その42
お話の続きです。
どうぞ宜しくお願い致します。
大会は思いもよらぬ展開だった。
第一試合、的場に代わりバレー経験者で背の高い1年の白崎が、急遽加わった。
僕とテルとベルウッド、それに2年の山田ツーと1年の黒崎白崎。
このメンバー。
試合前日、自宅で家族に「壮行会」を開いてもらった的場は、焼肉やお寿司、ケーキにアイスにジュースをたらふく食って腹を壊し、やむなく戦線離脱。
なんとなく、甘いもの好きで食いしん坊の的場なら、しでかしそうな予感はあった。
だけど、大事な大事な初めての正式な試合。
僕ら3年にとっては、引退前の最後の大会。
あんなにバレー部全員で円陣を組んで、「明日、頑張るぞ!オー!」なんてやったのに。
ちゃんと、「予想通り」にしでかしちゃうのが的場というやつ。
僕らは無性に腹が立ったけど、的場が「ごめんよ〜!ごめんよ〜!みんな、マジでごめん!俺の代わりに、頑張って!」と、点滴中の病院のベッドからメールを寄越したので、僕は「いいよ!そんなの気にすんな!それより早く腹治せ!」と返した。
他のメンバーも、それぞれ的場に「お大事に」のメールを送ったそうだ。
正直、的場には悪いけど、1年の白崎が加入してくれたおかげで、一回戦突破できた。
最初の対戦相手は、燃え盛る炎の写真柄のユニフォームの、強そうなチームだった。
けど、実際戦ってみると、僕らよりも弱い弱い。
まあ、こちらには、黒崎と白崎という強い味方がついてるからってのもあるんだけど。
黒崎と白崎の活躍は素晴らしかった。
ピョンバシの教え通りの、ピョーンと飛んでのアタックや、ピョーンと飛んでのブロックが中学生のそれとはとても思えないほどのレベルの高さ。
更にはピョーンと飛んでのジャンプサーブも、ほとんど失敗することなくキマった。
この2人さえいれば、残りの僕ら4人が余程の間抜けなドジを踏まない限り、試合の序盤から勝てそうな気がうっすらしていた。
そして、その通りに勝てた時、僕らは嬉しくてちょっと泣いた。
第二試合。
次の対戦相手は、僕がカタログで「これ、い〜!」と叫んだやつを着ていた。
悔しい。
そして、やっぱいいなあ。
青地に、黄色と白の細い稲妻っぽい線がシュッと入ってる、スマートなデザイン。
カッコいいし、何より強そうに見える。
僕は、相手方のユニフォームを着ている自分を目を閉じて想像し、そして目を開け、仲間の着ているユニフォームを見て、ようやく現実に戻った。
あ…そっか…パンダだった…。
勝手に悔しがって現実の自分達のユニフォームのことを、まだくどくネチネチ考えてたら、どんどんと自分の中に「絶対に勝ってやる!」と闘志が沸いた。
試合に出るメンバーは、最初と同じ。
的場は元気に復帰したけど、的場を含めた全員が「最初のメンバーでいこう!」となった形。
苦戦に苦戦を強いられたけれど、なんとか勝てた。
あの着たかったユニフォームのやつらに、フルセットの末ようやく勝てた。
僕はこの「パンダ」のおかげで勝ててる気がした。
じゃあ、ごめん、パンダよ。
次の試合も勝たせておくれ!
僕は心でそう呟いた。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




