表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンの怪人  作者: ガトリングレックス
30/37

第30話 英雄

朝、バロンはドラと共にキャノンファングに乗り込む。

緑のボディ、頭は狼を思わせ、後ろには全方位を狙える80ミリバズーカ砲とブースター、右腕にはガトリングガン、左手にはバトルアックス、隠し武器として収納できる大型の刃が右腕に搭載されている。


「ドラ、俺達は英雄だ。この戦いにも必ず生きて勝つ」


「そうだね。みんなで勝とうよ」


キャノンファングを起動し、戦場へ精鋭と共に移動する。

精鋭は合計50人。

その中でハイグリーの姿は異彩を放っていた。

分かっている。

自分が化け物と思われることぐらい。

ドン引きされるぐらい。

馬車で移動する者、機械仕掛けの鎧で移動する者。

誰もが思った。

なぜこんな化け物と戦争を協力して戦わなければならないのかと。

マリーはそう思われることは理解していた。

怒りの感情を押し殺し、なにを言われても我慢する。

ハイグリーも同じく悪口を言われることは覚悟していた。


だが現実は違った。

静寂が馬車内を包む。

1人を責めるために体力を使うほど、彼らはバカではない。

皆戦争への思いはバラバラ。

報酬を期待する者。

世界を救いたい者。

戦いを今すぐにでもしたい者。

人それぞれだ。


魔王軍の城へは馬車で5時間ほどかかる。

その間静まり返る馬車の中でウトウトし始めるマリー。

ハイグリーは彼女に今まで負担をかけていると理解している。


(ゆっくりお休み)


心の中で優しい言葉をかけると、視線をレラーイに移す。

その表情はめんどくさいとも取れる物で、目を細め、顎を左手で支えている。

自分も正直先生の様に表情で示したい。

だが元の顔を見せたら容赦なく襲われるだろう。

鋼鉄のマスクで覆われた自分の偽りの顔はそれを防止している。

それはハイグリーにとって自分のありのままを隠す、苦しみの鎖だった。


木の枝に潜む機械仕掛けのカラス(メカニカルクロウ)の群れが嘴を大きく開け、銃口を馬車に向ける。


機械仕掛けのカラス(メカニカルクロウ)、全員、撃ってください!」


メカニカルリーダーことサイバーフィンの命令に、一斉に銃弾を連射する。

銃声に気づいたハイグリーはマリーを抱きしめ、鋼鉄の背中で銃弾を防ぐ。

突然の強襲に対応できたのは極一部の精鋭。

風穴だらけの馬車から降りると、レラーイは剣を引き抜き、魔力で刃の切れ味を強化する。

さらに魔力で生み出した黒き鎧を身に纏い、機械仕掛けのカラス(メカニカルクロウ)の位置を確認、認識する。

弾切れを起こした機械仕掛けのカラス(メカニカルクロウ)が自爆特攻を仕掛けると、剣を右斜めに、左斜めに振り下ろし、次々と斬り落としていく。


続いてハイグリーは殺害された銃使いが持っていたスナイパーライフルを手にし、スコープでターゲットを捉え、銃弾を撃ち込み、爆破させる。


「ドラ、俺達も戦うぞ」


「いいの? 弾がもったいない気がするけど」


「仲間を見殺しできるかぁ!」


バロンの表情は仲間を見殺しにしろと言っている様なドラの発言に対しての怒りと、戦えると言う喜び、そして殺された者へ償いの悲しみ、この3つが合わさって不気味な笑みになっている。


「バロン、言ってることと表情が有ってないよ」


バロンの表情に恐怖すら覚えるドラ。


「とにかくあのカラス供を仕留めるぞ! メカニカルリーダー達による増援の事も計算に入れておけ!」


頭に血が上った英雄は、殺戮を命じられた鳥達にガトリングガンの銃口を向ける。


「英雄バロンは…………裏切らない!」


英雄(戦いに狂った者)の叫び。

乱射される銃弾は機械仕掛けのカラス(メカニカルクロウ)達に命中し、爆死させる。


「あいつらぁ、カラス達を始末できればそれで良いのかよぉ」


「英雄様は俺らのことなんて眼中にないのさ」


撃ち出される銃弾を避けながら愚痴を言い始める機械仕掛けの鎧を身に付けた者達。


「愚痴を言ってるんだったら戦いなよ。早死にしたくないだろ」


「そうだよ。もっと頑張らないと」


機械仕掛けのカラス(メカニカルクロウ)を左手の甲の刃で切り裂くハイグリーと、リーガーで撃ち落とすマリーの発言に、彼らは逆上する。


「お前達みたいな化け物に言われたくないねぇ!」


「俺達を舐めるなよ! これでも俺達は…………」


その続きを言おうとした次の瞬間、6本の腕を持つキメラを模した化け物2体に後ろから強襲される。

さらに強靭な腕で出入り口を強引にこじ開けられた。


「なに!?」


「こいつらどこから!?」


ハイグリーは魔力で身体能力の強化を行い、救助へ向かう。

バロンも不敵な笑みを浮かべながらブースターで加速し、助けに向かう。


人を救うのも英雄の務め。

狂っていても英雄としてのプライドと人を助けたいと言う優しさは忘れていない。


「届けーーーー!!!」


バトルアックスを化け物に向けて右斜めに振り下ろそうとする。


しかし…………


一歩届かず、化け物の手は血で汚れ、叫びと共に肉片が外に飛び散る。


『キメルダ部隊、機械仕掛けのカラス(メカニカルクロウ)が残した残党を始末してください! あなた達なら全滅させられるはずです!』


サイバーフィンの命令に、吠え、唸り、抜け殻の機械仕掛けの鎧から離れるキメルダ2体。


「バロン?」


「お前は………お前達だけは…………皆殺しにしてやるーーーーーーー!!!!」


目の前て仲間を殺され、狂ってしまったバロンの怒りは頂点に達し、ガトリングガンをキメルダの2体に向けて乱射する。


「もったいないから、これは使わせてもらうよ」


どさくさに紛れて、ハイグリーは機械仕掛けの鎧からサブマシンガンを2丁拝借するのだった。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ