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ある令嬢の独白 ⑯
とても短いです。
傷まないようにクローゼットの奥に押し込んでおいたのだけど、うっかりしていたわ。
真逆、クローゼットから飛び出してしまうなんて、本当に何が起こるかわからないものね。
まぁ、上手く誤魔化せたから、よしとしましょう‥‥‥でも、あの綺麗な髪の毛が少し汚れてしまったことだけは悲しいわ。
今度また洗ってあげないとね。
嗚呼、それにしても、あの髪の毛、矢張り何度見ても綺麗だわ。
血のように赤くて、きらきらと輝いていて、目を見張るくらいに美しいというのに、触ると壊れてしまいそうなほど柔らかい髪質なのだから、堪らなくなるわ‥‥‥髪の毛も所有者に似るものなのかしら?
なんて、少し変なことを考えてしまったわね。




