その17
続きのお話です。
ほぼ毎日の様に見舞いに行ってた時は、ベッドに腰掛ける形だったからわからなかったけれど、こうして久しぶりに学校でヒロキの全身をまじまじと見ると、なんだか一回り大きくなった様な、全体的にふっくらした印象。
僕は直接聞くのはダメだと思い、「あれ?太った?」って言いたい気持ちをグッと堪えてたら、ヒロキの方からあっさり「いや、俺、太っちゃってさ…。」なんて言ってきた時は、心の中で思わず「ありがとう。」って言っちゃったよ。
僕とテルはあからさまに慌てた形で、「い、いやっ…あっ…あっ…全然!ぜ〜んぜん!」とジェスチャー混じりに返した。
「あはは。」と笑ったヒロキは、話を続けた。
なんでも、入院している間、同じクラスで鮨屋の娘の港さよりが、病室にドーンとでっかい寿司桶を持ち込んで、5人前の握り寿司50巻、差し入れてくれて、それを全部1人で美味しくいただいたそうだ。
後日、やっぱり同じクラスのパン屋の娘の八紘まるみが、サンドイッチやクロワッサンなど、自分とこのパンを大きな籠いっぱい差し入れてくれたって。
全部で30個ぐらい。
やっぱりそれらも全部1人で食ったって。
他にも僕達が持ってったコンビニのおにぎりだのや、他の奴らが持ってったお菓子だの、いいだけ食って、この有り様らしい。
「幸せじゃないか〜!」
僕がそう言うと、「いや、そうなんだけど、そうなんだけどさあ…体重増えちゃうと、ただでさえ怪我してる膝に、余計な負担がかかっちゃうから…治りが遅くなるかもって…。」
えーっ!そうなの?
まだ若いから、さほど心配じゃないらしいけど。
だもんで、「リハビリはハードにして下さい」と、頼んだそうだ。
更に、自宅に戻ってからは、食べる量を減らして我慢しているとのこと。
「だってさ、こんなんじゃ、女子にモテないから…。」
えっ?えっ?えっ?
ヒロキって、女子にモテたいの?
モテを気にしてたの?
僕は正直、ヒロキのその発言にひどく衝撃を受けた。
僕は…僕は、今は特に「女子」に興味があるとか、ないとか、そういうの全然考えてなかった訳でもないけど。
同じバレー部のベルウッドこと、鈴木みたいに年中「モテて〜〜〜!」って叫んだり、女子を気にして気にしてって感じじゃないから。
あんな、女子の胸とかの話ばっかで鼻息荒くしたり、自分を素敵に見せようと必死に髪型とか、身だしなみに気を使いすぎてるのを見ると、逆にちょっと引くってのか。
きっと僕は今、猛烈に「好き!」って子が、近いところにいないから、こんな感じでいるんだろうけど。
…あ、でも、「ノボリ坂37チーム」のテミジカミジカちゃんは、別だけどね。
だって、ミジカちゃんは大好きだけど、アイドルだから。
手に届かない存在だから。
あ〜…なんだろ…何、熱く脳内で語ってんだろ。
落ち着け自分と頭の中で言い聞かせて、ふと何気なくテルを見た。
あ…テルはどうなんだろ?
やっぱり「モテ」を意識してんのかなあ?
テルがおしゃれなのも、やっぱそういうことなのかなあ?
僕は急に自分だけ「出遅れている」と感じた。
だからって慌てて、みんなみたいに「あ〜!モテて〜!」とはならないけどさ。
最後まで読んで下さり、本当に本当にありがとうございます。
お話はまだまだ続きますので、引き続きよろしくお願い致します。




