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仲良しアピール大作戦!

今日、遅くなりました。すまません。

翌日、ルイカとの作戦決行の日がやってきた。お昼休みとなり、いつものようにシマキ様と二人で廊下を歩いていると、ひとつの影が近づいて来る。


「ダリアっ!」


如何にも元気ですと言った風に近づいてきたのは、ヒロインモードのルイカだ。いつもと違う話し方に驚きながらも、予定通りに対応する。


「あっ、ルイカ。これからお昼?」

「うん、そうだよ。友だちと待ち合わせしてる中庭に行こうと思ったら、ダリアが見えたから思わず声かけちゃった!」


突然、話しかけてきたヒロインに、珍しくシマキ様は呆然としていた。

そう、これが私たちの作戦。

その名も仲良しアピール大作戦だ。


その後、ルイカは少しだけ話すと、シマキ様に一礼して去っていった。

初日は、少し絡んで様子を見ようと二人で最初から決めていた。ルイカの引くタイミングは、予定通りだ。


チラッとシマキ様の様子を見ると、まだ驚いた顔をしている。


「シマキ様、大丈夫ですか?」

「嗚呼、そうね。わたくしったら、挨拶を返しもしないで失礼だったわ」

「あっ、いえ、そこは向こうも気にしてないと思いますし、大丈夫ですよ」

「なら、いいのだけど‥‥‥それにしても、驚いた。貴方の前の友だちとは聞いていたけど、今まで、ルイカは貴方に表立って接触してこなかったでしょう。だから、わたくしはてっきり二人の間には何か事情があるのかと思っていたのよ」


真逆、貴方のことを疑っているから、二人で協力しているんです、なんて言えないので、適当に誤魔化す。


「嗚呼、えっと‥‥‥これまではクラスが別で、文化祭の準備とか諸々で話す機会が作れなかっただけです」

「ふぅん。そうだったの」

「それで、あの‥‥‥」

「うん? 何でも相談するって約束したでしょう。言いたい事があるのなら、言いなさい」


シマキ様の様子を伺う。

驚いてはいるが、その他の感情はなさそうだった。具体的にいうなら、ルイカに対して殺意を抱いているようには見えない。

これなら、話しても大丈夫かも。


「‥‥‥今度の休みにルイカと街へ買い物に行きたいんです。あの、許可いただけますか?」


私がそう言うと、シマキ様はまた驚いた顔をして、次いで考え込むように顎に手を当てた。


「そうねぇ。偶には、貴方も羽を伸ばせばいいと思うわ」

「そ、それって!」

「行ってきなさい」

「あ、ありがとうございます! シマキ様」


これで、シマキ様がストーカー男という可能性はぐっと下がった。もし、私の仲の良い人を殺すような人なら、出かけることを許してなんてくれないはずだから。

私が安心した時、シマキ様は「でも」と言いながら指を一本立てた。


「ひとつだけ条件がある」

「条件、ですか?」

「その買い物、わたくしも連れて行きなさい」

「えっ!? シマキ様は、ルイカのことをあまり良く思っていなかったように記憶していますが‥‥‥」


以前、シマキ様にルイカのことを話した時は、酷くどうでも良さそうな態度を取られた。あの態度を見て、ルイカのことを嫌っていると思っていたから、一緒に買い物に行きたいだなんて驚きだ。

首を傾げる私に、シマキ様はふふっと笑った。


「確かにそうだったけど、貴方が呼び捨てで呼ぶくらいに仲が良いあの子に興味が湧いたわ。ねぇ、お願い、わたくしも連れて行って。邪魔はしないから」


上目遣いで困ったような顔に、私は昔から弱い。

気がつくと私は、首を縦に振っていたのだった。

いよいよ、作戦開始です!

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