巻きの13『こんな授業風景ってどうよ?』
「はい。長野県の県庁所在地わかる人はいますか?」
『……』
「いない。そうですか。馬k……じゃない、ちゃんと復習しないといけませんねぇ」
……今、絶対に『馬鹿』って言おうとしたと思う。気のせいでしょうか?
えっと、只今四時間目の授業中の拓也です。ちょっと今日僕たちのクラスの授業風景を紹介しようかと――
「答えは長野市ですよ?馬鹿ですか皆さんは」
言ったー!?
「おっと、そういえば自己紹介がまだでしたね」
「え?先生もう自己紹介しましたよ?」
「キミたちにじゃないですよ、生徒A君」
「僕Aって名前じゃないですよ!」
「スイマセンね、名前忘れました。だからこれからもA君で」
「え!?」
可哀想ですよ先生……。いくらなんでも。
「私は松谷柊斗。この3年憎みの担任です」
「先生っ漢字違いますって!3年を憎まないで!?」
「お、いいツッコミですね拓也君」
「あ、僕の名前は覚えてるんですか」
「何らかの特徴がある人は覚えてますよ?君のツッコミには光るものがありますしね」
「へ?あ、どうも……」
「おっと、話が逸れてしまいました。では次。香川県の県庁所在地は?」
「香川市!」
「ははは、引っかかりましたね生徒B君。単純だなぁ」
「単純……」
先生ー?B君ショック受けてますよ?
「答えは高松市ですよ」
「ねぇせんせー?」
可奈が手をブンブンしてる……。なしたの?
「つまんないよー」
「おぉ、可奈さんもそう思いますか。ちょうど私も詰まんねぇなぁと思っていたところですよ」
詰まんねぇなぁって……。
「何かして遊ぼうよぉ〜」
遊ぶって…ダメでしょそれは。
「いいですね!ナイスアイディア!!」
え!?いいの!?何かテンション上がってますね先生!?
「……でも可奈さん。一応授業中ですし、それなりに授業っぽいことをしないといけませんね。教頭に見られたらまずいですし」
授業っぽいって何?
「じゃあ、先生が何か授業っぽい問題を出して、それに面白い答えを言った人が勝ちって事で……おっけ?」
「勝ちって何に!?」
「自分自身に」
……何か深いなぁ。
「では、今日の授業目標を発表して下さい可奈さん」
「今日の授業目標!自分に打ち勝て!!!」
『……』
……うん、みんなこのテンションについて行けてない様です。僕も含めて。
「いぇ〜!良い事言うねぇ〜!!!」
あ、もう一人ハイテンション少女がいた……。
「では早速始めましょう!」
始まっちゃったよ……。
「鎌倉幕府を開いた人物とは?」
「はいっ!」
もちろん今のは可奈ね。
「どうぞ。期待してますよ」
「綾小路きみまろ!」
「えぇっ!?いや、確かに居そうだけどさ名前的に」
「うん、やっぱりツッコミがいると締まりますね。どんどんツッコミ入れちゃって下さい」
……。
「以後世に広まる?」
「韓流ブーム!!」
今度は理恵。って韓流!?
「何!?さっきからおば様方が喜びそうなのばっかりじゃないのよ!」
あ、解説してる間に先越された。
「お、ツッコミ二号機さん。グッドです!」
「二号機言うな!」
「うんうん。将来良い『いじられキャラ』になりそうですねぇ」
「あ、まっつん?もうなっちゃってる、なっちゃってるー」
『まっつん』は松谷先生の事ですよ?もちろん言ったのは理恵だけど。
「なってないわよ!」
「うんうん。いいですねぇ」
「先生もしみじみと頷くなぁっ!」
「さぁ次いきましょうか」
「無視するなぁぁ〜!」
結花さーん。気持ちはわかるけど言葉づかいが崩れてるよ?
「隣の客は?」
「よく客食う柿だ!!」(可奈)
『人食い柿!?』
「お、ツッコミ一号機と二号機合体ですか?ラヴですねぇ」
『違う違う違うって!!!』
「一文字たりとも違っていない……。そこまでとは、流石ですね」
『ひゅーひゅー』(可奈&理恵)
『ちがぁぁぁう!!!』
「こら、何してるのさっ!」
うわっ校長先生だ……。
「あたしも入れろ♪」
はい!?
「いいよー。希ちゃんも遊ぼー!」(可奈)
そういえばこの人、松谷先生の姉だった。
『希ちゃん』って言うのは校長の事です。入学式のときの挨拶で――
「あたしは松谷希。ここの校長だ。希ちゃんと呼んでいいぞ」
――だってさ。
まぁ、そう呼んでるのは可奈と理恵くらいだけど…。
「ぜぇぜぇぜぇ……」
ん?誰か走って来た……。
「校長っここに居ましたかっ。やっと見つけましたよ……ぜぇぜぇ……」
「げ、教頭……」
「書類の整理をして下さいとあれ程言ったのに……逃げないで下さいよ。……ぜぇぜぇ……」
教頭先生……どうしてそんなに息を切らしてるのですか?
「あ、あはは……ごめん教頭。……逃げっ!」
校長足早っ!?
「あ、校長!逃げないで下さいよ……私もう限界です…」
ドンマイ教頭。そうとしか言いようが無いや……。
「おーい。あたし抜きで面白いことすんなよぉ〜!」
そういって、また校長は逃げ去って行きましたとさ……。
「むぁってくださぃよぉー……」
哀れなり教頭。
キーンコーンカーンコーン。
「あ、もう終わりですか。早いですねぇ。では給食にしましょう」
3年2組では、こんなかんじの授業が全体の約3分の2を占めているのでした……。
授業日数足りてないと思うんですが……。
松谷先生のキャラがなんとなく掴めました。
こんなヤツが先生になっていいわけ?と言われそうですが、なっちゃったモンは仕方が無い。…そういう事なのですよ。
ちょっとキャラが増えたので、また番外でキャラ紹介しようと思いますんで。…前回が10話だったから20話くらいですかね(けっこう遠いな)。
えと、評価や感想いただけると嬉しいです。……ではまた次回っ。