その103
これでお話は終わりますが、どうぞ宜しくお願い致します。
目が覚めると、目の前に真っ白い天井が見えた。
「あ、気づいた?大丈夫?ニッキ。」
ベッドの傍に坂口さんが座って、心配そうにこちらを見つめている。
「えっ?えっ?あれっ?」
動揺している僕に、坂口さんがゆっくりと教えてくれた。
「さっきね、ニッキ、顔真っ赤にして、いきなり倒れちゃったんだもん、びっくりしちゃった!そんで、男子が保健室まで運んで寝かせてくれたんだよ。」
そうだったんだあ。
「あ、じゃあ、みんなは?」
「もう、とっくに帰っちゃった。塾の時間に間に合わないとかって…。」
不意に窓の外を見ると、空が綺麗なピンク色から濃い群青色に変わってきていた。
「あ、坂口さん、ごめん。帰りが遅くなっちゃって…先に帰っててもよかったのに…。」
そう言うと、坂口さんは首を横に振った。
学校に残っているのは、先生達だけ。
他の生徒達は、全員下校してしまっているようだ。
僕はベッドから起き上がり、「帰ろう!もう大丈夫だから。」と言った。
夕暮れ時の帰り道。
僕と坂口さんは並んで歩いた。
「あ、あのさ…坂口さ…じゃなくって、坂口メグちゃん。」
「え?」
坂口さんは一瞬、とても驚いた表情を見せた。
次の瞬間、照れた様に笑いながら、「どうしたの?ニッキ。」と、僕の顔を覗き込む様に見つめてきた。
じっと見つめられると、とても緊張する。
緊張するけど、今、言っておきたい。
今、2人っきりのこのチャンスに言わなければ、絶対にダメだと思った。
「さっ、かぐちメ、ッグちゃん、あのさ、あの…その…なんて言うか…夏休みなんだけどね!夏休み…いっぱい会いたいなあって言おうと思ってたんだ…毎日は無理かもしれないけど…でも、会える時は会えたら嬉しいなあって…2人で一緒に色んなところに行けたりできたらなあって…。」
「え?…メ、メールとかは?」
「メ、メールとか、電話もいっぱいできたら…嬉しいなあって…。」
「いいけど…なんで?」
「なんでって…そりゃ…なんつうか、その…坂口メグちゃんに会いたいからさ!」
僕の口からは「好き」って言葉が出てこなかった。
だって、まだ、坂口さんのこと、「好き」だとか、自分でもわからないから。
ただ、「会いたい」って思ったから…そう、伝えただけ…
「ダメかなあ?」
「ううん…ダメじゃないよ…あたしも…ニッキに会いたいもん…。」
お互いに「好きだ!」と打ち明けた訳じゃない。
けれども、それでいいって、今は思ってる。
きっと、そのうち、どちらかから言うと思うから。
その時は、僕が先に言えたらな。
今度は僕から、坂口さんの細い手を捕まえた。
そのまま、僕らは手を繋いだまま歩いた。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。読みづらい部分もいっぱいだったと思いますが、読んで下さって、本当にありがとうございました。この作品はこれで終わりますが、他の過去の作品も読んでいただけたら、とっても嬉しいです。




