表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/359

第27話 ◆・・・ 獅子旗杯 ⑨ ・・・◆


僕は当面だけど、イサドラの上司となった。

その結果、何故かパンプキン・プリンセスは面白くないを露骨にしている。


厄介事を抱えてうんざりな僕と、そんな僕に目を座らせるパンプキン・プリンセス。


女性って、ホント、意味不明です。


-----


獅子旗杯はベスト16が出揃った。

抽選は明日。

それともう二つ。


一つは、明日から決勝まで、皇帝が見に来るそうだ。

もう一つは、帝国正規軍によるデモンストレーションがあるらしい。


まぁ、皇帝が主催する獅子旗杯なんだしさ。

今まで見に来ていなかった事の方が、寧ろ問題だったと思うよ。


で、正規軍の示威行動もね。

あれでしょ。

帝国最強~~~~とか言いたいんでしょ。


けどまぁ、正規軍のイベントのおかげでね。

抽選は正午で、試合開始も午後から。


僕は午前中を使って。

光剣の所有者登録。

その手続きをして来ます。


-----


「それでは、アーティファクトの所有者変更について。必要な手続きは完了しました。こちらが控えになります。」


帝都にある大聖堂で、今から約一時間前。

僕とイサドラは、神父様も伴うと。

イサドラが持つ光剣。

その所有者登録の変更手続きを行った。


と言っても。

窓口で担当の方から渡された書類へ、僕とイサドラが必要事項を記入するのと。

後は事務手数料として、一万五千バリスを支払うだけ。


うわぁ・・・・事務手数料、高過ぎ。

なんて思っていたら。

後から神父様がね。


『事務手数料の半分は、大聖堂への寄付金のようなものですよ』


あぁ、なるほどね・・・・って。

それでも高くないですか。


ただ、光剣は無事、僕の所有物になりました。


余談ですが。

この件については、レーバテインから、僕には既に多くの剣がある。

なのに、また増やして。

全部使えるのかと。


だよねぇ~~~・・・・・・どうしよ。

今はティルフィングを腰から下げているけど。

それで、コルナとコルキナ(コールブランド)も、普段は金属の柄なので、かさばらないし。


カリバーンはね。

獅子旗杯が始まってからは、ティルフィングを装備しているだけで。

いつもは装備しているんだよ。

まぁ、それでティアリスが、僕の隣に姿を見せているんだし。


レーバテインは、稽古なら剣としても使っているけどさ。

普段は装備もしていないんだよね。

だって本人が、『あたしは王様にね♪ 何時でも何処でも合体していたいから』って。


ただ、何時でも何処でもは無理なので。

僕は休憩時間中。

必ず一度は、抱き人形にされています。

と言うか、剣なのに装備もしないレーバテインには、だから、これくらいの事は許しているんです。


ミーミルは僕の腕から離れないしさ。

ティルフィングは、カリバーンもあるから装備しないことも多いけど。

でも、ティアリスには毎日の様に膝枕をして貰っているからね。


要するにスキンシップ・・・・で、良いんだろうね。


僕の一番はティアリスだけど。

そんな事に関係なく。

出来るだけ皆をね。

平等にはを、意識しているんだよ。


しかし、こんなに剣ばかり増やして。

百花繚乱もあるのにね。


僕、全部を一度には、無理だろうなぁ・・・・・・


-----


コロッセオへ到着した後。

僕とイサドラは、先ず神父様を貴賓室へと送り届けた。


まぁ、こんな所での襲撃とかはね。

そういうのは、神父様も無いって思ってたけどさ。

だからと言って、護衛を付けないのは、これも不味いんだよね。


今日からは皇帝も見に来るせいか。

貴賓室は、昨日よりも大きな部屋へ。


僕とイサドラが、神父様を送り届けた時には、皇帝とシルビア様達が楽しそうな雰囲気で。

耳に入った会話は、声が弾んでいたよ。


ただ、部屋を後にしようとしたら。

パンプキン・プリンセスが小走りに近付いて。


『今日は貴方と一緒に居るから』


試合は午後からだというのに。

僕は、厄介事(イサドラ)面倒事(アリサ)を、その両方を同伴することになりました。


-----


選手控室へ顔を出した僕を、まぁ・・・・このオッサン。

二人を見たら、間違いなく、何か言うだろうとは思っていた。


「おぅ、今日は両手に花じゃねぇか」

「挨拶無しで。いきなりそれですか」

「まぁ、イサドラの方はな。そっちは昨日の内に聞いていたからな。そんで、似合いのお嬢様の方は誰なんだ」

「ルーレック社のご令嬢ですよ」

「へぇ、その可愛い子がねぇ」

「ただの知り合いなので。手を出したければどうぞ」

「お前。今ので睨まれているぞ。その嬢ちゃん。どう見てもお前に一途じゃねぇか。無下にするんじゃねぇ」


睨まれていると言われて。

それで視線を向ければ。

何故か今度は、真っ赤になって俯いているし。


で、アリサの隣にいるイサドラがね。

まぁた、何か企んでいそうな。

そんな悪徳な笑みを浮かべていたよ。


こいつはホント、狡く計算高い女だからね。


-----


ステージの上では、帝国正規軍による派手なデモンストレーションが続いている。


でも、素手による軍隊式格闘術と、剣や槍を使った演武とか。

練度が高いのは、互いの息の合った打ち込みを見ればね。

毎日欠かさず鍛えているくらいも分かったよ。


そうそう。

背が高いだけじゃなく、身体そのものが大きいというか厚いというか。

帝国正規軍の元帥で、ハルバートンという軍人さんの演武。


その人は、両手で扱う大剣なんかよりもずっと大きい剣で。

自分に向かって進んでくる戦車を、正面から縦に真っ二つにしたんだよ。


もう、コロッセオは大盛り上がりでさ。

見ていた僕も、化け物って思ったくらい。


それくらい凄かったんだけど・・・・ね。

隣のアリサが、『あの戦車。確かゼータⅣだったと思うけど。一両で六億バリスはするのよねぇ。勿体無いと思わないのかしら』って・・・・えっ!?


レートがあるから正確には異なるんだけどさ。

それでも、六億ドルだと思えば・・・・・カーラさんの怖い顔が目に浮かんだね。


そんな帝国正規軍による贅沢なデモンストレーションですが。

指揮を執っているのが、あのヒョウ柄皇女様。


もとい、獅子皇女と名高いユフィーリア皇女殿下なんだよな。

付け足しで、皇女様は右手に鞭を握るとね。

もう、ステージの上で打たれる兵隊さんが何人も・・・・なのに、観客席はさ。

その一部・・・・だと思いたい。

打たれる音が鳴るたびに、凄~く盛り上がるんだ。


カシューさんまで、『あれはもう、ご褒美だな』とかね。


こいつら・・・・揃いも揃って、変態だったよ。


僕はそれをね。

今日もテイクアウトのフライドポテト。

そこへ、今日は今からビーフステーキ串も付け足して。

口へ運びながら、変態なカシューさんの隣で観戦していたよ。


専用ベンチと化したそこは、僕の隣がアリサで、その隣にイサドラが。

アリサは僕と同じフライドポテトを、イサドラはポップコーンとフィッシュ&チップスをね。


因みに、代金は全て。

僕の財布です。


『貴方は私の騎士なんだから。それくらいは普通でしょ』

『私ってば無償も言ったしさぁ。そんな訳で養って♡』


七歳の子供の財布を当てにするなんて。

てめぇら・・・・マジ最悪。


僕さぁ。

給金はシルビア様が管理しているし。

でも、その事は良いんだよ。

お小遣い貰ってるし。


だけど。

君ら二人のせいで。

お土産を買うお金まで消えそうだよ。


-----


どうしてこうなった。


僕は今、帝国軍の新型らしい戦車というか機動兵器だったかな。

まぁ、それを正面に一人ね。

こうしてステージの上に立っているよ。


現在の状況を説明すると、先ず、今も帝国正規軍によるデモンストレーションが続いています。


それを少し前まで見物していた僕ですが。

此処からでも、ステージはよく見えるんだ。


けどさぁ。

それって、逆も言えるんだよね。


獅子皇女と目が合った途端。

あの糞ババぁ。


『そうだ。私は今!! このコロッセオへ足を運んだ諸君らへ。諸君らも更に楽しめるであろう余興を思いついた。我が副将ハルバートンが披露した技。それを大陸最強と謳われしシャルフィの騎士殿にな。まぁ、シャルフィの騎士ともなればだ。この程度は目を閉じても出来るであろうが・・・・諸君らも。見たくはないか!!』


はぁっ?

お前・・・ナニ言ってんだよ。


えぇ、ですがね。

あの糞ババぁ皇女が煽ったせいで。

もう、観客席が凄いことになったんだよ。


二十万人以上の大合唱&ウェーブって・・・・・ホント、お祭り好きだねぇ。


コロッセオを、悪意に満ちた糞ババぁが、やたらと煽って。

その糞ババぁは僕へ。


今度は恥をかかせてやる・・・・・ってか。


あんな唇の動きだとさ。

たぶん。

そんな感じで馬鹿にしてくれたんだよ。


だから。

本当は、どうしてこうなった・・・・じゃあ、ないんだよな。


僕は、あの糞ババぁの挑発へ。


『まぁ、これだけの衆目の前でだ。良いのだぞ、今は試合だけに集中したいとな・・・・逃げて構わんぞ』


此処まで言われたらさぁ。

いくら僕でもね。


あぁ、それくらい楽勝に決まってんだろ・・・・ってね。


要は、売られた喧嘩を買ったんだ。


そうして僕は、此処に立っているのさ。


-----


カシューさんは、『せっかくの祭りだ。盛り上げてこい』って、グッジョブで見送ってくれた。

アリサは僕を心配しているのか、不安そうな顔をしていた。

イサドラは、『あたしさぁ。ヒョウ柄皇女を見たいかも』なんて、勝手に浮かれていたよ。


「ほぅ・・・逃げずに出て来たか」

「そうですね。またヒョウ柄を晒したいなんて。大サービスな皇女殿下のご要望。ですが、私の技は安くないんですよ。代金として、そうですね・・・・一兆バリス。今この場で支払えるのなら。ご要望を叶えてあげますよ」


僕の技は安くないんだよ。

タダで披露するわけないだろうが。


付け足すと、売られた喧嘩へは、万倍返しくらいの反撃もね。

金額を馬鹿みたいに大きくしたのは、まぁ、そういう狙いもあるんだよ。


オマケは、言い終わりに鼻で笑ってやる。


「よし、良いだろう。ハルバートン!! 今直ぐ此処へ、ヒルメラークを呼んで来い」


へっ・・・!?


「おい、何を呆けた顔をしているのだ。私は気前の良い女だからな。貴様の技ならば、十兆くらい。ポンっと払ってやるわ」


肩透かしも喰らった様な僕をね。

してやったとばかりな、不敵に笑った糞ババぁの後ろ側。

向こう側の出入り口から、スーツ姿のオジサンが一人、ハルバートンさんの後ろを歩いて来た。


演武も見たからだけど。

近くで映すと大柄だけでなく、胸板とか肩回りが凄く分厚く見えるハルバートンさんと比べるとね。

普通の背丈くらいなのに、余計に小さくも見えたよ。


でもまぁ、見た目はね。

もう普通に何処にでも居そうな、真面目なサラリーマンが近いかな。


「帝国財務省で事務次官をしております。ヒルメラークと申します」


僕は、ヒルメラークと名乗ったオジサンから、ご丁寧に名刺も貰いました。


「話を既に受けておりますので。ですが、大金を全て此処へ運ぶのは難しく。代わりに此方で、ご確認をお願いします」


ヒルメラークさんは、そう言いながら僕へ、持っていた革製のバインダーを渡してくれた。


受け取ったバインダーを開いた僕は、そこに収められた一枚の紙。

紙に記された内容へ、先ず視線を走らせた。


「見た感じ、帝国の財務省が発行した証書で。簡単に言えば、十兆バリスの小切手なんでしょうね」

「えぇ、その通りです」

「一つ尋ねたいのですが。シャルフィの通貨へ両替をする際の銀行は、何処でも良いのでしょうか」

「額面が大き過ぎますので、我が帝国はおろか、シャルフィにあるメガバンクでも。これの取り扱いは不可と言えるほど困難でしょう。ですが、シレジアにあるIBS(シレジア国際銀行)であれば。そこでしたら問題なく取り扱えます」

「分かりました。ありがとうございます」


糞ババぁはともかく。

このヒルメラークさんという人は、ムカつく印象も無いし。

僕も礼儀正しく御礼を返した。


「そうですね。こちらの証書に関してですが。エクストラ・テリオン殿が所有権者となった際にです。宜しければ此方で、IBSに口座の開設と入金などの手続きを致しましょうか」

「良いんですか」

「えぇ、それであれば現物としての通貨を運ぶ必要もありません。IBSと此方で必要な書類を交わすだけですし。その方が事務的には楽ですからね」


この人、僕が帝国に来てからだけど。

シュターデンさんに続く二人目に良い人だ。


「では、その時には宜しくお願い致します」

「はい。ではその際には。此方で手続きをさせて頂きます」


僕はまた御礼を伝えると、気持ち深めに頭も下げた。


「さてと、話は纏まったな。観客も待たせている故、さっさと始めようか」


糞ババぁはそう言いながらもね。

僕だって気付いていたよ。


僕とヒルメラークさんのやり取りの間にも。

糞ババぁの方は準備を進めていたのだし。


ただね。

なんかさぁ、キャタピラの音がね・・・・・・・

それで一両じゃなかったんだ。


と言うか、あれも戦車なの?


僕の疑問は、一両だけ戦車にしては背が高い。

あれだけが、人間みたいに胴体と両腕があって。

頭みたいなものまで付いている。


上半身が人間みたいな機械で。

下半身が戦車。


観察する僕へ、糞ババぁはね。


「あれはな。我が帝国軍の最新鋭兵器にして、汎用型機動戦車。一先ずベータと呼ばれている」


何か意味深に言ってくれるけど。


「それで、私はそのベータとかいうあれも。目隠しした上で、細切れ(● ● ●)にすれば良いんですか」


この糞ババぁは、僕を、ずっと上から目線で見下ろしているからね。

だから先に、僕からフンって鼻も鳴らしてやったよ。


「やれるものならやってみろ。もっとも、その前にだが。鼻持ちならない糞ガキのミンチ肉が出来るかも知れんがな」


こうしてね。

僕はゼータⅣを二両と、ベータとかいうへんてこな戦車の計三両を相手に。


どうやら、ハルバートンさんがした演武以上をね。

出来るものならやってみろと。


ただ、僕は糞ババぁの不敵な空気。


まだ、何かあるんじゃないかなぁ。


でも、悪いけど。

せっかくだから、お小遣い稼ぎをさせて貰うよ。


活動報告も定期的に更新しています。

感想は、誤字や脱字を指摘したものでも嬉しいです。(後から読み直していますが、それでも見落としがあったので)

それとブックマークが付くと、やっぱり励みになりますね。


最後に、0章を未だ途中までですが、手直し作業をしています。

此方は一話ごとに、直し作業が終わり次第、日付を記しています。

※直し作業は、誤字や脱字は勿論、少しでも読みやすくなればを心掛けています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ