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出会い
連載、始めます!
───燃えている。
私が転生して、十年間過ごしてきた孤児院が目の前で燃えている。燃え上がる炎は、容赦を知らず、欲望のままに私が過ごしてきた家をただの灰へと変えていく。
私はそれを地に伏せながら、呆然と見つめることしかできない。瞳から溢れ落ちる涙が、焼けてしまった頬を刺激する。それでも、痛みなんて感じなかった。
目の前の景色があまりに衝撃的だから。
周りには野次馬もいて、こそこそと何かを話している。軈て、誰かが通報してくれたであろう警備隊が来て火消し作業を始めてくれた。
だが、もう何もかも遅かったのだろう。火が消えて、そこに残ったのは大量の灰だけだった。生きている人の気配なんて、全く感じられない。
もう、私と一緒に過ごした仲間たちはいなくなってしまった。家族がいない私の唯一の家族。優しくしてくれた先生も、兄妹のように接した子供たちも、みんな焼き尽くされてしまった。
ごめんなさい。私のせいで‥‥‥私がみんなを見捨てたから‥‥‥。
全てを察して泣いているとき、鈴のような美しい声が耳に届いた。
それが、私と彼の方との出会いだった。