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その5

続きです。


「あ…ダメだわ。」

「ん?どした?」

「俺さ、17円しかないから、ジュース買えないや…ははは。」

テルは力なく笑った。

「あ〜じゃ…。」まで言いかけて、僕はハッとした。

僕だって230円しか持ってない。

自分の分は買えたとして、テルの分まではちょっと無理。

僕の動きが止まると、すぐさま気づいたらしいテルが言った。

「あ、俺はいいから〜、お前、買いなよ!ねっ!」

テルの優しい気遣いが、僕には重かった。

「あ、いいや、買わないかな!…それよりさ〜、あっちいから、とっとと帰ろうぜ〜!」

僕は無理して元気よく言い放った。

「…そ…そう?…なんか、ごめんな〜…俺、今度から財布にもうちょっと入れておくから…なんか、ホントわりい…。」

テルが謝ることじゃないのに。

僕は改めてテルの人柄が好きになった、変な意味じゃなく。

汗をダラダラ。

そうなると、足取りもダラダラ。

暑いのだから、ちょっとは急げばいいものを。

僕らはとぼとぼ歩いた。

僅かな上り坂のバス通りを歩いていると、前を行く杖のおばあさんが不意によろけて転びそうになった。

テルと僕は慌てて駆け寄り、おばあさんを抱き抱えるように支えた。

「だ、大丈夫ですか?」

テルと同時に声をかけると、おばあさんは弱々しく「ああ、ありがとうねえ、大丈夫…だと、思うわ〜。」と言うなり、よろよろと立ちあがった。

これじゃ心配、家まで送ろうとなり、僕とテルとでおばあさんを家まで送り届けた。

おばあさんの家はすぐ近くだった。

「まあ〜、ありがとうねえ。」

おばあさんのお家の人、多分、娘さんじゃないかと思われるおばさんは、僕達にそう言いながら「お礼」ってことで、冷たいガラス瓶のラムネをくれた。

さっきから汗だくで喉がカラッカラだった僕らは、その場ですぐさまラムネを飲んだ。

汗をかいてる薄青い瓶の中に、ほぼ同じ色のビー玉がコロコロ動いている。

喉元を駆け抜けるシュワシュワが心地よい。

そして、何より美味しい!

ラムネってこんなに美味しかったっけ?なんて思った。

ほとんど一気飲みしたラムネがなくなると、さっきまで自動販売機の前で何を飲もうか悩んでいたことなどすっかり忘れてしまっていた。

それはそうと、ラムネ、もうちょっと飲みたかったなと思った。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

引き続きどうぞよろしくお願い致します。

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