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100/103

その100

お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。


「なんかさ、石川さんと仲良いね。」

いつもの帰り道、坂口さんが急にそう言った。

「あ…その…仲良いって…それほどでもないと思うけど…。」

僕がそう答えると、少し黙ってから、坂口さんが続けた。

「そう…かなあ?だって、壁新聞の時だって、ものすごく楽しそうに喋ってたじゃん。」

坂口さんの口調に少し棘がある。

なにか気に食わないのかもしれないと思った。

けれども、僕も思い切って気に食わないと感じたことをぶつけた。

「そういう坂口さんだって、この頃一文字と仲良いじゃん!人のこと、どうのこうのって言えないじゃんか!」

僕は少し、ムキになってしまったようだ。

言い方が、どうにもキツくなりすぎたかもしれない。

「そ…れは…だって、シンゴ君、V字龍が好きだって言うから…。」

急にシュンとなった坂口さんは、ゆっくりと静かにそう言った。

シンゴ君?

今、坂口さん、一文字のこと、「シンゴ君」って呼んだ。

「さ、坂口さん、一文字のこと、シンゴ君って呼んでんだ、随分親しいんだね…へえ、知らなかった、知らなかった…。」

自分でも驚くほど嫌な話し方だ。

本当はこんな嫌み、言いたくない。

「だって、一文字君、シンゴって名前じゃん…」

「そ、そうかもしんないけど!」

僕はそれ以上何も言葉が思いつかなかった。

「ダメだった?」

眉をひそめて、坂口さんが首を傾げた。

彼女の哀しそうな顔を見てしまったら、訳のわからない怒りみたいなものは、あっという間にヘナヘナと萎んでいった。

「や…だ、ダメじゃ…ないけどさあ〜…。」

「…けど、何?」

なんか文句ある?とばかりに、坂口さんが話を続けた。

「あ、今度の日曜、シンゴ君と一緒に映画観てくるんだ〜!」

確か「轟け!不屈の魂!大将軍」が映画化されたと。

「へ、へえ、よかったね。」

「あ、そだ、ニッキも一緒に行く?」

坂口さんから誘われたけれど、それはすぐさま断った。

「だ、だって、デ、デートの邪魔しちゃ悪いもん。」

自分でも随分と嫌味混じりな言い方だなあと思ったけれど、僕は気を利かせて言ったつもりだった。

「え?デートじゃないよ?」

「は?」

「シンゴ君と2人で観に行くんじゃないもん。3組のミワちゃんと、4組の柳田君と荒木さんも一緒だもん。」

「え?そ、そうなの?」

「うん、みんな、轟け!不屈の魂!大将軍のファンなんだけど、それぞれ好きなキャラはバラバラなの。」

そっかあ、デートじゃないんだあ。

僕はどういう訳か、少しホッとしたのだった。

最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はもうちょっとだけ続きますので、引き続き読んで頂けたら、とっても嬉しいです。

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