その50
お話の続きです。
どうぞ宜しくお願い致します。
部活を引退してしまうと、帰りがだいぶ早い。
早く帰宅できるのは嬉しいには嬉しいけれど、ちょっぴり寂しい気もする。
勝手だなあ。
僕は、自分の心がわがままなのを思い知る。
ヒロキはまだリハビリが必要な様で、なかなか一緒には帰れない。
「そっかあ。」なんてテルとだらだら歩いていると、前方からバレー部の後輩達がわっせわっせとランニング。
「お疲れ様で〜す!」の声に、こちらも「お〜う!頑張れよ〜!」と返す。
それがなんか妙な気分。
少し前まであっち側だったのに。
学校の敷地を過ぎると、この頃、どこから現れたのか、同じクラスの秋田さんと坂口さんの2人と合流する流れになっている。
秋田さんはすぐさまテルと並んで、「アンニョン11」の話をしだす。
「え〜!そうなの〜!知らなかった〜!へ〜!」
どうやら秋田さんは、テルの知らない「アンニョン11」と、「推し」の「ペヨン」ちゃんの最新情報を入手している模様。
すごいなあ。
僕は毎度、秋田さんの情報収集力に感心してしまう。
盛り上がっている2人の後ろを、僕と坂口さんがついて行く形。
僕達も、テル達の様に共通の「推し」がいるとかだったらよかったんだけど、本当にただのクラスメイト程度なので、お互いのことをよく知らないし、特に知りたいって程でもないし。
「なんか盛り上がってるね。」
僕は前の2人をぼんやり見ながら、坂口さんに話しかける様に呟いた。
それに答える形で坂口さんが、つまらなそうに「あ〜。」と返し、少し間を置き、続けて、「…だってりな…吉野君のこと…好…。」まで言いかけて、やめた。
えっ?えっ!
やっぱり!!!
秋田りなさんは、吉野テルが好きなんだ。
読みが当たったとばかりに、坂口さんの方を見ると、坂口さん、両手で口元を押さえてわなわなしている。
「ど、どうしたの?」
つい今しがたまで普通にだるそうだった坂口さんが、急に立ち止まって秋田さんの様子をじっと伺っている。
前の2人とだいぶ離れてから、坂口さんがようやくふ〜っと大きく息を吐いた。
クルッとこちらを見つめると、近づいて「住田君、さっきのこと、誰にも言わないでよ!言わないでよ!」と詰め寄って来た。
「えっ?さっきのことって?」
「だ〜か〜ら〜、りなが吉野君のこと好きだって話。」
「えっ?そうだったの?」
僕はとぼけて返した。
すると、囁き声だけど大迫力で「そ〜だよ〜!見てたらわかるじゃん!普通!」と迫って言う坂口さん。
「あっ…ははははははは〜…。」
こんな近くで坂口さんの顔を見たことなかった。
ちゃんと見ると、すんごく目がぱっちり二重で、まつ毛長いんだ〜。
ちょっぴり、ほんのちょっぴりだけど、テミジカミジカちゃんに似ている様な。
わざとらしく笑った後、コホンと一つ咳払いをして、なんとか元に戻った。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。
お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




