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ダンジョンの怪人  作者: ガトリングレックス
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第12話 再会

殺されると直感で分かる。

彼女は怯え、巨大なデュラハン、デュナイツを見上げる。


「ダキスロン、大事な仲間を良く人間から救い出した。素晴らしいぞ」


「光栄でございます」


ビシッと敬礼をするダキスロンに敬意を表し、デュナイツも敬礼する。


「安心しろ。城には右腕であるダキスロンに連れてってもらえ。きっと馬の合う者もいるはずだ」


誰が秒殺の死神の言葉を信じられるものかと、顔を背ける。


「さあ名前を聞かせてくれ。呼び名を勝手に決められるのはいやだろう」


「…………」


黙り(だんまり)か、まあいい。俺達は国を滅ぼす。ダキスロンよ、彼女を城に連れて行け」


御意(ぎょい)


彼女の考えを完全に無視、ダキスロンは手綱を引いて、上空へ急上昇し、魔王軍の城へ向かうのだった。



一方その頃、ハイグリーとマリーはと言うと、人里離れた知り合いの武器屋に今まで集めた装備を売却していた。


「あんたらも大変だねぇ。ハイグリーは復讐する相手が先に殺され、マリーは買い物するところを失ったんだろう」


ディワンで生き残ったのは逃げ出した王族と隠れていたシスター達のみ。

見捨てられた国民はノーネックナイトによって殺害され、死体が転がっているゴーストタウン状態。


武器屋の店長は装備を鑑定し終え、金貨がパンパンに入った大きな袋をマリーに差し出す。


「ありがとう」


そう言ってマリーは袋の中を確認し、ヒモで閉じると、ハイグリーに渡す。


「そうそう、ハイグリー、あんたにお客様がいるんだ。おーいレラーイさん」


パチンと手を叩き、店長はお客様の名前を呼ぶ。


「レラーイ? まさか、レラーイ先生!?」


驚きを隠せない様子でハイグリーが動揺する姿を見て、彼女は首を傾げる。

現れたのは50代ほどの男性。

短く白髪が混じった黒い髪、キリッとした灰色の瞳、黒い皮製のジャケットに身を包み、灰色のズボンを履き、剣を腰のベルトの左側に取り付けた鞘に納めている。


「やあハイグリー、随分悪さをしていたと聞いたぞ」


「レラーイ先生。おさしぶりです」


なにやら知り合いの感じを漂わせるレラーイとハイグリー。

緊張して身震いが止まらないハイグリーにレラーイは高笑い上げる。


「ハハハハハ! そう緊張するな。俺はただ生徒の成長を見に来ただけだ」


近づいて来るレラーイに、マリーはハイグリーへ驚きの表情を見せる。


「ちょっとハイグリー!? ちゃんと説明してよ!? 私なんにも知らないんだけど!?」


「落ち着いて。この人はレラーイ先生。僕の担任だった人で、剣術の師匠なんだ」


「そう、俺はハイグリーの担任だった。だからこそ聞くぞハイグリー、君は俺から学んだ剣術で何人殺した?」


この緊張感の中、さらに気まずい質問に、ハイグリーは礼儀として仮面を外す。

醜い顔が露わになったが、恐怖だとか、不潔だとか、そんな考えを持ちつつ、レラーイが表情を歪めることはない。

それは生徒に対して、せめてもの礼儀だった。


「覚える余裕なんてありません」


「そうか。君は君なりに生きてきた。だがそれで多くの命を奪ってきたんだろう?」


ハイグリーに説教をするように、レラーイは厳しい視線を向ける。


「俺は人を殺す事を教えたつもりはない。だから殺人鬼になった君を止めなければならないんだ。教師として、師匠としてな」


「僕を殺しに来たんですか?」


師匠の口振りに、ハイグリーは問いかける。

歳とはいえレラーイなら自分を殺害できる。

それぐらいの戦闘能力を持っていると確信しているからこそ、その問いかけを言うことができた。


「いやぁ、別にそうじゃない」


「じゃあなにを…………」


その続きを言おうとした時、レラーイは指を鳴らす。


「ハイグリーと一緒にいるそこのお嬢さん。君の親は3年前、魔王軍の四天王に殺された。そうだろう?」


マリーの表情は青ざめ、思い出したくないあの記憶が蘇る。

巨大な首なしの騎士が家を破壊し、目の前で親の首を刎ね、アンデットにされた絶望の夜を。


「なんで…………知ってるの? 私お母様とお父様がモンスターに殺されたこと…………」


3年間ずっと彼女といたハイグリーの中で言ってはいけないタブー。

まさかそれをレラーイに言われるとは。


「マリー?」


「…………」


下を向いてなにも言わないマリーに、ハイグリーは察した様に仮面を付け直す。


「彼女の親は俺の友人であり、殺し屋だった。おそらく戦闘力を見込まれてデュラハンであり、四天王のデュナイツと言う男が部下にするために襲ったんだろう」


「マリー…………」


レラーイの説明でハイグリーは思い出す。

マリーと出会ったあの日を…………


あれは雨が降る夜の事、ダンジョンから出て、戦利品が入った宝箱を運んでいると、廃墟と化した小さな家を発見する。


(ここで雨宿りするか)


ずぶ濡れの状態で家に入ろうとした。


「たす………けて………」


「うん? 誰かいるのかー?」


ハイグリーの返答に「早く…………助けて…………」と少女の掠れた声で返事が返ってくる。


「待ってろ。今そっちに行く」


宝箱を床に置き、急いで声の方へ向かう。

人殺しである自分が人助けをする。

もし彼女が自分の姿を見たら助けを求めたことを後悔するだろう。

瓦礫に足を挟まれている少女の姿を確認し、闇魔法で筋力を強化、瓦礫を持ち上げる。

少女は足を引きつらせながら暗闇の中で薄っすらと見えるハイグリーに近づいて行く。


「ありがとう。大きな巨人さん」


感謝の言葉を聞いて、ハイグリーは「気にしないで」と返事を返し、床に座り、足を崩す。


「あなたお名前なんて言うの?」


「僕はハイグリー、君は?」


少女は床に体育座りをすると、悲しそうに顔を歪める。


「私はマリー。ねえ。あなたに家族はいるの?」


マリーの質問に、ふてくされるハイグリー。


「殺されたよ。国の人間に」


「そう、同じだね」


「なにが?」


「私も殺されたんだ。モンスターに」


共通点が見つかったところで自分が殺人鬼だと知れば恐怖するに決まっている。

せめて彼女には生きていてほしいと真実を告げる。


「僕はあいつらに復讐するために冒険者を殺してきた。この意味、マリーには分かるよね」


さあ怖がれ、そして逃げろ。

そう思っているとマリーがいきなり抱きしめてくる。


「なんだいいきなり」


ハイグリーは動揺しながら彼女を見ると。


「うっ、うわーん!」


泣いていた。


「じゃああいつらを殺してよ! 私なんでもするから! お母様とお父様の(かたき)を殺してよ!」


マリーの泣き叫ぶ声に復讐者は…………


「殺してあげる。絶対に」

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