「え〜、全然、俺、まゆちゃんに嫌われる様なこと、全然言ってないし…っつうか、何?あの態度?まゆちゃん、感じ悪〜…俺、付き合おうかと誘ったけど、やっぱや〜めた…なんか気分悪いし…。」

「じゃあ、あたしと付き合う〜?」

「え〜、マジ勘弁!無理!無理!あはははは。」

僕は、あいつらと一緒の空気を吸うのも嫌だと思った。

ふと、男ヤマシタの手元に目がいった。

あいつの持っていたシャーペンの芯が、力一杯ボキッと折れて飛んで行くのが見えた。

最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続きお読みいただけたら嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。

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