116/139
ある令嬢の独白 ⑰
凄く短いです。
あの子が嫉妬してくれた!
これは、初めてのことだわ。
嬉しい。凄く嬉しい!
嗚呼、どうしましょう、興奮して眠れないわ。
あの子は、もう眠っているのかしら‥‥‥あら、あんなに緊張していたのに、先に眠ってしまったのね。
無理もないわ。今日はきっと、いつも以上に疲れただろうから。怒ったり、悲しんだり、不安になったり、そういう負の感情を持つと、凄く疲れるのよね。そして、厄介なことに精神的な疲労は、眠っただけでは回復しない。
それにしても、いつ見ても可愛い寝顔だわ。
普段、いろんなことを気にして強張っているあの子の表情も、この時ばかりは柔らかくなる。
あの子とこうやって、ずっと笑いあいながら暮らしていきたい。その思いも確かにある。
だからこそ、わたくしが過去にしたことを悟られるわけにはいかないのよ。




