第11話 保護
「デュナイツ様、攻め落とす人間の国に到着しました」
ダキスロンが剣を鞘から引き抜くと、一斉にノーネックナイト達は剣を天に掲げる。
「よし。全員、殺戮を開始しろ!」
デュナイツの命令に、全員門へ向かって行く。
「魔物が来たぞー!」
見張りの騎士は敵が来たことを騎士達に伝え、スナイパーライフルの銃口をデュナイツに向ける。
だが突然現れた鎧を装備したナーガに剣で首を刎ねられ、デュナイツの死霊術でノーネックナイトの仲間になった。
門が開かれ、騎士達が叫びを上げながらノーネックナイトに突撃する。
しかし1人の騎士が後ろから首元に銃弾を受け、膝から倒れ込む。
その姿を確認すると、通称ノーネックガンナーは見張りの塔をハシゴで下り、国民に銃口を向け、発砲した。
「ダキスロン、先に国で暴れて来い。俺はこいつらを部下にしてから向かう」
「御意」
次々に騎士達をなぎ倒し、ダキスロンはデュナイツの指示で黒きペガサスで上空へ、国に侵入した。
人間達をあの世に送る。
デュナイツにとってこんなにも有意義な時間はない。
「さあ、お前達を部下にしてやろう」
大剣を左手で軽々と振り回し、秒殺の死神はまるで蟻を潰すようにして騎士達を殺戮するのだった。
たかが人間風情に本気を出さなければならないと言う命令に、ダキスロンは正直うんざりしている。
自分はモンスターであり、人間より優れている。
そうずっと親から教わってきた。
(デュナイツ様はなぜたかが人間をすぐに抹殺しようとするのだろう。まったく理解できない)
ナーガに人間の命を奪わせながらデュナイツの言動について考えていると、逃げ惑う帽子を被った女性が転んでしまう。
帽子が脱げ、獣の耳が露わになる。
ゆっくりとダキスロンが近づくと、帽子を被り直し、立ち上がって逃げようとしたので、ナーガに道を塞がさせる。
「なぜ逃げる。お前も私と同じ魔物だろう?」
その質問に対して、女性は恐怖に襲われ、目が泳ぐ。
「私は戦わない。私は戦わない。私は戦わない。私は戦わない。私は戦わない。私は戦わない。私は戦わない。私は戦わない。私は…………」
「落ち着け。魔王軍は魔物に人間と戦う権利を与える。だが強制ではない」
頭を抱えブツブツと言い続ける彼女の言葉を遮り、ダキスロンは剣を腰に付けた鞘に納める。
彼女になにがあったか知らないが、ここにいるのは危険だ。
確かに戦いを引き起こしたのは自分達である。
しかしまさか彼女の様な魔物が住み着いているとは思いもしなかった。
「お前を城に連れて行く。これは強制である」
「いや、いやです!」
「強制だと言っているだろう。鎖よ、彼女を捕らえろ。優しくな」
ダキスロンの命令でナーガは剣を石畳の道に突き立て、両腕で後ろから抱き留めようとする。
すると何やら金属が擦れる音が聞こえた。
「待て。彼女も我々と同じ魔族だ」
その言葉に対して、ノーネックガンナーは銃口の狙いを女性からハズす。
「は、離して!」
ナーガに抱きつかれ、持ち上げられた女性は叫びを上げ、足をバタつかせる。
そんな彼女の行動に、首なしの2人は思った。
なぜ同じ魔族なのにこうも嫌われるとは。
「お前は人間を殺して来い。私は彼女をデュナイツ様の元へ連れて行く」
鉄蛇の死神の命令を受け、ビシッと敬礼し、かつて守る者だった国民を駆逐しに走って向かった。
「お願いだから、連れて行かないで!」
「何度も言わせるな。モンスターという者は人間と共存できない。そして強制だと言ったことを忘れたことに私は怒りが込み上げてきたぞ」
ダキスロンは理解力がたりない女性に怒りを表すように左手で拳を作る。
「忘れてないですよ!」
そう叫びを上げながら彼女は左の肘でナーガの頭を叩く。
「いったぁ」
だがそんなことをされたところで鎧は硬く、しかも動じることなどありもせず、そのままペガサスの背中に乗り、主人と共にデュナイツの元へ向かうのだった。
一方その頃、殺戮を終えたデュナイツは、死霊術で騎士の首のない死体をノーネックナイトとして蘇らせていた。
(人間は簡単に倒すことはできる。とは言え侮ってはならない。なぜなら自分が強いと確信した時、すべてを弱者だと勘違いする。だから俺は誰に対して容赦はしない)
金色の刃を血で染め、戦場を駆ける。
すると門の上からダキスロンが黒きペガサスに乗って降りて来た。
目が女性を追い、違和感を覚える。
「ダキスロンよ、なぜ人間を連れて来た?」
厳しい視線と質問に対して、焦りなど微塵もなく、余裕な素ぶりでダキスロンは敬礼する。
「いえ、我々と同じモンスターです。鎖よ、彼女から帽子を脱がせ」
命令を聞き、首を縦に振り、ナーガは女性の帽子を無理やり脱がす。
獣の耳が生えているのを確認し、デュナイツは大剣を背中につけた鞘に納める。
「確かにこれはモンスターの耳だ。俺は魔王軍四天王の1人、デュナイツだ。お前の名を教えてもらおうか」
「し、四天王!?」
驚きで耳をピクリと立て、恐怖があまり涙が溢れ出す。
「そう怖がることはない。我々魔王軍はモンスターを保護する活動をしている。もう人間の中で怯えながら生活する必要はないのだ」
デュナイツの言葉が信用できない女性は、(絶対ウソだ!? 殺される!?)と完全に殺害されると確信するのだった。




