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第6話 ◆・・・ レッテル ・・・◆


メティス王立学院と、アナハイムも在る広大な敷地内には、叡智と呼ばれる大図書館が在る。

縦200メートル、横100メートル、高さ70メートル。

外観は、正式名称が『王立大図書館』なために、作りも中世期のゴシック建築が用いられた。


更に、王立大図書館に収納された蔵書には、教会総本部でも貴重な価値を認められた書籍が多く含まれた事と、建築に当たっては、教会総本部も資金を援助した経緯が、以って大聖堂を模した様な造りとなった。


大図書館を真上から見た形状は、楕円形の大きな建物の両脇に、それぞれ五棟ある塔のような建造物が、端から端まで等間隔で接合している。


館内の床や階段には大理石が使われると、その上からワインレッドの絨毯が敷かれている。

ここを利用する者は、一つしかない大きな玄関から中へ入ると、正面にある受付カウンターで。

先ずは、身分証の提示を行わなければならない。


必要な手続きを終えるまでは、受付カウンターを含めて、玄関ロビーを半円状に囲んだ壁の向こう側へ。

つまりは、専門書だけで一千万冊を超える蔵書が収められた館内に、足を運べない仕組みとなっている。


玄関ロビーだけでも、武器を携帯した警備員が数名。

受付カウンターで入館の許可を得ない限り。

彼等が立ち塞がっている館内への通路を通して貰えることは無い。


蔵書が分野系統ごとに収められた図書館は、受付カウンターの脇にある通路を抜けて進むと、正面から奥までの縦長の館内を、先ずは一望することが出来る。


図書館の一階部分は、受付カウンターのある位置から比べて、3メートル地下に位置している。

陸上競技などで使われる400メートルトラックを、先ずはイメージして欲しい。


このトラックの部分が階段も含めた通路で、その外側に書棚が幾つも並列している。

そうして、トラックの内側は一階から最上階に当たる五階の天井まで。

照明として用いられる大きなシャンデリアは幾つも吊るされているが、後は吹き抜けの造りになっている。


階段の位置は、受付カウンターの脇から通った通路の先で、左右に大きなカーブを描いた造りになっている。

防犯上、階段は此処にしかなく。

出入り口も利用出来る所は一ヶ所しかない。


ただ、二階から五階までの左右に五ヶ所ずつ。

後は一階中央の約半分が、蔵書を持ち込んで自習も出来るスペースとして設けられている。


外観に映った左右の五ヶ所ずつの塔は、それが読書や自習が出来るスペースとして造られたものなのだ。


自習も出来るスペースには、テーブルや椅子が備え付けてある他。

窓際に沿った円筒状の壁面にはソファーも設置してある。


飲食物の持ち込みは厳禁だが、一階中央部分には、自習向けのスペースと同等の面積で。

そこは二百人以上が同時に利用できる、オープンカフェとよく似た喫茶スペースが設けてある。


館内での飲食は、此処でコース、メニューごとの料金を支払えば。

敷居の高い喫茶店と同等のサービスも受けられる。


大図書館には、受付もする司書の資格を持つ職員だけでも三百名以上。

他に、喫茶ルームのためだけに働くスタッフも居れば。

専門職としての給仕が、男女を合わせて三十人は勤めている。


もっとも、給仕を付けるためには、見合うコース料金を支払う必要がある。

他はセルフサービスと、然して変わらないだろう。

とは言え、かなり贅沢な仕様にもなっているのだ。


付け足すと、大図書館の一階には、娯楽に属する週刊誌などの販売店も置かれている。



最後に、大図書館の内外を含めて。

武器や魔導器を装備した警備員は、交代で24時間ずっと。

一日当たり数百名の警備員が、叡智と呼ばれる大図書館を守っている。


-----


神聖暦2089年2月


先月の下旬に、メティス王立学院の初等科へ入学したカミーユ・ルベライトは、月が替わった2月から。

学年を一つ上げると、2学年の生徒になっていた。


「ハートレイ先生。月末の飛び級試験の事で、申込用紙を届けに来ました。お手数をおかけしますが、確認をお願い致します」


俺は少し前、教職員室へ来ると真っ直ぐハートレイ先生の所へ赴いていた。

栗色の髪をいつも七三分けに整えた、そのせいか、スーツ姿と相まって。

俺はハートレイ先生と会う度に、やっぱりサラリーマンだよなぁ・・・・を、思ってしまう。


まぁ、この学院では今の所、ハートレイ先生と、後は自称18歳の美人年増・・・ではなく。

爽やか美人のカチュア事務職員さんくらいとしか言葉も交わしていない。


一応、日に一度以上は顔も合わせると、そうして言葉も交わす相手が、二人くらいなんだ。

だからと言って、二人以外には言葉を交わす相手がいない・・・・訳ではないからな。


俺の生活は、起床後にティアリスの作った異世界での修行。

ここは変わらない。

朝食は自室で、コルナとコルキナが用意してくれる。


それから制服に着替えた後は、真っ直ぐ学院校舎へ・・・ではなく。

俺は、教職員室か事務室への用事も無ければ。


周りが登校する時間の少し後。

遅刻を恐れて全力疾走している生徒くらいを、まぁ・・・横目に映しながらだ。


足は真っ直ぐ大図書館へ。

そうだな。

俺が授業に全く関心を持っていない事は、大図書館の受付にも座っている、今年23歳のプリムラさんが一番分かっている。

因みに、本人から直接聞いた話。

プリムラさんはカチュアさんの同僚で、同い年なのだそうだ。



女性が年齢を誤魔化したい気持ちは、よく分かりません。



カチュアさんが爽やか美人なら。

プリムラさんは、おっとり美人だろう。

二人とも髪と瞳は同じ色で、とは言え、此処では周りも結構な数で似た様なものだろう。


ただ、カチュアさんが後ろ髪をシュシュで留めている程度なのに対して。

プリムラさんは髪型にも手間を掛けている。


アップスタイルで、何となくお団子くらいも分かる俺へ。

プリムラさんは、館内の喫茶スペースで、そこでは雑誌を広げながら色々と教えてくれたよ。


プリムラさんの髪型は、お団子スタイルの一つで、ルーズな仕上がり感がお勧めのメッシーバンというものらしい。

本人の話では、手間を掛けている様に見せられる所と、その割に簡単にできる所が気に入っている。

見た目もお洒落で、髪が少し短めでも出来るらしいまでは、楽しそうな口調で話してくれたよ。


背の高いカチュアさんと比べれば、それで身長は低く見えるけど。

まぁ、受付の他の人達と比べても・・・普通なんじゃない。

そんな本人の悩みは、胸が重くて肩が凝る・・・だそうだ。


初対面の時から、大きいとは思っていたけど。

なる程、肩が凝る程に重いのか。



ただ、恐らく、俺が子供だから口に出来たのだろう。

大図書館の中で、そこで俺によく声を掛けて来るのも、プリムラさんなんだ。

因みに、俺のことは同僚で、職員寮では同室のカチュアさんから聞いたそうだ。


付け足すと、この大図書館で朝から読書三昧な俺へは、午前中と午後に肩もみを頼みに来る。

此処へ通い始めて半月くらいだけど。

今じゃ、日課と化した感もあるな。


良いよ。

別に肩もみくらいはさ。

その程度で、一日を此処で過ごしても。

プリムラさんは、他の職員さん達と違って。

俺に『授業へ出なさい』等も言って来ないし。

言って来る周りから庇うと言うか、守ってくれるしな。


ギブ&テイクだ。


-----


支給された王立学院の制服は、左胸に校章を象ったワッペンが縫い付けてある、深みのある緑のジャケットと、男子は灰色のスラックス。

女子はチェック柄のスカートだった。


男子は白のワイシャツと、ワインレッドのネクタイ。

女子は白のブラウスと同じ色の棒ネクタイ。


あとは学院の校章が刺繍されたソックスと指定の革靴。


学院の購買に行けば、予備を買う事も出来ると、カチュアさんからは教えられた。

けど、白ワイシャツだけなら街で売っている物を着ても良いし、そっちの方が着心地は良い筈とも言われたよ。


なので、白ワイシャツだけは街に出てオーダーメイドのシャツを買いました。

まぁ、この辺はコルナとコルキナが細かいからな。

素材も含めて、二人の言う通りにしました。


他にも、ジャケットやスラックスに革靴は予備を買ったし。

皺になりやすいネクタイと、ソックスは消耗品だから数を揃えた。

購買では、ネクタイピンも勧められたので。

勧められるままに買いました。


まぁ、在って困るものではないしな。

けど、なんだかんだで、15リラくらいは軽く消えたよ。



それと、これは制服とは関係ないけど。

王立学院の生徒になった事で。

ブルージュの街で作った住民票は、ゼロムの街へ住民票が移りました。

なので、此処での滞在許可証の更新は不要になりました。


手続きは全部、カチュアさんがしてくれました。

ホント、ここは助かったね。


-----


大図書館を訪れた初日。

俺はリザイア様が言っていた超文明時代の本を、ミーミルの権能で直ぐに見つけて貰った。


大きくて分厚い百科事典の様な本をイメージしていた俺の前には、厚い表紙がやたらと硬くて重い。

でも、大きさはA4サイズのノートくらい。


開いて中を見た最初、そこには何も記されていないページが、最初から最後まで。

ただ、気になった事が一つ。

リザイア様が認識疎外を施していた本だけに、見つかった所も本棚ではなく。

かび臭い物置の片隅で、それも埃が積もった棚と棚の隙間。


保存状態が決して良いとは言えない所に在った割には、本全体がとても綺麗だった。

中のページなんて、真っ白で黄ばみや汚れの何一つ無い状態だった事が。


理由は直ぐに分かった。

と言うか、ミーミルが直ぐに教えてくれた。



この本は、本を象った魔導器だったんだ。


-----


表紙が硬かった理由は、ミスリルが使われていたからだ。

だから、他の百科事典などの表紙と比べても。

厚みと重みがあった。

そして、クリスタルが三つも埋め込まれていた。


クリスタルに刻まれた術式は『状態保存』『マスター登録』『限定開示』の三つ。

ミーミル先生の話では、この魔導器が、恐らくは最初に持ち主として登録した一人にしか情報を開示しない。

そういう意図で作られた魔導器だろうと。


使い方は、マナを流し込んで、先ずは持ち主が俺だという事を登録させる。

登録されれば、後は俺のマナを流し込んでいる間。

その間は俺だけが読める様になる。



そうだな。

体内マナを自在に使える俺には、この本を象った魔導器の所有者登録も、それから中の情報を読むことも出来たよ。

文字はユーロピアス語だったけどな。


所有者登録を終えた後で、俺のマナに反応したページに、俺にしか映らない文字が浮き出た・・・と言えば分かるだろうか。

俺にしか映らないのは、文字が俺のマナを触媒にして映されるかららしい。



それと、この魔導器から得た情報についてだ。

超文明時代には、『空中都市』と呼べるものが存在していた。

けれど、その空中都市の幾つかは、此処とは異なる空間に封印された。


最後、この魔導器の所有者となった俺へ。

恐らくは著者なのだろうと思う。

キメリウスと記された著者からは、封印された空中都市の一つ『セントラルアーク』の、封印を解く方法を伝えると。


『・・・・もし、私が遺したこの魔導書を。それを読み知ることが出来た者へ。私は全てを知る鍵を託そうと思う。同時に、私が与える力と呼べるものを。新たな所有者が、良き未来のために使ってくれることを切に願う』



この情報を託された・・・・で、良いのかは未だ判別できない。

けれど、リザイア様は、この件に関して。

俺が輪廻の双竜(ウロボロス)と事を構える時には、きっと役に立つ。



詐欺師だとは分かっているけどな。

それでも。

今回も乗って見ようとは思った。


と言うよりも、リザイア様が詐欺師だったのは、エレンの事があったからだしな。

それと比べれば。


日頃の行いは、未だ笑って済ませてやれるよ。


-----


キメリウスという超文明時代の人物から託された情報は、と、その前にだ。

あの魔導書は、認識すらされていなかったので。

一先ず、俺のブレスレット。

そう、隔離収納で今は異空間に収まっている。


それで、セントラルアークの封印を解く方法だ。

これは、召喚魔法と殆ど変わらない。


なので、早速試してみよう。

と、まぁ・・・それが普通だよな。



はぁ・・・・問題は、この召喚魔法の有効射程というか範囲。

キメリウスの残した情報によると、高度1万の空で、しかも当時の座標が記されていた。

で、この指定座標が示す高度1万の世界へ先ずは赴く。

そして、指定ポイントで封印を解除する式を唱える。


簡単に言えば、これでセントラルアークという、空中都市の封印を解けるのだ。


ただ、その為には高度1万の世界へ行く方法と、当時の座標から、現在の座標。

と言うか、位置情報を割り出す作業が要る。


だって、高度1万の空へ行けば、鍵の掛かった宝箱が見える・・・でも無いしな。

まぁ、座標以外に、ヒントになりそうなワードが幾つも在ったしさ。


きっと、キメリウスという人は、一万年後の人間が、これを所有することを・・・たぶん、見越していたんだよ。

そう思う事にして、俺は大図書館で。

だから、指定座標が何処なのかを調べているのさ



そうそう。

高度1万の世界へ行く方法だけど。

こっちだけは、目途が立っているんだよ。


-----


調べものに費やした2月も、飛び級試験を問題なく合格した後の3月も。


そうだな。

飛び級試験については、筆記試験と実技試験の二つの成績で、即日に合否が決まるんだ。


筆記は、ミーミル先生の授業の方がね。

次元を超えて先に進んでいる・・・・でもいいかな。

実技は、魔導器を使わない俺の場合。

満点以外が、最初から存在しないをね。

試験後に、ハートレイ先生から言われたよ。


一応、先月末の試験までは、簡単だと思えた。


そんな訳で、三月の初日。

俺は初等科の3学年、その末席へと移っている。


因みに、学年が上がると、待遇も変わって来る。

内一つは就労の件。

毎月の学費を納めるために、王立学院の生徒は外出許可を得て、市街へアルバイトに出掛ける事も間々ある。

そのアルバイトで得られる報酬額は、学年の上にある方が多く得られる。


まぁ、アルバイトそのものは、事務室で斡旋されるんだ。

で、その仕事内容が、所属する学年によって受けられたり、そうでなかったりと。


高額報酬を得られるアルバイトの中には、魔獣の討伐依頼もある。

けれど、高額報酬で一番多い依頼が、実は産業スパイとして指名手配された容疑者の捜索と、内容によっては殺害なんだ。


条約機構が定めた取り決めで、産業スパイに関しては、殺害が特別に認められている。

これは、条約機構で定められた、主に先進技術などの機密情報を互いに不正取得しない規約。

ここが絡んで、スパイ行為への殺害による処置が、特別に認められているのさ。


所謂、違法性阻却事由だな。


ゼロムの街には、ZCFと、メティスとアナハイムが在る。

そのため、この街には、かなりの数で産業スパイが潜んでいる・・・とは聞いたよ。


産業スパイの捜索なら、初等科の7学年から受けられる。

ただし、殺害を含む捜索依頼となると、高等科の生徒でなければ受けられないそうだ。


初等科の一学年からでも出来るのは、清掃作業の手伝いとか。

飲食店での皿洗いもあったな。

もっとも、序列が上に在れば、魔獣討伐のチームへ参加も出来るそうだ。



王立学院の生徒でも。

バイトの内容は、かなり世知辛い所があるんだよ。

付け足しで、学費を支払うためにも働く必要がある。

そこへ進級するためにも勉強が欠かせない。


けどね。

此処へ通う生徒は、俺の様な災害孤児でもない限りは、親の稼ぎや預貯金。

資産状況を、入試の段階で調査もされる。

それでもバイトが必要な生徒は、親が仕送りを減らした留年組が、これが一番多いそうだ。


留年組の生徒は、親が学費しか納めず。

そのため、生活費の全部を労働で得なくてはならない。

まぁ・・・当然だよな。


後は、遊ぶ金や自由研究などの費用が欲しい生徒が、良く働くそうだ。


自由研究は、その内容と成果によって。

学院から報奨金が出る。

ただ、これも初等科の生徒が、報奨金を貰った事例は無いそうだけどな。



待遇の話で、少し脱線したけど。

という訳で、話を進めようか。



ハートレイ先生へは、月が替わった3月も初日の内に。

また飛び級試験の申し込みを済ませてある。


あぁ、まぁ・・・あれだ。

既にね。

この学院で、俺が一番親しんでいる先生が、ハートレイ先生だけなんだよ。

一応、他の先生とも挨拶くらいはするけどさ。


顔と名前が一致しないんだ。

それくらい、ハートレイ先生ほどには、言葉も交わした事が無いのさ。


あとは、外出も多いからな。

それでカチュアさんとは、毎日の様に話もしている・・・かな。


まぁ、カチュアさんよりは、甘えて欲しがりなプリムラ・・・お姉さんの方がね。

プリムラさんは、今じゃすっかりも言い切れる。

大図書館の中に居る間は、『仕事はどうした』も言いたい程に。

プリムラさんが隣に居るんだよ。


もしかして・・・・授業に出ない俺を、上からの命令か何かで、監視でもしているのだろうか。

けど、日課の肩もみは違うよな。


-----


三月に入った後。

入学から未だ、一度も授業へ出席していない俺のことは、学院内では噂になっている様だ。


プリムラさんから『ルー君、噂になってるよぉ♪ 』って、今日も言われた。

事実、一度も出席していないのは、そこは合っているしな。


でも、ハートレイ先生からは、出席しなくても問題ないを聞いているしさ。

と言うか、今月末の飛び級試験の申し込みをした時にも。

『授業には関心が無いのか』って。

で、その時の会話で、俺も『大図書館の蔵書を全部、頭に刻んだ後で。それで授業に関心が持てたら出ます』って言ったんだ。


『そうですか。まぁ、君の場合は。筆記試験の内容から見ても、かなりの知識を既に得ている。そんな君が、此処では大図書館の蔵書にしか興味が無い生活をしてるのを見れば。私は別に、君の今の生活へは問題ないと思っています』


――― ルベライト君。君は君なりに。叡智を探求している。私は君の姿勢から、そう思うことが出来ます。ですが、もし私に教えられる事が在れば。その時には、何時でも頼って下さい ―――



噂では、俺に大図書館(● ● ● ●)の住人(● ● ●)というレッテルが貼られたそうだ。


実際、噂に違わず大図書館の住人と化した日々を過ごす中で。

時々は、ハートレイ先生が見に来ていた。

まぁ、此処では先生方も。

大図書館で、何かしらの調べものをしている。

そういう光景も、寧ろ俺から言わせると、生徒よりも先生達の方が多く来ているのが当たり前なんだ。



けれど。

俺の調べごとは、その手掛かりが、今日も見つからなかった。


一月以上の時間を費やして。

大図書館に収められた地名に関わる、あらゆる文献は、その三割を読破したところで。


ミーミル先生の異世界でもね。

読んでいる俺自身が疲れて、後は飽きて来る度に、別のジャンルを気分転換に読んでいるからさ。


ただ、残る七割の何処かにはある。

きっと、在るだろうを抱きながら。


地味に、色んな知識を吸収しつつ。

そうして、探し物へ取り組んで行きますよ。


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