その61
お話の続きです。
どうぞ宜しくお願い致します。
塾にて。
玄関から廊下を行くと、僕らの教室から灯りが漏れてる。
後ろの隅っこの席に男ヤマシタの姿。
あれ?女子のヤマシタさんは?いつも並んで座ってるのに。
男ヤマシタを見据えて、僕が教室に入ろうとした瞬間、廊下の反対側にいたテルとヒロキに脇を抱えられ引きずられた。
「えっ?えっ?ちょっ、ちょっ、ちょっと〜…。」
ずるずると教室から離れた場所まで連れて行かれると、テルとヒロキが神妙な面持ちで僕を強引にしゃがませた。
「シーッ!シーッ!シーッ!ニッキ、声デカいよ〜!」
そういうテルの方がデカいじゃないか。
「いいから、ちょっと、黙って!黙って!」とヒロキ。
「何?どうしたの?」
僕が小声で聞くと、テルが真顔で「ダブルヤマシタ、なんか別れるかもって。」と言い出した。
「えっ!うそっ!」
「だ〜か〜ら〜、ニッキ、声デカいって!お口にチャックして!チャック!」
そう言って、テルは僕の口を摘んだ。
僕は、黙って静かに2人から事情を聞いた。
「なんかね…。」
テルが小さな小さな声で、語り始めた。
「半ズボン」の授業中、男ヤマシタがやたらと桜田先生と接近していた。
と言うのが、女子のヤマシタさんには面白くなかった模様。
「そうかなあ?」
僕は授業の時を回想した。
桜田先生は、男ヤマシタばかりに関わってた訳じゃないと思った。
男子女子に関係なく、クラス全員のところに、満遍なく行って手伝っていた記憶が。
だって、ちゃんと僕のところにも、ミシンの下糸が絡まってありゃりゃとなってた時、助けに来てくれたもの。
まあ、母ちゃん先生もちょろちょろ助けてはくれたけど。
でっぷりした胸とか腹が、僕に当たってちょっと、いや、かなり嫌だったけどさ。
「ニッキは坂口さんばっか見てたから、わかんないかもしれないけど…。」
「えっ?えっ?ちょっと待って、ちょっと待って。何?それ?俺、そんなに坂口さんのことばっか見てた?え?嘘っ?見てない、見てない。俺、坂口さんのことなんか、ぜ〜んぜん見てませんでしたけど。ぜ〜んぜん、見てないし。」
僕の小声の反論に、テルが「まあ、自分じゃわかんないかもしれないけどさ。…で、女子のヤマシタさんが…。」と、さらっと話を続け出した。
僕は、僕の心は激しく動揺していた。
嘘だ〜、嘘、嘘。
僕、坂口さんのことなんか、絶対に絶対に、全然見てないって。
まあ、ちょっとは見たかも、しれないけど。
ちょっとだよ、ちょっと。
チラッと程度だよ。
そんな、そんな、何回もなんて見てないし。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。
お話はまだまだ続きますので、引き続き読んでいただけたら嬉しいです。
どうぞ宜しくお願い致します。




