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遅刻

苦痛だった。


あさ起きて朝食を済ますまでは、いい。その後の駅までの移動も気にならない。ただ、通勤ラッシュの満員電車だけは堪えられなかった。


7月中旬 その日は、早朝から強い雨が降っていて、じめじめした嫌な朝だった。私は7時50分頃にJR 八王子について新宿行きの電車を待ちながら、何も考えないようにしていた。


まだ首都と呼ばれる場所に来たばかりの私は、何も知らなかった、本当に、、。


国分寺駅につく頃、私の乗った車内は満員の手前で車内が揺れる度に体と体がすれ、周りの体温が直ぐに感じられるほどだった。


私は自分の足元を見ていた。


「降りたい、、下りたい」


そんな気持ちを抑えるように足元を見て、


「あとちょっとだよ」と自分を慰めた。


武蔵境の駅に着きドアが開いたとき、人垣が少し減ったのを感じた。


が それも束の間、まるでその反動のように人々が押し寄せ入って来ると「えー」と言う溜め息まじりの声が聞こえ、そのぎゅうぎゅうになった車内で私は、体が震え、顎をガチガチと鳴らし、失禁をした。


ほんの少し震える手を見ながら考えてみた。



"いま私に出来ること、、、?"



私は「すいません」と震え声で囁き、道を開けてもらい、体と体をぶつけながら必死に扉の取手の方へ向かった。


「すいません、通してください、、」


弱々しい声でようやくその取手を掴むと私は、


「離さない、、離さないよ、、」と呟き、マスクをした顔で泣いた。


三鷹駅に着き扉が開くや、私は押し出されるように電車を降りると私の遅刻が確定し、周りのざわめきの中、



ひとり (似た者同士と)


息を吸い、震え、駅の外に目を向け声を上げた。

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