第25話 ◆・・・ 王女が映す今 ・・・◆
進級試験の日に起きた事件は、その後で、お婆様が明白な冤罪事件だと。
試験翌日に行われた全校集会では、語気を強めた声で叱る様に断言されました。
事件へ関わった風紀委員のことでは、これを風紀委員会として連帯した責任を負う。
学院に籍を置く全生徒の模範でなければならない風紀委員が。
あろうことか大陸憲章を無視した蛮行を犯すなど。
問題は、そういう土壌を作ってしまった事にもある。
よって、事件に直接関与した風紀委員だけでなく。
委員会組織そのものが腐り切った故、一掃しなくてはならない。
お婆様の激しいも分るお怒りは、全校集会で『万死に値する』と、それこそ玉座の上から叱るときの姿まで重なりました。
風紀委員会は解体。
委員会に所属していた風紀委員へも。
全額、一部に関係なく。
寮費と授業料の免除が取り消されました。
また、個室を与えられていた生徒へは、個室からの退去も科されました。
風紀委員会を解体した後。
学院の風紀に関して、新しい組織が発足するまでの期間。
カミーユ・ルベライトは、お婆様へ近衛隊でも構わない。
誰か相応しい人物へ、相応しい部下を付けて風紀の監督をさせる様に。
お婆様は、この要請へ。
そこでカミーユ・ルベライトから名を挙げられたイリア大尉を監督に任命すると、副官には同じく名の挙がったティルダ中尉を任命しました。
正式な配属は、それは4月になってからだそうです。
私の護衛をしていた二人ともが。
ですから私は、私的にイリアとティルダへ尋ねました。
『カミーユ・ルベライトは、どういう目的なのかは別に。私とティルダの二人が、以後は公然と学院内で姫様の傍に居られる。そのための、表向きには体裁を整えたのだと。陛下からは、その様に受けております』
カミーユ・ルベライトは、私がイリアとティルダから護衛されている事実。
一度も話した事はありません。
というよりも、二人のことは、友達のミレイユとジーナにさえ。
私は、お婆様からの言い付けもあります。
そのため、正体を伏せているのです。
一体・・・何処からこの事を知ったのでしょうか。
やはり、お婆様が明かしたのでしょうか。
そんな二人は、今は人選を進めているそうです。
はっきりとは決まっていませんが。
王立学院の全体の風紀を監督するためにも。
必要な人員も、100名程度は揃えると。
イリアからは、内密に教えて貰いました。
それから。
クルツ君を殺そうとした件。
お婆様は、たとえ未遂であっても、罪を問わない訳にはいかない。
メイナ・モランシー先輩だけは、裁判にかけると。
メイナ先輩だけは留置場へ移送する。
そうして、後は裁判で下された刑に服させる。
月が替わった4月になっても。
メイナ先輩だけは、留置場で今も、裁判を待っています。
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あの事件では、カミーユ・ルベライトから本当の母様の事で。
私は、彼から預けられた母様を知る手掛かりを、それは事件の後から目を通しました。
私が知らないでいた本当のお母様。
名前がフェリスだという事も。
本当のお母様は、平民の出で、お父様との事では、お婆様が二人だけの会談を持っていた事も。
お婆様は、私の本当のお母様のことを、大好きだった。
お父様とフェリスお母様になら。
ローランディアの未来は、今よりももっと良くなる。
カミーユ・ルベライトから受け取った資料には、フェリスお母様が何故死んだのか。
母様は、私を産むときに何かがあった。
受け取った資料には、詳しいことが何一つ記されていませんでした。
ただ、女性が出産の時に衰弱するなど。
そうした事が原因での死亡は、今でも起きる。
調べて分かった事は、今よりも昔の時代には、出産が母体の死を伴いやすい事だった。
医療の発達で、少しずつでも安全な出産が出来る環境。
これは、昔と比べて格段に良くなっている事も知りました。
けれど、どんなに環境を整えても。
出産に伴って母体が、あるいは生まれて来る筈の命が。
何方かであったり、最悪は両方ともが。
出産に関わる死亡事故は、確率が低くなっただけで、ただし、今でも起きている事が分かりました。
カミーユ・ルベライトは、そういう部分を私よりも。
直接聞いてはいませんが、ただ、何となくでも知っているのではと思いました。
それと、今回の事を機会に。
私は、大図書館を以前よりも利用する様になりました。
何故なら。
大図書館には、フェリスお母様の足跡が残っているからです。
お母様の事が僅かしか載っていなくても。
でも、お母様の事が記された資料へは、全部に目を通そうと決めました。
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新入生たちを迎える入学式の朝。
私は、カミーユ・ルベライトの手で、みんなが見ている所で服を粉々にされた。
あの時も、裸にされた私は、友達のミレイユとジーナが直ぐに来てくれなければ。
もっと恥ずかしい思いをした事と思います。
ミレイユとジーナは、私へ自分達の上着を脱ぐと掛けてくれました。
後は使ってくれと、そう言って外したマントを貸して下さった警備の人にも。
私は、私を助けて下さった友達や警備の方へは、心の底から感謝もしています。
カミーユ・ルベライト。
彼の横暴には、悔しいもあります。
憤りもあります。
入学式の日まで、彼は自分には関係ないことだと。
そう言って、私を辱めました。
事実、王立学院では、彼のことを、悪魔が微笑むような魔王だと。
女子達の中には、彼に裸にされるのが怖い。
だから、絶対に近付かないを口にする者達が多いのです。
私だって、彼には関わりたくありません。
ですが、彼の横暴へは、屈服も泣き寝入りもしたくありません。
カミーユ・ルベライトだけが使う悪魔の力。
男子生徒も、女子生徒もです。
あの悪魔の力によって、被害者が多数生まれました。
すっぽんぽん魔法
覗き魔法
これが、カミーユ・ルベライトだけが使える、悪魔の力です。
はっきり言って、悪魔よりも不埒な力だと思います。
カミーユ・ルベライトは、鼻で笑いながら。
私達が身に付けている物だけを、粉々にする力だけでなく。
女性を服の上から、好きに覗くことが出来るそうです。
そうやって下着姿を物色したり。
更には、下着まで透かせて、裸を物色しているのですよ。
だから、エロ魔王と罵られるのは、それは当然だと思います。
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入学式があった日の午後。
魔王カミーユ・ルベライトは、校舎内に在るサロンを、大図書館を改装した時と同じ様に。
突然、閉鎖しました。
サロンと接する廊下までを閉鎖した後。
学院へは、何かの工事でしょうか。
そういう仕事をしているのだろうを思える人達が、数十人は来たと思います。
閉鎖の理由は、その日の内に掲示板へ張り出されました。
『生徒職員向けの食堂を設置するため。校舎一階のサロンを閉鎖します。また、改装期間中は工事関係者が多数出入りします。生徒職員へは、工事関係者の作業を妨げる事が無い様に。これを厳命します』
この張り紙を見た後で。
私は直ぐに理事長室へと赴きました。
お婆様が未だ居る間に、何故、こうも横暴を許すのか。
真意をお伺いしたかったのです。
理事長室には、お婆様は居ませんでした。
ですが、お婆様の所在が大図書館だという事は、他の先生方から聞き知ることも出来ました。
私は駆け足で、大図書館へ急ぎました。
今朝には改装が終わったらしい大図書館は、入学式の前にマクガレン学院長と、それからお婆様も中へ入ったくらい。
そこは私も知っています。
なのに、カミーユ・ルベライトは、改装が終わった大図書館へ。
なおも、許可なき者の入館を認めていなかったのです。
大図書館の玄関ロビーへ入った私は、そこに立っていたカミーユ・ルベライトとは親しい女性。
司書のプリムラさんの事は、内心で羨ましいスタイルをしている。
そのくらいには思った事もあります。
私はプリムラさんへ。
お婆様が此処に居らっしゃると。
カミーユ・ルベライトの横暴の件では、お婆様が許可した真意を伺いたい。
『ルー君からは、王女殿下が来た際には通して構わない。そう承っています』
簡単には通して貰えないだろう。
そう思っていた私は、何か肩透かしもありました。
けれど、入って良いのなら。
こうして、私は館内へと足を踏み入れたのです
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カミーユ・ルベライトが全て手掛けたらしい館内は、想像を絶した光景になっていました。
そうして、私は絵本でしか見た事の無い。
空飛ぶ魔法の絨毯なんて。
これを自作したと口にするカミーユ・ルベライトへは、ですが、この空飛ぶ魔法の絨毯へ乗っていたお婆様。
私には、何かとても楽しそうに映ったのです。
「という訳で、古くなった王立学院だが。新しくするためにも、今年度は多忙になるぞ」
私はカミーユ・ルベライトに案内されると、世界樹という名前の、大きな樹木を見上げられる所で。
お婆様も交えての会話は、ただ、途方もない事をしようとしている。
「カミーユ・ルベライト・・・さん。本当に出来ると思っているのですか」
「なんだ。クロは反対か」
「その、王立学院での生活環境を良くしたい。そのための食堂の設置などには、私も良いと思います。ですが、食堂を設置すれば。調理のための職員も雇うのですよね」
「無論だ。この件はフェリ婆さんにも話をしてある。実態調査も要るだろうが。王立学院で生活する少なくない数の人間が。恐らくは栄養面での看過できない状態にあると見越した。よって、栄養面をしっかり見てくれる。そうして、生徒職員の誰もが。必要な栄養と共に、満たされる食事環境が要ると判断した」
「クローフィリア。私も、カミーユから話を受けて。この件は早急に改善する必要があると思いました」
「お婆様・・・はい、確かに。私も生徒や職員の食事が良くなることであれば。異存ありません」
私が聞いた話は、住環境と、食の環境を改善するというもの。
そうして、特に食事の環境には緊急性もあるという話だった。
緊急性は、私達生徒は特にだと。
カミーユの話では、私達は成長期にあるにも関わらず、必要な栄養を十分に取れていない。
これでは、成長障害を起こしても不思議でない。
成長期には、必要な栄養をしっかりと取って。
そうして健康な身体作りをするのが肝要だと。
この話の中で、カミーユからはお婆様へ、栄養面の知識に精通した専門家を一人でも雇いたい。
お婆様も、そういう事であれば協力は惜しまないと。
話し合いの席には、途中からマクガレン学院長も参加していた。
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私も好印象は抱けないカミーユ・ルベライトだけど。
此処での話し合いでは、尊大も思えた口調が、何故か玉座に座るお婆様を思わせる。
最初、横暴に映った事が。
そうした事情を聞く中で、今は威厳の様なものを感じるのです。
カミーユ・ルベライトの行為は、確かに専横的な所はあります。
反対に、専横的でありながら。
私利私欲で、王立学院を私物化している・・・とは思えないのです。
こうして直に考えを聞いて、彼には、しっかりとした考えがある。
それも、お婆様やマクガレン学院長も頷くだけの考えです。
「陛下。確かにカミーユ・ルベライトの考え方は。これを全て実行するために。そのための独裁者の手法を選んだとしても。それは理解る所があります」
「えぇ、私もセレーヌと同じです。此処までを成すために。そのために意図して独裁者となったのかと」
「別に、そういう訳でもない」
「なら、貴方は何故。悪戯に悪役となった訳ではないのでしょう」
お婆様の言葉は、一瞬でも私へ、懐疑を抱かせました。
「カミーユ。貴方は先月の事件の際。そこでは憶測だけがもたらす過ちの怖さを。私を故意に犯罪者へ仕立ててまで教えようとしました。そうして、推定無罪の原則。憲章が定めた人権や人格の尊重も説きました。真に悪ならば。このような事は声にしないでしょう」
お婆様の口から改めて聞くと、私も何故か否定は出来ないのです。
カミーユ・ルベライトへは好感を抱けないのに。
何故か、あの時の様な憎む感情が出て来ません。
「カミーユ。私は、自らを目的のために悪役に仕立て上げた貴方が。それで何を目論んでいるのか。そこは分かりません。ただ、私はカミーユを信じられる。これだけは伝えておきます。見た目は確かに子供ですが。為政者としての手腕には、高い有能さも備えていると。だから、任せるのです」
「フェリ婆さんが、俺様をどう思おうと。それは好きにすれば良いさ。だが、俺様は本気で学院を変えるために動いている。生まれ変わらせると、そう言ってもいい」
「えぇ、信じています」
「今は先ず、衣食の環境改善に手を付けたが。授業体制や、進級に関わる部分へも。これも先に言って置く」
――― 学院で学ぶ全てが。二度と命を奪われる事を許さない ―――
私は、カミーユ・ルベライトへ。
この時には、あの琥珀色の瞳に、彼の中にも強い信念があると。
それも、私もそうしたかった部分で、だから、好きにはなれなくても。
たぶん、嫌いにもなれなさそうです。
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様変わりした大図書館は、私も王立学院へ入学した後で。
これだけの人達が足を運んだ大図書館は、初めて見ました。
でも、分かる気がします。
浮遊するシャンデリアや時計も。
転輪羅針儀がクルクル回りながら浮遊する光景は、何か魔法文明が此処に在る。
砂ではなく発光するマナ粒子が立ち昇る砂時計の様なものも。
ですが、此処に集まる殆どは、1時間に1度しか見られない。
世界樹と呼ばれる大樹から一斉に立ち昇るマナ粒子の光景は、本当に神秘的で強く感動させられます。
これら全部が、カミーユ・ルベライトによって手掛けられた事で。
好意や嫌悪は別に。
カミーユ・ルベライトの実力が、私達とは次元も違う。
それを認める人達も、少なくないと思います。
なのにです。
改装後の開放された大図書館は、連日、大勢の生徒職員が赴く場所になったというのに。
突然、入館料5000マルクを設定したカミーユ・ルベライトの所業には、彼を少しは見直したのに。
私は、そんな私が、馬鹿だったと思わされました。
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3週間程の改装期間を終えて。
サロンは、レストランへ様変わりしました。
営業時間は朝の6時から。
ラストオーダーは午後8時。
閉店は午後9時です。
メニューは日替わりする物もありますが。
デザートも含めて60品以上は出ていると思います。
利用する私達は、ビュッフェ形式ですから、食べたい物を、食べたい分だけ取ります。
そうして、メニューによっても多少の差はありますが。
取った分の代金を支払った後。
空いている席を利用して食事をします。
そうですね。
市街にあるレストランと比べても、7割くらいは安いですよ。
これだけ安く食べられるのに。
栄養もしっかり考えてあるのです。
デザートも、ビタミンやカルシウム等を摂取できる。
そういう材料を使って、とても美味しいのです。
レストランの事では、私も知っている王都のロイヤルホテルから。
何方も現役を引退した方だと記憶しています。
一人は、オープンしたレストランで、支配人を任されたアズールさん。
まだ50代のアズールさんは、お婆様が良く人を見ている御方だと。
人物評に長けたアズールさんは、現役時代、王都のロイヤルホテルで総支配人を二十年近く勤めて来た方です。
オールバックにしている栗色の髪は、半分くらい銀色も混ざっていますが。
スラリとした方で、フォーマルがとてもよく似合う。
いつも優しい表情をしている素敵な紳士だと思います。
二人目は、アズールさんが現役の総支配人を務めていた頃。
同じ王都のロイヤルホテルで、総料理長を務めたピーターさんです。
そうですね。
ピーターさんは、何方かと言えば筋肉質な体形だと思います。
性格も明るいと言うか、明る過ぎると言いますか。
声が大きくて、とにかく元気な御方です。
アズールさんとは歳近いも聞いていますが。
短めの茶髪が、ああいう性格もあると思います。
とても若く見えますよ。
ピーターさんも、アズールさんと同じ頃に引退したと聞いています。
そんな二人が、今度は王立学院のレストランに居るのです。
そうして、ピーターさんから学びたいと。
王国中のレストランからは、勤め先を退職してでも此方へ転職したい。
そういう方々が、50人以上も集まったんです。
勿論、アズールさんから学びたいと、同じ様に集まった方々も居るのですよ。
それから、私は初対面なので良くは知らないのですが。
私達の食事について。
栄養面の管理をしてくださるのが、シズクさんという30代の女性です。
栄養士の資格を持っている事はそうですが。
マクガレン学院長から聞いた話で、実は若さに似合わない経歴の持ち主だと判明しました。
シズク・キリュウさん。
サザーランド出身のシズクさんは、十代の内にレナリアにあるホリスティア機関へと採用された後。
主に、栄養学を専攻されたとかで。
王立学院でも、高等科で使われる最新の栄養学の教本は、シズクさんも携わっているらしいのです。
深みのある青い髪は、何と言うか、とても綺麗です。
肌も白いし、瞳も髪の色と同じなので、神秘的な印象ですね。
プリムラさんの様に大きくはありませんが。
均整の取れたスタイルは、やっぱり羨ましいです。
そんなシズクさんは、改装期間中から学院へ来ました。
そうして、シズクさんが作ったというアンケートは、生徒も職員も全員が書くと提出しています。
なんでも、私達の食事に対する調査だとかで。
アンケート調査を基に、栄養バランスの良いメニューですね。
メニュー作りでは、オープンした後でも。
ピーターさんとは、毎日打合せをしているそうです。
カミーユ・ルベライトが手掛けたレストランは、私も凄いと思える面々によって。
後は、クルツ君の様にアルバイトで働く生徒も多くいますが。
今日もまた、栄養のある美味しい食事を求めての列が、朝から出来上がっています。
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4月、入学式の後から目に見えて始まった改革は、レストランだけではありません。
生徒と職員が暮らす寮でも。
カミーユ・ルベライトの改革は、目に見えて行われました。
寮には、大浴場や、コインランドリーもです。
他にも、各階には自習に多く使われる多目的ホールがあります。
改革は、寮の維持管理と言えばいいのでしょうか。
コインランドリーは、配置を見直されると、設置台数が少し増えました。
それと、大浴場とコインランドリーもある1階ですが。
クリーニングを受け付けるカウンターも設けられたのです。
そこでは、クリーニングは勿論、取れたボタンの縫い付けや、難しい染み抜きなどもしてくれます。
全部、代金を支払う必要はありますが。
聞いた所、市街の同じクリーニング店と比べて、半額以下でしてくれるのです。
更に、洗濯物を詰めたランドリーバッグを持ち込むと、新規に雇われた維持管理のスタッフの方で、コインランドリーを使った洗濯の一切をしてくれるそうです。
今までは、空いていれば直ぐに使えましたが。
そうでなければ、洗濯の終わったコインランドリーが、洗濯物の持ち主が取り出すまでは使えませんでしたので。
朝、登校前に預けておけば、帰って来た時には乾いて仕上がった洗濯物を受け取れる。
更に、寮の共有スペース。
大浴場や多目的ホールも含めて、日中の時間に清掃もしてくれます。
カミーユ・ルベライトの改革は、寮生活も。
清潔で便利な生活環境へ、事実、変えてくれたと思います。
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改革は、学院敷地内の備品を含む維持にも及びました。
元々、専門の職員達の手によって。
庭木も花壇も、池の清掃も。
外灯のメンテナンスや、ベンチの修繕などまで。
そうした作業の全てへ。
カミーユ・ルベライトの改革は、元からの職員へ『指導育成手当』を設けた後。
こうした作業へも、アルバイトをしたい生徒達を、積極的に参加させたのです。
私は、友達のミレイユとジーナ。
二人が、時々はアルバイトをしていた事を知っています。
そんな二人ともが、学院内で出来るアルバイトへ。
無論、それはカミーユ・ルベライトの改革によって生まれたものへです。
実際にアルバイトをした二人の感想は、市街のアルバイトよりも時給が高い。
学院内で出来るから、外出許可を取って、市街へ移動する時間も省ける。
他にも、勤務への評価が良ければ。
その月の給料に加算金が入るのだとか。
『同じ時間働くなら。私は学院で出来るバイトの方が良いわね』
二人とも、カミーユ・ルベライトの改革へ。
その点は、好感を持っている様です。