その63
お話の続きです。
どうぞ宜しくお願い致します。
女子のヤマシタさんは「まゆ」ちゃん。
男ヤマシタが言うには、「まゆ」ちゃんこと、女子のヤマシタさんから、放課後いきなり、何の前触れもなく、「別れたい。」と切り出されたそうだ。
理由を尋ねると、「ハルくんが浮気したから。」と。
ヤマシタは「ハルオ」だから。
男ヤマシタは「はて?」と思って、「まゆ」ちゃんに深く聞いてみると、桜田先生と距離が近かったから。何だとか。
女子のヤマシタさんと、男ヤマシタは違う班。
ヤマシタさんがテキパキと半ズボンの製作に取り組んでいる時、チラチラ見ると、男ヤマシタがモタモタしている。
女子のヤマシタさんが手伝いたくなるぐらい、もたついている。
もどかしいけれど、授業中、よその班の手伝いは禁物。
自分と同じ班の人の手助けをするのが鉄則。
男ヤマシタの班は、ほぼ全員、モタモタしていた。
男子も女子も関係なく、裁縫が苦手な面々が集まっちゃったみたい。
見兼ねた桜田先生が優しく、特に男ヤマシタには特別優しくしていた。と言い張るヤマシタさん。
自分の彼氏と先生が親しくしているのが、女子のヤマシタさんが言うところの「浮気」だそうで。
「え〜っ!そうなの〜?たったそれだけで〜?」と僕が言うと、ヒロキが続けて「先生以外にも、同じ班の女子とも話したりしてんのにね。」と言った。
「ん〜…。」
ヤマシタは腕組みをしている。
「…で?どうすんの?まさか、本当に別れちゃうって訳じゃないよねえ?」とテル。
ヤマシタによると、「まゆちゃんがそう言うなら、それに従う。」とのこと。
ヤマシタ以外の一同、「えーっ!何で〜?」と叫んだ。
「そんなのおかしいよ!何で、ヤマシタさんの言った通りにするの?好きなんでしょ?好きなら、別れたくないって言えばいいのに。」
そう僕が言うと、ヤマシタは静かなトーンで、「…だって、まゆちゃんが好きだから…好きな彼女がそうしたいって言うんだったら、そうしてあげるのが一番だと思うから。」と続けた。
えっ?何?その考え方?と思ったけれど、よくよく考えてみると、「好きだから、好きな人の願いを叶えてあげたい。」って言う、ヤマシタなりの彼女への優しさなのだとわかった。
かっけ〜!ヤマシタ!
さすが!男の中のヤマシタ!
僕には、男ヤマシタが侍の様に見えた。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。
お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




