その40
お話の続きです。
どうぞ宜しくお願い致します。
僕は、ゴロゴロローラーがだいぶできる様になってきた。
最初はゴロゴロゴロと前に進むしかできなかったけれど、今じゃゴロゴロゴロと戻ることもできる。
苦しくて、まだ7回しか戻れない。
やり始める前は、50回ぐらいスルスルスルっと往復できちゃうイメージがあったけど、お父さんが苦戦している姿を見て、少ない30回程度に目標を下げていた。
だって、お父さんは苦しみながらも、最初から10回ぐらい、ゴロゴロと往復できていたから。
もう「おじさん」のお父さんよりも、僕の方がずっと若くて体力もあるのだから、「30回はイケる。」はずだった。
…う〜…生意気だったと反省。
お父さん、もう47歳だけど、僕よりも筋力は強いんだね。
ゴルフやってるからなのかなあ。
大会が近づくにつれ、普段の部活の他の自主練習にも熱がこもった。
去年の新人戦は、インフルエンザの大流行で大会そのものが中止。
「来年の大会にも出られるから。」
3年生みたいに引退がかかってる訳じゃない下級生達は、まだチャンスが残っているから中止しても大丈夫と、そんな理由だったみたい。
本来なら、その時にユニフォームを買う話だったから、去年2年だった僕達と、1年だった山田達は少しがっかりしたのを覚えている。
僕らの1こ上の先輩部員は、やたらと多い32人。
なので、3年生が引退するまでは、レギュラーはおろか、補欠にだってなれる機会もなかった。
もしか僕らの中で飛び抜けてバレーのセンスがあるやつがいたのならば、レギュラーに選ばれて、先輩達と同じユニフォームを買ってたかもしれないけどさ。
その上での今回の「パンダ」
僕以外の周りは、なんだかやけにそれで盛り上がっている。
野球部のヤマシタは、テニス部で女子のヤマシタさんと付き合いだしてから、部活のエナメルバッグに手作りのお守りをぶら下げている。
フェルト製で赤い土台の真ん中に、真っ白い野球のボールがアップリケされており、その上にローマ字で「ハルオ」と刺繍してある。
後ろ側に小さいピンクのハートと、やっぱり刺繍で「がんばってね。」とこちらはひらがな。
ちょっとダサいけど、僕には羨ましかった。
好きな女子はいないけど、そういうのを作ってもらうってのに、ちょっぴり憧れている。
ホントにちょっとだけ。
誰かがそういうのを自分の為に一生懸命作ってくれるなんて、幸せじゃないか。
例えダサくても、例え縫い目がガタガタで下手っぽくても、作る人の心がこもってて、もらえたら僕は嬉しいけどな。
いくら僕がそう思っていても、その気持ちを誰かに、テルやヒロキにだって話したことないのだから、自分しか知らない「秘密」…ってほど大袈裟じゃないけど、なんて言うか、その、そういう感じだ。
だから、大会3日前の部活の帰り道、ヒロキと別れてテルと2人で歩いていると、この頃やたら一緒になるなあと感じていた、女子バレー部の秋田さんと坂口さんから、手作りのお守りをもらった時の嬉しさったら。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。
お話はまだまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら嬉しいです。
くどいですが、どうぞ宜しくお願い致します。




