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愛し方を知らない少女 ③

遅くなってしまいました。すみません。

それから、今日、最終回にする予定だったのですが、長くなってしまったので、投稿わけることにしました。

続きは、明日投稿しますので、明日が本当に最終回となります。

告知と予定が異なってしまい、大変申し訳ございません。

三ループ目、目を覚ますとそこは、予想通りダリアと出会うあの夜のだった。そこで、わたくしはある異変に気がついたの。

自分以外の声が頭の中に聞こえたのよ。

それは、聞き間違えるはずもないダリアの声だったわ。

二ループ目にダリアの体液を取り込んでいたことが、三ループ目にも引き継がれたのでしょうね。

凄く嬉しかった。

あの子が、この世界に存在するというだけで、涙が出そうなほど嬉しかった。



三ループ目では、兎に角、ダリアに対して柔らかい愛情を注ぐと決めていた。

彼女の前では、誰にでも分け隔てなく優しく、どんな時でも安心させるような笑みを浮かべることだけを意識したの。

でもね、それだけでは、ただの良い人で終わってしまう。

だから、わたくしは、自分以外の人に悪役になってもらうことにしたのよ。

だって、そうでしょう?


──恋愛にはスパイスが必要だもの。


幸い悪役は掃いて捨てるほどいたわ。

わたくしは、何もする必要がなかった。ダリアをみんなの前で可愛がるだけで、屋敷の使用人たちも、学園の生徒たちも、みんな彼女に悪意を持った。

それからは簡単よ。

ダリアに悪意をぶつける隙を与えてやればいい。そうすれば、悪役たちはこぞって嫌がらせを始めた。

ダリアの心も居場所もわかっていたわたくしは、彼女が本当に危ない時だけ駆けつけて庇うだけでいい。

狙い通り、ダリアは前の二回とは比べ物にならないほどわたくしを信頼し、そして執着してくれた。


本当に悪役を担ってくれた人たちには、感謝してもしきれないわね。


特にラールック。

彼女は悪役の中でも、必要不可欠な存在だったわ。ダリアが刃物を克服するのは、いつだって彼女がきっかけだったのよ‥‥‥ふふっ、今回もそうだったわね。

勿論、他の悪役たちもそれぞれいい働きをしてくれたわ。だから、みんなにはお礼として、幸せな最期をプレゼントしたの。


それに比べて、シャールは最期まで、わたくしの神経を逆撫でしたわ。彼は、いつだってダリアに生きる自信を与える存在だった。それは悔しいけど、ダリアにとっては必要だったわ。

でも、彼はそれと同時にわたくしからダリアを奪う存在でもあったの。

だから、だからね‥‥‥もう排除するしかないと思った。だって、シャールはダリアと出会っていようが、そうでなかろうが、結局彼女を奪い去ってしまうのだもの。





三ループ目のわたくしは、ダリアを手に入れるためならば、どんなことでもしようと最初から決めていたわ。

何をしても、あの子を側に置きたかったから‥‥…でも、それは、あの男も一緒だったみたいね。


ストーカー男がダリアの前世での友人を騙ってきた時は、流石に驚いたわ。それと同時に、あの男もわたくしと同じ戦法できたと妙に納得した。

二ループ目とは違って、男は前世でストーカーだったということを全力で隠すことにしたのね。その代わりに、ダリアにとって安心出来る存在になろうとした‥‥‥完全に信じきっていたダリアを見ると、男の演技力も馬鹿にできないわね。


わたくしは、最初から男の存在に気がついていたわ。

でも、男の正体を途中で明かすことは危険だった。最悪の場合、ダリアの精神が壊れてしまう可能性があったから。

これが普通の人間ならば、わたくしが秘密裏に処理することも可能だった。だけど、厄介なことに神の加護を受けた男は、誰の手でも殺せないという恩恵を持っていたのよ。ダリアはそのことを知らなかったみたいだけど、二ループ目に男を何度も殺そうとしたわたくしは、男が持つその恩恵の強さを知っていたわ。

あれは、悪魔の寵妃であろうと、どうこうできる問題ではない。


だからといって、男を生かしておけば、何度だってダリアを奪おうとすることは容易く想像できたわ。

そんな不安要素は求めていないのよ。


──わたくしはね、今度こそダリアを失いたくなかった。


男を殺すしかないと思った。

今までの知識を総動員して考えたわ。何か、男を殺す方法はないか‥‥‥そして、思い出した。

この時は、二ループ目に拷問まがいの方法でダリアから聞いたゲームの詳細な知識が役に立ったわね。なんせ、彼女はループを繰り返すたびに前世でのゲームの記憶が朧げになっていたから。三ループ目だったら、ここまで詳細な情報は聞けなかったでしょうね。


男を殺すヒントは、ゲームのエンディングにあったのよ。



一、二ループ目のコートラリルートには、ハッピーエンドとバッドエンドで若干内容が違うと、ダリアから聞いていたわ。


ハッピーエンドでは、わたくしから産まれた悪魔をヒロインが神の力で倒す。

バッドエンドでは、悪魔を倒せず、コートラリ様が死ぬ。


ここで、わたくしは思ったわ。

どうして、ヒロインはバッドエンドだと悪魔を倒せないのかと。世界観がめちゃくちゃらしいこのゲームのことだから、深い理由なんてないのかもしれない。でも、わたくしはこの疑問を見過ごすことは出来なかったわ。


そして、遂に正解に辿り着いたの。


もしかして、バッドエンドでヒロインはコートラリ様以外の他の攻略対象者と肉体的関係を持ったのではないかって。

コートラリ様ルートのバッドエンドの行き方は、二ループ目のダリアに聞いていたから、知っていたわ。

たしか、攻略対象者全員の好感度を中途半端に上げること。これは、言い換えれば全員と親しくなることを意味していたわ。

ここからは、わたくしの完全な想像だけど、ゲームのヒロインは自分に好意を持ちながら、決して悪役令嬢(わたくし)を裏切らないコートラリ様に焦りを覚え、他の攻略対象者に近づいたのではないかしら。そこで、男女の関係になってしまった。

つまり、バッドエンドのヒロインには、既に神の加護は無かった。だから、悪魔を倒せなかった。


それに気がついた時、わたくしはヒロイン(ストーカー男)を誰かに強姦させようと思ったわ。

でもね、その必要はなかった。


男がダリアに持ちかけた「仲良しアピール大作戦」。あの作戦内容を聞いた時、確信したわ。

男は、自作自演でわたくしに罪を被せようとようとしていると。

そして、自分を暴行する共犯者に、医療知識があるアケを使うということも予想ができたわ。女性に暴力を振るわなくなったアケが話を断れば体を使うということも、簡単に予想できた‥‥‥わたくしがコートラリ様にそうしてきたようにね。


そうね、あの男の言った通り‥‥‥本当に嫌な話だけど、わたくしとあの男はよく似ているわ。だからこそ、お互い思考が読めるの‥‥‥気持ち悪い。


あの男は今回、異様に焦っていたわ。

きっと、ダリアを手に入れて、この回でループを終わらせるつもりだったのね。

でもね、焦るといいことはないのよ。

判断を急がせれば、ダリアは流されるままに隣国へ着いてくると思っていたようだけど、既にダリアとわたくしの信頼は流されるほど弱くなかった。

それに、真実味を持たせるためとはいえ、五ヶ月間も意識不明になっていたことは、間違いだったわね。そのおかげで神の加護がなくなっていたことに、気が付かなかったのだもの。


でも、最大の失敗は‥‥‥ダリアの前世での友人になりすましたことよ。


人間は、どう頑張ったところで、他人にはなれない。ボロが出たら終わりの‥‥‥諸刃の剣のような作戦を選んだ時点で、わたくしの勝ちが決まってしまったのだから。

明日、最終回です。

最後までよろしくお願いいたします!

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