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妹の妹による妹のための家庭  作者: 棚から銀髪子猫(求)
3/6

登校中だけどお兄ちゃん抱きついて良いよね?勿論さ!

結構ペースが遅い…………

どうも、妹の律奏です。


ここ数日、お兄ちゃんが家に帰ってこなくて寂しいので、とりあえずベッドでブリッジしていたあの律奏です。


それはさておき、今日は大事な漆ヶ丘学園の入学日な訳で。


小等部から大学まで設けてあるこの学校は、東京都漆ヶ丘市伝統行事である漆祭___つまり、市行事のボランティア会と学園祭の先行係が合同で行う祭りが有名。


お兄ちゃんメモによると。元々、漆ヶ丘大学は7年前に出来た新設校で高等部までしか無かった漆ヶ丘学園の高等連携対象だ。漆ヶ丘大学の特選理学部と言えば今じゃ、日本最大のARWU__世界大学学術ランキング1位を誇る大学。


大企業、薄氷株式会社によって設立されたその学校は現在熱狂的な人気を独占している歌手or俳優であり、日本防衛省、独立非政府組織、開発課の天才敏腕研究者である音無奏風の功績によって先導され、彼への設立案を援助することで設立が決定されて今に至る。


私は、そんな学校に県営バスで小学生から二つ隣の月夜市から通っていたのであまり緊張していない。


今年から独り暮らししようとしていたお兄ちゃんと一緒に暮らす為、家を出てお兄ちゃんの下に来たのだ。


だから、高校入学という名目でこの町に引っ越して来たという事。


11才以前は家系の本拠地である漆原市に住んでいたわけだが___そこはまあ、とある家系の事故事情って奴。




「それじゃ俺は先に体育館へ行くからまた後でな」


「オッケー! そんじゃね!」


と言って手を振りつつ、校門の前で別れる。


お兄ちゃんが去っていく後、後ろをちらっと振り向き、その小さな背中についつい魅入ってしまう。


__お兄ちゃんは背が高い方ではない。さっき述べた事故事情で今はどう高く見積もっても、160㎝も無く、私より少し高いくらいだ。


以前、理由をお兄ちゃんに直接訊いてみたりマネの人に隠れて訊いても、何か明さまに誤魔化したり話を逸らしたり、さっぱり分からない専門用語ばかり並べて、難解な暗示で催眠操作してくる程はぐらかしてくる。


頑なに教えてくれない様なのでその後追及しなかったが、明らかに異常な現象が起きているのは事実だ。


容姿に関してもお姉ちゃんと呼んだら訝しがられたが、実際は女の子な訳では当然ない。


____が、


「あの娘、めっちゃ可愛いなぁ」「思った思った。あの娘も入学してくれんかな~」「ねえねえ、あの人すんごいイケメンじゃない?」「分かる分かる! どっちかって言うと美少年だよね!」「綺麗な長髪だし、睫毛も長いし…………。王子系って奴?」「なんか美形の外人っぽくないか?」「貧乳だけどそれもまた良い! いや、むしろ良い!」「はぁはぁ…………、美少女、はぁはぁ…………」


こうも間違えられるお兄ちゃんは少し不憫だなぁ。少なくとも女の子からは、纏っている雰囲気や言動からイケメンに見られるのだが。


実質、現在も校門前で男女関係無く、黄色い声援が贈られている。

根元からかけて緋色と銀色がグラデーションに混ざりあった流麗な長髪に、宝石のように輝く髪色と同じ緋色と銀色のオッドアイ。華奢な痩躯だが一切無駄の無い体型。まさしく完璧な美少年。いや、髪を後ろでくくっているが少女にしか見えない。


妹として複雑だけどね…………



「でも! お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだから、絶対あげないけどね!」


誰もいないところで変な変身ポーズを取りながら独り言を放つ。こういうところを兄は直して欲しいとも思いも知らずに。


___本当にこういうことに関しては兄が入学しなくて良かったと思う。


そう、心から感じるのだった。


その後、私はお兄ちゃんの背中を見送ると、急いで入学式説明会場所の西体育館に向かった。


また体育館で会えるだろうし、どうせいつも通りの無表情で居座るつもりなんだろうなー。


実際、お兄ちゃんボケてる時も真顔だしね……。真顔過ぎて逆に面白いけど!





そして快晴の大空の下、律奏は表情が緩みながらも早歩きで体育館の中に入っていった。

4話目もどうぞ宜しく!

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