表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/139

ある令嬢の独白 ⑪

凄く短いです。

あの子が相談してくれるのをずっと待っていたわ。でも、結局その願いは叶わなくて、それどころか、あの子は倒れた後でも隠そうとしていたの。

まぁ、わかりやすいから、すぐに犯人なんてわかったけれど。


あの子は、自分のことしか考えていないって言っていたけど、それはその通りだと思うわ。

自分が死にそうになった時、真っ先に逃げると思う。だけどね、それは死にそうになった時の話。

逆に死なないと判断したら、何処までもわたくしを守るために自分を犠牲にすると思うわ。

何故なら、わたくしを守る盾になった時、初めて自分の価値が発生すると信じているから。

わたくしからしたら、側に居てくれるだけで価値があるのだけどね。


そう、そんな理由で、あの子は「死にたくない」という思いと対極の「恩人を守らないと自分の価値がなくなる」という感情も持ち合わせているの。

その二つの感情は、軈て「死にさえしなければ、側にいて恩人を守れる」という歪んだ考えに変わったのだと思うわ。あくまでも、わたくしの予想だけどね。


そのせいか、あの子は死にそうな怪我以外のことをあまり気にしないわ。

今回の件が良い例ね。

多分、アビーから殺気を感じなかったのよ。それで、本能的に死にはしないと判断したのね。

だから、避けることもしなかった。

その結果、あんな事になってしまうだなんて、本人にも予想できなかったのでしょうね。


わたくしは、あの子のその考え方が、とても心配だわ。あの子は、自分で死なないと判断すると、どれだけ傷を負ってもお構いなしだから。

いつか、判断を誤って死んでしまうのではないか‥‥‥そう思うと怖くて怖くて堪らなくなる。人の命は、平等に儚いから。


あの子には、もっと自分の体のことを大切にして欲しい。


‥‥‥なんて、わたくしが言える事ではないわね。

そもそも、わたくしがあの子を手放してあげれば全て解決する話だから。

だけどね、それだけは出来ない。また、手放すなんてごめんよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ