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ダンジョンの怪人  作者: ガトリングレックス
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第35話 過去語り

なぜレラーイはハイグリーを拒絶しないのか。

それはハイグリーの担任がレラーイになった時である。

その醜い顔に恐怖し近づかない者、悪口を言いながら暴力を振るう者。

そんな中黙々と努力して魔法を覚えたり、独自の剣術を編み出すハイグリーに、最初は「頑張ってるなぁ」と言いつつ通りすぎていた。

なぜならこの学校のモットーは皆平等に生徒を学ばせること。

もし彼だけを他の生徒より教育した場合、自分だけではなく家族にも被害が及ぶからだ。

だが来る日も来る日もいじめられる度に強くなろうとする彼に、自分の剣術と魔法を教えたくなった。


「よぉ〜ハイグリー。お前、そんなに強くなりたいのか?」


「うん! 僕は強くなって家族を守るんだ!」


意外な答えに「ふーん」と息を漏らす。


「意外だなぁ。てっきりいじめっ子を見返すために特訓してるのかと思っていたが」


「お父さんが言ってたんだ。人を守るために剣はある。絶対に人に向けるなって」


理由を聞き、彼の事を哀れに思う。


(普通にいい奴じゃないか、悪魔の子なんてデタラメを言ってる者達に爪の垢を煎じてやりたいぜ)


どれだけいじめを止めてきたか忘れたが、こいつは強い意志を持っている。

そう感じたのが間違いだった。


「よし、これからハイグリー、今から俺の弟子になれ、家族を守れるように鍛えてやる」


ハイグリーは自分の発言に目を輝かせる。

それだけ強くなりたいのだろう。


「良いの! やったー!」


はしゃぐ彼の姿に腰に左手を当て、微笑みを返した。


それからと言うもの師匠と慕われる様になり、毎日剣術や物の生成、魔力による肉体強化を教えた。

それは担任でなくなっても続くのだった。


しかしあの日を境にハイグリーは学校に来なくなった。

現担任である教師にも聞いてみたが収穫はない。

一体なにがあったのか、気になりながらも教師としての仕事もあるため追求をやめた。


数年後、ダンジョンの怪人の噂を生徒から聞いて理解した。

あいつは父の約束を破ったのだと。

自分が教えたことを悪のために使っていると。

ダンジョンの怪人をハイグリーと決めつけた時点で、自分は彼を化け物だと認識していたと思うと、哀れんだのがバカらしく、そして切なくなってくる。

弟子にした事を後悔しつつ、妻、幼い息子と赤ん坊の娘を養うため、授業を続けるのだった。


そして生徒に教えを説き、年数が経ったある日、ノーネックナイト達がディワン国に攻めて来た。


家族と共に学校の教室で救助を待っていると、ノーネックナイト達が窓を割って入って来た。


いきなりの奇襲にただ家族を守るのに精一杯だった。

次々に殺されていく生徒や教師。

アンデットと言う種族は何度倒そうが復活する。

おまけに鎧を装備しているため、物理での攻撃は効かない。

なんとかその場を逃げ出すが、後ろから風を切る音がすると、妻の心臓部に背中から槍が突き刺さり、廊下に倒れ、死亡した。


妻の遺体を見て悔やみながらも子ども達を守るために必死に逃げる。

しかし大剣を持ったノーネックナイトが階段から飛び降りた勢いのまま刃を振り下ろし、息子を両断した。


さらに恐怖で動けなくなった娘を自分が守ろうとするその前に大剣で腹部を貫き、血を啜るように浴びながらゆっくりと引き抜く。

その隙に学校を飛び出し、ひたすら走る。

守るべき者達が殺されていく絶望感に、涙を流しながらディワンを自力で脱出した。


(みんな、先生を許してくれ。俺だって死にたくないんだ…………だが必ず復讐は果たす。必ずな)


こうしてレラーイは復讐鬼になった。


ダンジョンの怪人に成り果てたハイグリー、マリーと同行し、事の発端である四天王デュナイツを撃破した。


だが、今いるバジリスクである女性から発せられた声は確かにデュナイツの物だった。


もし再びあいつが姿を変えて現れたのなら、もう一度倒さなければならない。


(その前にこいつを片付ける!)


魔力で白き鎧を生成、バジに向けて電撃を纏った剣を左斜めに振り下ろす。


(そんな単調な動きで)


彼女はあっさりと刃を躱し、槍で貫きにかかる。


(もらった!)


だが…………


「グハッ!?」


なんと白き鎧がひとりでに動き、腹に横蹴りをくらった。


肋骨が折れ、心臓に突き刺さる。

内部出血で悲鳴を上げながら命を落としたバジに、レラーイは目を細め冷たい視線を向ける。


「その命、死神に刈り取られろ。そして2度と生まれ変わって来るな」


惨劇を作り出したモンスターに慈悲など与えない。

涙脆くなった彼の目には一筋の涙が。


「次はお前だ。デュナイツーーーーーー!!!!」


白き鎧を装着し、魔力で肉体を強化、地面を踏みしめ、一気に加速する。

狙いは本命、デュナイツとベールだ。


「お前か、ここでカタをつける」


「デュナイツの敵は私の敵。覚悟するがいい!」


毒が滴る金色の刃を持つ剣を両手で構え、レラーイを迎え撃つ。


「オーーーーーー!!!」


レラーイは叫ぶ。

剣と剣のぶつかり合い。

刃から火花が散り、毒液が飛び散る。


「悪く思うな。これも勝利のためだ」


そう言ってデュナイツは死霊術でモンスター達の遺体をアンデットとして復活させ、彼に向けて襲わせるのだった。

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