その1
仲良しのテルが何気なく発した疑問を、夜になって思い出した僕は…
そんな些細な疑問に幾らか振り回され、どうにも決断できずに迷って迷って…
そんなお話です。
寝る前、ふと昼間の仲の良いテルとの話が脳内で蘇った。
「銭湯や温泉などに入る時、タオルで前を隠すけど、それを使って顔などを洗うのはちょっと嫌だ。」という内容。
その時は「何言ってんだよ!バッカじゃねえの!」なんて笑って返して、その後すぐに違う話になったけれど、改めてよくよく考えてみると、「なるほど!」と思った。
確かにテルの言うとおりだ。
普通は顔を洗って拭く時ぐらいの大きさのタオルを1枚持っていくが、それで日中たっぷり動き回って汗をかいて、更に何度も小便をしたあそこを、綺麗に洗って乾かしたタオルで隠すのはいいけど、絶対についちゃうだろうからな。
それでそのまま洗い場で普通に、何事もなかったかの様にそのタオルで洗った顔を拭くのはどうだろう。
僅かな時間隠しただけだけど、やっぱり「汚れ」は付着するに決まってる。
「汚れ」の他に「臭い」も同時に付くだろう。
例えタオルの端で隠したとて、その他のセーフの部分を使えばってもんでもないと思う。
そうなると、やっぱりテルが言ってたように、脱衣所から風呂に入るまでの僅かな間だけだけど、前を隠す用のタオルをもう1枚用意するべきなんじゃないか。
僕も何故かそう思った。
だが、ヒロキならどうだろう。
あいつはいつもあけすけで豪快だから、きっと、いや絶対、銭湯でも温泉でも前なぞ隠さず、脱衣所から脱いでそのまんま大腕を振ったぐらいにして、ゲラゲラ笑いながら風呂場に入るに違いない。
そっか!
それなら、別にテルが心配してたみたく、「前を隠す用のタオル」を用意せずに済むのか。
あ…だけど…あ…僕にそれができるかどうか。
誰も見てないだろうし、お風呂の湯気でぼやけて霞んでハッキリとは見えないだろうし、気にしたところでそこにいる全員裸なんだから…とはわかってる。
わかってるんだけど、じゃ、実際その場面になったとして、どうするよ。
テルみたいに申し訳なさそうに隠してそそくさ入るのか。
それとも、多分、いや、絶対そうであろうヒロキの様に、前を隠すこともなく、堂々と普通に歩いて入るのか。
…う〜ん。
自分でも「なんでそんなことで悩んでるんだ!」って思う。
脱衣所から風呂場までのほんの数秒の心配をしている自分の馬鹿さ加減。
自分に全くの自信がないから、そんなくだらないことで悩んでいるんだ。
僕の中にいる冷静な僕がそう言っている。
確かにくだらない。
くだらなすぎる。
くだらないにも程がある。
だけど…う〜ん。
考えてしまう。
本当はもっと考えなくちゃいけないことが山ほどあるってのに。
風呂に入るのに前を隠す用のタオルを用意するしないで、こんなにも脳みそを使っているなんて。
バカだよなあ。
そんなことをあれこれ悩みながら、僕は明日からの修学旅行のスーツケースに「前を隠す用のタオル」を入れようか、入れまいか、何度も何度も出し入れしてはため息をついている。
最後まで読んでくださり、本当に本当にありがとうございました。
よければ、他の作品もどうぞよろしくお願いいたします。
初めは「短編」で投稿したのですが、後になって「やっぱり連載にしたい。」そう思い、一旦消去してからの再投稿です。
なので、最初に読んでくださった方々には、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいです。
本当にごめんなさい。
そして、これからもどうぞよろしくいお願い致します。




