ある令嬢の独白 ⑬
凄く短いです。
あら、コートラリ様ったら、あの子にちょっかい出したみたいね。そんなことは命令していないのだけど‥‥‥全く仕方ないわね。
今回はあの子に怪我もさせてないみたいだし、許してあげましょうか。それにしても、あの命令に忠実なコートラリ様が勝手な行動をするなんて、嫉妬という感情は厄介なものね。
まぁ、わたくしも人のことは言えないわね。
嫉妬という感情の厄介さは、身をもって理解しているつもりだわ。嫉妬すると、道徳とか倫理とか理性とか、そういった普段当たり前に存在している考え方を全く気にしなくなるの。それはとても危険なことだわ。自分でも理解している。でもね、それでも嫉妬による暴力的な感情を抑えることはできないのよ。
そして、多くの人はその暴力的な感情のままに行動して、多かれ少なかれ罪悪感や後悔を感じるのよ。でも、わたくしの場合はさらに厄介なことに、感情のままに行動しても罪悪感や後悔を一切感じないの。
ふふっ‥‥‥我ながらどうしようもない性格だと思うわ。
最近、よく思うの。
わたくしには、もしかしたら道徳や倫理、理性なんてもの最初から存在しないのではないかってね。
それでも、別にいいわ‥‥‥あの子を愛するこの気持ちだけあれば、それでわたくしは生きていけるから。