『小説家になろう』全体はどうなっているのか?
最初に見ていただくのは、2017年全データと2018年全データの比較結果です。2018年を通して『小説家になろう』全体がどの程度成長したのかを見比べるわけですね。細かいところをより理解するためにも、まずは全体の状態を確認してみましょう。
上記の図は、『小説家になろう』全体における0ポイントと1ポイント以上の小説に関する棒グラフです。上段が件数で、下段がその割合になっています。
上段の件数の棒グラフについてはあまり言うことはありません。毎年たくさんの小説が投稿されているわけですから、ポイントの有無にかかわらず小説の件数が増えているのは当然の結果でしょう。
一方、下段の割合の棒グラフですが、こちらはほぼ横ばいになっています。若干0ポイント小説の割合が増えているのが気になるものの、その差異はまだ無視しても良いでしょう。2016年の0ポイント小説の割合は約45%でしたからまだ問題ない水準です。
次に上記の表は、獲得したポイントに応じて各階層へ小説を割り振った一覧表です。0ポイント層を先頭に全14階層に分けました(総合計は除く)。前回までと違い、今回からは1万ポイント以上も4つの階層に区切りました。左側が件数で、右側がその割合になっています。
左側の件数の表についてはあまり言うことはありません。毎年多数の小説が投稿されているのですから、どの階層も順調に小説の件数が増えています。
一方、右側の割合の表ですが、こちらも大きな変化はなさそうです。つまり、どの階層も満遍なく小説の件数が増えているわけですね。真っ当な成長をしているとも言えます。指摘することがあるとすれば、1~24ポイントの階層と25~49ポイントの階層の割合が若干低下していることくらいですね。
次は2017年年間データと2018年年間データを見ていただきます。1年単位で投稿された小説や付与されたポイントを比較した場合は、どのような変化が見えてくるでしょうか。
上記の図は、1年間に投稿された0ポイントと1ポイント以上の小説に関する棒グラフです。上段が件数で、下段がその割合になっています。
上段の件数の棒グラフですが、1ポイント以上の小説の件数が2千件ほど減っています。0ポイントの小説はほぼ変化なしですから、投稿数が減った分だけ1ポイント以上の小説が減ったことになります。数だけ見れば大したことはありませんけど、まるで読者がポイントを付けたくなる小説が減ったように見えて不安になります。
一方、下段の割合の棒グラフですが、こちらは若干0ポイント小説の割合が増えて、1ポイント以上の小説の割合は減っています。ポイントの付く小説だけが減ってしまえばこのような結果になるのも仕方ありません。
次に上記の表は、獲得したポイントに応じた階層へ小説を割り振った一覧表です。左側が件数で、右側がその割合になっています。尚、10万ポイント以上の階層で小説が5件あるのに割合が0%になっているのは、小数点第3位以下は切り捨て表示になっているからです。今後も分母に比べて分子が小さすぎる場合はこのような現象があります。
さて、ひとつ前の棒グラフで2018年は1ポイント以上の小説の件数が2千件ほど減っていることがわかりましたが、左側の件数の表でどこが減っているかわかりました。1~24ポイントの階層と25~49ポイントの階層ですね。特に1~24ポイントの階層が減っています。右側の割合の表もこれを受けて同じ傾向になっていますね。
これで高ポイントの階層も満遍なく減っていれば由々しき事態でしたが、何と50~99ポイントの階層以上は増えています。この表だけを見て論じようとしますと、2つ推測ができますね。1~24ポイントの階層と25~29ポイントの階層で小説が減ったことを重視しますと、2018年はより質の高い小説が多く投稿されるようになったのではないかという推測がひとつ。50~99ポイントの階層以上で小説が増えたことを重視しますと、2018年は読者がより積極的にポイントを付けるようになったのではないかという推測がもうひとつです。ただし、0ポイントの階層の小説件数に変化がありませんので、読者がポイントを付けるに値すると判断した小説のみという前提条件がどちらの推測にも付きます。こう、すぱっときれいに論じられないところが難しいところですね。
次は2017年転生転移データと2018年転生転移データを見ていただきます。これは、『小説家になろう』の登録必須キーワードの項目欄にある、異世界転生と異世界転移にチェックがされている小説が対象となっています。それ以外は2017年年間データと2018年年間データの場合と条件は同じです。
上記の図は、1年間に投稿された異世界転生と異世界転移(以後、転生転移)の小説に関する棒グラフです。上段が件数で、下段がその割合になっています。
上段の件数の棒グラフと下段の割合の棒グラフですが、どちらも同じですね。厳密には若干数値が異なりますけど、本当に若干過ぎて誤差と考えても良いくらいです。上記の棒グラフからですと、転生転移の小説はこの2年間で大きな変化はなさそうです。
次に上記の表は、獲得したポイントに応じた階層へ小説を割り振った一覧表です。左側が件数で、右側がその割合になっています。
棒グラフでは2017年と2018年に差異はありませんでしたが、階層ごとではどうでしょうか。見比べてみますと各階層で多かったり少なかったりとしますが、それでも大きく差がついている階層はないようです。それは左側の件数の表も右側の割合の表も同じです。つまり、階層単位で見ても転生転移の小説はこの2年間で大きな変化はないということですね。
ちなみに、転生転移の小説ならば読者からたくさんのポイントをもらいやすいと前回まではお話していました。今回もそうなのか調べてみたところ、次第にそうではなくなってきているようです。とはいっても、転生転移の小説の勢いが衰えてきたわけではありません。転生転移以外の小説を読者が評価するようになってきたからです。調査の結果、ほとんどの階層で2018年には2017年ほどポイントをもらえなくなってきていました。特に高ポイント狙いで転生転移の小説を書いても、今では2500ポイント以上の階層で大きな効果はほとんど期待できなさそうです。
尚、調査結果を下記に『転生転移の小説に対するポイント付与のされやすさの割合』として表を掲載します。根拠となるデータは、年間データと転生転移データで公開した『獲得したポイントに応じた階層へ小説を割り振った一覧表の割合』(右側の表)の数値を使用しています。計算方法は、各階層で『転生転移データの割合÷年間データの割合』としています。小説件数ではなく割合の数値を使っているのは、総合計に対して各階層が占める割合を比較するためです。
計算方法:『転生転移データの割合÷年間データの割合』を各階層で実施
『小説家になろう』全体については以上です。2017年以降は、地味に転生転移以外の小説が盛り上がってきたことがわかりました。転生転移の小説の勢いに変化はないので、どちらも盛り上がるということは『小説家になろう』にとって非常に良いことです。