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第11話 ◆・・・ 教師エストとエレン先生?から学ぶ日々 ④ ・・・◆


僕がエレンに教えて貰った、と言うか、道順が違うだけで、何度も来たことのある場所だけどさ。

今は牧草になっている此処はね、遠くの森にかけて開けた草原だから。

だから、とっても見通しが良いんだ。

で、反対にさっき通った小道は、雑木林の所まで近づかないと道がある事も分からないんだ。


それから、雑木林だけど。

こっち側から見ても、向こう側の空き地とか、もっと遠くの、教会や孤児院に近所の家とかだね。

向こう側は、茂った木もだし、僕の身長よりも長い草とかもあるからさ。

殆ど見えないんだ。


今も使っている空き地はね。

それも人が住んでいる所からは、確かに離れているんだ。

でも、王都へ続く道沿いだから、人も馬車もそこそこ通るね。


あぁ、そうだ。

この牧草地はさ、収穫も終わったばかりだし、それで余計に人気が無いから、アーツの修行には打って付けも事実だよ。

なんだけど、でも、孤児院からは更に遠くなったねぇ。


まぁ、秘密特訓だから。

そう思えば、これくらいは仕方ないかな。

実際、此処なら人目も無いしさ。

エレンとの会話も、アーツの修行も気にせずやれそうだよ。


じゃあ、そういう訳で早速。

今日の修行を始めるとしますか。


そうして僕は、全く人気のない此処で、秘密特訓を始めた。

この日、結果から言えば、進展は皆無だった。


けど、昨日まで使っていた空き地より、今日は人目を気にせず修行に打ち込めた。

そのせいか、僕は昨日よりも一杯やれた感がある。

一応、誰か近付いて来たらエレンが教えてくれる。

そういう風にも頼んであるし、だけど、やっぱり誰も来なかったね。


実践的な修行に目立つ進展は見えないままでも。

修行中も聞くアーツの知識の部分。

エレンが話す内容は、今日もアスランを、興味と関心の世界へ誘った。


魔導。

エレンからは【アーツ】と呼ばれるものには属性がある。


基本の属性は『火・水・風・土』の4つ。

これは、四属性とも言うらしい。

で、四属性とは別に『時・幻・空』の3つ。

こちらは上位属性とも言うらしい。


エレンの話だけど、それを僕は自分なりに解釈しながら学んでいる。

魔導の属性も、僕は、今では7つの属性が在ることまでは知っているんだ。


それで、エレンから聞いた知識だけど。

今の時代の人間は、どうも最近になって、この7つの属性を見つけたらしいんだ。


あぁ、一応ね、当然と言うかさ。

僕も最近って、それっていつ頃なのって、此処は尋ねたよ。


『えっとね~。確かぁ・・・40年くらい前だったと思うよぉ』


もう慣れたけどさぁ。

理解るでしょ、エレンが、とんでもなくズレ(●●)ているって。

こんなのと、僕は毎日付き合っているんだよ。


精霊って、みんなエレンのように、途方もなくズレているのかなぁ。


しかも、その時のエレンはね、『それより前までは魔導すら無かったんだよねぇ』って、何か馬鹿にした感で言ってたよ。


午後の自由時間を、けれど、魔導を学び始めるようになって以降、アスランはエレンとの会話を、自分の方から弾ませるようになっていた。


弾む会話から、アスランは魔導器やアーツについて、多くを知り得た。

そこで多くを知り得たからこそ。

後にエストが、『社会の歴史だけなら、初等科を卒業できるレベルに達している』を抱いたへ繋がっている。

アスランが歴史へ関心を抱き、それから深く学ぶようになったきっかけ(●●●●)が、実は此処に在ったのである。


エレンの話を聞いているとね。

どうやら、魔導って、時代によって存在していないっぽいんだ。

だから、やっぱり気になるんだよ。

何故、存在しない時代があるのかって。


あとね、これもエレンから聞いたからなんだけど。

僕は魔導のことを、それを自分なりに解釈して今も纏めているんだけどさ。


エレンから聞いた最初の魔導。

まぁ、これは僕が自分で理解りやすくそう呼んでいるんだけど。

最初の魔導が大昔の、それも超文明時代には在ったんだ。


一応ね、今の段階でだけどさ。

まぁ、エレンから魔導を教えて貰うようになって、それで一ヶ月くらいなんだけど。

魔導を歴史年表みたいにすると、こんな感じかな。


先ず、最初の魔導器は『超文明時代』に生まれたんだ。

因みに、超文明時代という表現は、そうエレンが言ってたから、それで僕も使っている。


けど、超文明時代。

エレンから聞いた限り、今から1万年は昔の時代らしいんだ。

その時のエレンは、『今の時代なんか足元にも全然届かないくらい凄い時代』だって、もう自慢するみたいな感じで言ってたよ。


それから、最初の魔導器が生まれた背景だけど。

『超文明時代』と呼ばれる時代には、当時は既にアーツが存在している。

これもエレンから聞いたんだ。


そのアーツだけど、アーツは『体内マナ』と呼ばれる魔力を使うんだ。

でも、体内マナは、人によって保有している量に差がある。

ここはね、図書室の本にも載っていた部分で、エレンもそうだって言ってたよ。


超文明時代の人達だけど。

そこには、体内マナの少ない人達がいたんだ。

だから当然、アーツを自由には使えない。

つまり、アーツを使う生活では、特に不自由していたらしいね。


不自由な生活。

超文明時代に生まれた最初の魔導器は、この『不自由』を、それを緩和させる目的から至ったものだそうだ。

要するに、日常生活を支える補助的な道具として作り出されたんだね。


魔導器が作り出された結果。

生まれつき体内マナの少ない人でも、一般的な日常生活くらいなら。

そこで不自由な思いをすることが無くなったらしい。

これは間違いなく良い事だと、僕もそう思った。


だからね。

その意味でも、魔導器という存在がもたらした恩恵って、これは本当に大きかったと思うよ。


――― 体内マナだけでは足りない分を、クリスタルに含まれる魔力で補う ―――

この考え方が超文明時代に生まれたからこそ。

最初の魔導器は生み出された。


同時代の、その後だけど。

魔導器は、更に進化したそうだ。

最初は生活の補助を担う道具として生まれたんだけど。

魔導器はそこから、医療用に特化した物や、戦争のために特化された物までが生まれたそうだ。


医療用なら、それは良い事なんだって思えるけど。

でも、戦争のためにって、なんで、戦争なんか・・・・・


それから、エレンは超文明時代に生まれて、更に進化した魔導器について。

ただ、この時代の何処かで、何か事故みたいなものがあった。

で、その事故が大きくて、だから超文明時代は滅んでしまったらしい。


大きな事故の原因。

当然だけど、僕は尋ねたよ。

でも、エレンは、それは自分も分からないって。

此処は、今でも疑問の一つとして、ちゃんとノートにも残しています。


超文明時代が滅んだ後。

エレンの話では、そこから3千年以上も魔導が存在しない時代があった。

で、三千年以上も経った後で、魔導はまた復活したらしい。

と言っても。

ここもエレンの話では、今の時代に至るまでにだけど。

魔導というのは、どうも存在したりしなかったりを繰り返しているっぽいんだ。


当然、僕は何で?って思ったよ。


その時の話でも、エレンは最後に、この時代にまた甦った魔導のことを、だけど、最初の超文明時代の魔導とは全く異なるものだと、面白くないのがよく分かる口調で言い切ったんだ。


もう一つ、超文明時代のアーツは、魔導器が作られる前から存在している。

つまり魔導器が無くても。

その時代の人達は、アーツを日常的に使えていたんだ。

これが超文明時代のアーツ。


逆にね。

今の時代のアーツ、と言うか魔導は、魔導器という道具と、クリスタル【魔力鉱石・魔力結晶石】が無ければ使えない。

聞いているとだけど、なんて言うか・・・違和感。

まだ、上手くこうだって言えないんだけどさ。

僕も確かに何か違うって、漠然としたものがあるんだ。

だから、ノートに先ず書く様にしている。


【超文明時代】魔法式+クリスタル=アーツ

【現代】魔法式+魔導器+クリスタル=アーツ


超文明時代の人達は、クリスタルを手に持って、それから魔法式を唱えるだけで、アーツを自在に使っていた。

今の時代の人達は、魔導器にクリスタルをセットして、それから魔法式を唱えなければ、アーツが使えない。


此処もね、僕には違和感って言えば良いのかな。

なんか、こうモヤっとしたものが在るんだ。

で、僕はエレンにね、僕が魔導器もクリスタルも無しにアーツが使える理由。

何でって、尋ねているんだよ。

その時のエレンだけどさ。

要領を得ないっていうのかな、とにかく抽象的な回答だった。

それをね、僕はとっても苦労しながらだよ。

それでも、自分なりに纏めてみたんだ。


超文明時代の人達の中には、クリスタルを使わなくても、アーツを使える人達が存在している。

そして、恐らくは体内マナ【魔力】が、平均以下の人達なんだと思う。

この人達は、クリスタルを使うことで、アーツを使っていたと考えられる。


更に、生まれつきの体内マナが、極端に少ない人達が存在している。

これはクリスタルを使っても、思うようにアーツを使えない人達を指す。

その人達が、日常生活で不自由な思いをしなくて済む。

そういう目的で作られた補助道具。

それが最初の魔導器。


ここもエレンから聞いた話。

魔導器は、セットしたクリスタルの魔力を、意図的に増幅させる仕組みが備わっているらしい。


クリスタルが要らない人達>クリスタルが必要な人達>魔導器とクリスタルが欠かせない人達


エレンの説明を、僕なりに解釈して纏めるとだけど。

今の所で、超文明時代の人達は、どうやら3種類に分けられる感じだね。


僕は、ここから更に質問を繰り返した。

それからエレンの説明を、僕はまた苦労して纏めている。


クリスタルを使わなくても、アーツが使える人達は存在している。

でも、クリスタルを使う方が、身体への負担は少ない。


恐らくはこういう理由が、クリスタルを常用するのが一般的になったへ至ったと考えられる。


アーツは使う度に、体内マナを消費する。

当然、使えば使った分だけ疲労が蓄積する。


実際、この辺りは僕もアーツを使った後。

まぁ、一瞬の炎しか出せなくてもね。

繰り返し何度も使うと、座って休みたくなるんだよね。


けど、消費したマナは、休むことで回復もする。

エレンからも聞いたし、僕も座って休んでいると疲れた感が抜けるんだ。


あとは、今の時代で使われているアーツ、と言うか魔導だけど。

何故、魔導器無しには使えないのか。


僕は、魔導器が無くても、一応は出来たしね。

だから、これもエレンに聞いたんだ。


『そうだねぇ~・・・知識も技術も全然足りていないしぃ~。後ねぇ~、今の人間は最初と比べて弱くなっているのもあるねぇ♪あっ、こういうのを劣化って言うんだよね♪』


陽気な口調は、相変わらず。

けど、この相変わらずな口調が、やっぱり馬鹿にしている感はある。

あと、話しながら、エレンの声は笑っていたんだ。


僕は、エレンがこういう奴だって理解っているから。

黙って聞いていたけどさ。


でも、内容は聞いていて、何となく間違ってはいない。

そんな風にも思えたんだ。


文字を知らない。

だから、本を読む事が出来ない。

日課の素振り300回も同じ。

毎日続けて来たから、だから出来るようになったし、もっと頑張れば、もっと多く素振りが出来るようになる。


そう考えると、エレンの言っていた事は、やっぱり、そうなんだって思うことが出来る。


無自覚の内に備わった柔軟さが、アスランへ、経験を基にした例えを用いる考え方も身に着かせていた。

この柔軟さがあるからこそ、エレンの話を感覚が先ず理解しようとする。


僕は、後でまた纏める時にでも聞こう。

エレンの話は何度も聞いて、それでやっと纏められるのも当たり前。


けどさ。

エレンの話し方って、聞く人によっては間違いなく喧嘩になるね。


僕は、エレンの話し方を、此処は反面教師にしようと思います。


-----


エレンから聞いた魔導に関する知識。

今は午前中から事務室で勉強するのが当たり前になって、それで、今は神父様の授業にも出なくなったからだけど。

と言うか、神父様からも、事務室での勉強を優先して良いって言われているんだよね。


それで、何が言いたいのかって。

僕は神父様の授業で、そこでも世界の歴史の話を、いっぱい聞いているんだ。

で、最近も夕食の後とかだね。

僕はソファーで寛ぐ神父様の隣に座って、その時にだけど、神父様にもう一度、世界の歴史のことを尋ねているんだ。

前にも聞いて、ノートにも書いているところもあるけど。

そうじゃない所を、僕はノートに書くためにも聞いているんだ。


神父様は、本当に物知りで、それで理解り易く教えてくれます。

はぁ~、エレンも見習って欲しいものだね。


それで、出来上がったノートへ目を通すと、どうも表現が違うだけで、似ているなぁって思える部分が在ったんだ。


多い時で週に数回、スレインが午前の時間で、子供達を教室に集めて行う授業。

そこでスレインは、ミサでも使う聖書を開くと、物事の良し悪しを多く話している。

また、その際に、この世界の歴史を話題にすることもあった。


アスランは、スレインの授業から、人間の文明が大きく分けて『太古時代』とも呼ばれる古代。

それから『暗黒時代』と呼ばれる中世期を経て、『黎明時代』とも呼ばれる、約2千年前くらいの時代の後。

『現代』とも呼ばれる、今の時代になっていることを学んでいる。


その時の神父様の話で、太古時代には、今の時代よりも遥かに進んだ技術が存在したと、そういう風にも聞いていた。


僕は、エレンの超文明時代の話が、この太古時代と似ているなぁって思ったんだ。

それから一つ気付いたことがある。

それぞれの時代を繋ぐ部分が、何故か空白になっているんだ。


けれど、この疑問は神父様から、当時を知る事が出来る文献が見つかっていないのと、後は見つかった文献の解読が出来ていない事情もあるって教えて貰った。


リーベイア大陸の歴史。

それは今現在も、未解明な部分が多い。

この点は、それを中等科へ通う様になれば、理由を含めて、より深く学ぶ事が出来る。

更には、高等科、大学、或いは院まで通えば、専門的に学ぶことも出来る。


未解明な部分が多い理由。

最たるものは、それぞれの時代を知る手がかりが、殆ども言えるくらい乏しい事にある。


現在は世界で共通の言語が使われている。

そのため、何処へ行っても、言葉や文字で不便を感じることが無い。

だが、同時に。

世界には廃れてしまった言語が幾つもある。

そして、この廃れた言語で残された文献の解読は、困難故に余り捗っていないらしい。


神父様はそうした書物の解読が進めば、未知の部分も何れ知ることが出来ると話していた。

つまり、歴史の中で空白になっている部分。

ここは発見された文献の解読が進む事で、何れは解き明かされる。

という事になるらしい。


僕が図書室で読んだ魔導の本も同じ。

そういった文献の解読によって、存在が明るみになったからこそ今に至っている。


先日、神父様と話せる機会があったアスランは、その事を聞いてからというもの。

そこから魔導に関連して、図書室にある歴史関連の本を、片っ端から読むようになった。

歴史を知ることで、魔導のことを、何か知ることが出来るかもしれない。

そう抱いた部分はある。


ただ、魔導とは別の理由。

寧ろ、此方の理由こそが、アスランを歴史へ殊更強く誘った。


後のアスランが歴史へ博識に至った理由は、この当時から大好きな『聖剣伝説物語』の存在故である。


――― 聖剣伝説物語 ―――

実は架空の作品等ではない。

それこそ後に『黎明期』と呼ばれる時代。

この時代を築いた『騎士王』を題材とした英雄譚である。

付け足すと、今も世界中に残っている文献によって、幾つもの作品が存在している。


無論、今のアスランは、この事実も知っている。


教会の図書室にある聖剣伝説物語も同じ。

アスランが何度も読み返した『聖剣伝説物語』は、アルデリア法皇国にある教会総本部が採用した著書。

教会総本部は採用した著書を、無償で各地の教会等に配布しているらしい。


けれど、王都の図書館や大聖堂の図書館。

他にも初等科などの学校にある図書室。

そこには、著者の異なる聖剣伝説物語も在るらしい。


ただ、神父様の話では、作家の表現力や描写の違いは事実そうでも。

基になった歴史の資料は同じだそうだ。


アスランはこの時の会話以降。

此処にない他の聖剣伝説物語も、読んでみたい。

エストから聞いた、初等科の図書室に在る聖剣伝説物語も。

更には、そのエストが王都の図書館や大聖堂の図書館で。

そこに在る著者の異なった聖剣伝説物語を読んだ話を聞いてからはずっと。


自分もエスト姉のように読んでみたいを、今でも強く抱いている。


要するに、こうして強く膨らんだ欲求が、アスランを基になった歴史資料へ誘った。

この点は、真実、その通りだろう。

著者ごとに異なる聖剣伝説物語を読むことが、それを今は叶えられない代わり。

代わりは、教会の図書室にもある歴史資料の専門書へと向かわせた。


以降のアスランは、天気が雨の時などで外へ出られない午後の時間を、図書室の中にある歴史資料を相手に過ごすようになった。


アスランにとって、興味と関心を主体に過ごした、この一ヶ月余りがもたらしたもの。

知識は言うまでも無く増えたが、それ以上に精神面の変化。

目に見えない部分は同世代の他よりも、速足で階段を上り始めた。


アスランは図書室にある歴史資料と、エレンから聞く話の内容。

そこで古代という表現よりも、『超文明時代』の表現を好んで使うようになった。

自我の発達である。


エレンから聞いた超文明時代が滅んだ後。

それから今に至るまで。

この間の、魔導が存在したり無くなったりした部分。

それと神父様が話していた、文献のこともある。

つまり、これも未解明なだけで、確かな事実が在るはず。


アスランの内で育つ『知りたい欲求』は、これら幾つもの要因によって、一層強くなっていた。


その要因の一つ。

エレンなら何か知っている。

と、そう思ったアスランは最初に尋ねている。


『その辺りは~。うん。エレンにも分からないんだよねぇ』


超文明時代が滅んだ理由を尋ねた時もそう。

エレンの返事は、その時と何ら変わっていない。

逆にエレンから『そんなに知りたいならさぁ~。アスランが自分でどうにかしろぉ~♪』という正にその通り。

としか言えない正論で返された。


エレンのこういう人を小馬鹿にしたような口調は、さすがにムッとする。

でも、そのエレンは不機嫌になったアスランへ。


『そうだねぇ。時代が滅んだ理由はエレンも知らないけどさぁ。だけど、遺跡を調べたら何か分かるかもしれないねぇ』


不機嫌な感情はこの瞬間。

翼を広げて飛び立った。


遺跡?

既にアスランの関心は此方へ。

そして、エレンからこれも聞いた限り。

超文明時代などの遺跡が、世界中にあるらしい。

しかも、殆どが未発見。

中には精霊じゃないと分からない特別な遺跡も在る。


楽し気な口調で語るエレンは最後。

そういう未発見の遺跡を、アスランが最初に調べればいい。

遺跡なら、アスランの知りたい事だって何か分かるはず。


『今はアスランも子供だからだけどぉ。大きくなったらエレンが案内しても良いよぉ♪』


案内しても良いと。

そう言われた途端に、胸が物凄く高鳴った。

だって、未だ見つかっていない遺跡を一番最初に、という部分。

何かこう・・・わくわくが収まらない。


今でもアスランは、騎士王に憧れて目指している『騎士』になる夢を追いかけている。

そのために、幼年騎士を目指して勉強と修行を頑張っている。


ただ、この時のエレンの誘いが、爆発的に膨らんだ欲求は、遺跡の探検もしてみたい。

これもアスランの後の人生へ。

確かな跡を残した一つの始まりとなった。


2018.5.9 誤字の修正などを行いました。

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