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幕間 前編 ◆・・・ 巡る季節の中で ・・・◆


シャルフィ王国とローランディア王国との外交は、その日程を予定よりも1日多く費やした。

まぁ、内容が複雑で折り合いが付けられなかった・・・・等と。

そんな不安も帰国間際に開かれた記者会見において。

この時の女王二人ともが見せた親し気な印象が、後は発信されたメッセージが杞憂だったくらいも抱かさせた。


外交日程は、そこにシルビアの私的な部分が関わって。

そして、この私的な事情を、フェリシア女王が好意的に汲み取った。

故に、予定よりも一日多く費やしたのである。


-----


季節は四月も残すところ僅か。

五月までは指折り数えられる残り数日を、しかし、シャルフィ王宮にある執務室では、此処で仕事に従事する二人ともが、今日も朝から多忙に追われる身となっていた。


「陛下。現段階におけるシレジアとの詰めの作業についてですが」


向けられる視線へ、カーラは、ただ、それ以上を口にすることも無く。

代わりに一冊のファイルを、女王の机の上へと乗せた。


リーベイア大陸国際条約機構において、議長を務めて来たヘイムダル帝国への不信任が可決された後。

この件を殊更強く不服と表明したヘイムダル帝国正統政府は、他国から不穏を抱かれる行動が顕著になった。


ただ、まぁ・・・この辺りは、それこそ、ぶっちゃけで言う所の嫌がらせである。


ヘイムダル帝国側の主張は、先ず自国へ不信任を最初に叩き付けたシャルフィは勿論。

既に正常な国交状態とは到底言えない。

此方は明確な証拠も無しに、ただ悪戯に状況証拠ばかりを並べて訴訟を起こしたサザーランド公国とて看過出来る筈もない。

そして、紛れも無くこれが理由だろうと分かる。

皇帝の娘が妻となった事で、公に後継者として認められないでいる王子の問題。

ローランディアのフェリシア女王の態度には、寛大な陛下だからこそ静観しているのであって。

ただし、正統政府内では募った不満が限界へ近付いている。


他にも、ヘイムダルからすれば不信任へ賛成票を投じた東部自治合衆国やアルデリア法皇国を始め、カサレリア連邦、シレジア自治州・・・等々。


刻まれた不名誉とも言える屈辱は、強大国故に報復へと至ったくらい。

内に抱くカーラからすると、これもまた必然なのだろう・・・・・・


女王であるシルビアが抱える件は、不信任可決の後から現在に至ってシレジアが受け続ける圧力が絡んでのこと。

圧力は、それをヘイムダル帝国が一方的に掛けている。

シレジアに対しての出入国審査だけでなく。

輸出入における審査までが、不信任可決を機に異常なほど厳しくなった。

そこへ追い打ちも同然。

ヘイムダル帝国がシレジアとの国境へ設けていた城塞には、これが戦時中でもなければ姿を見せない巨大な砲塔が、しかし、今は姿も現すと露骨に州都へ砲門を向けている。

また公には不明でも、駐留戦力が大幅に増強された噂が絶えないでいる。


シルビアが外交筋から入手した情報では、非公式の場においてヘイムダル帝国からシレジアへ帰属するように。

拒めばどうなるか・・・・と言った脅迫もあったを受けている。


更に、この情報は合衆国側も掴んだのだろう。

合衆国もまた不信任へは賛成票を投じた。

しかし、それとこれとは扱いが異なる。


今のシレジアは、東西の国境が緊迫した状態にある。

ただ、合衆国側は、出入国も輸出入の審査も。

ヘイムダルのような事はしないを示す思惑が、これまで通りの姿勢を変えていない。


シルビアとカーラの二人とも、合衆国側は脅迫ではなく懐柔策を用いたのだろう。

この程度は容易に抱くこともできる。


故に、こう至った状況は、それもある。

危機感を募らせるシレジアからはシャルフィへ。

逸早い帰属の合意を取り付けたい申し出は、けれど、双方における今時点の制度の違いからを含めて難題が幾つも残ったまま。

だが、しかし。

一先ずはシャルフィ王国シレジア州という仮称を設ける等。

そうして帰属した後は、これも一先ずは異なる制度で数年程度。

この数年程度の期間を、そこで双方が新制度と呼べる部分の議論を重ねて詰める・・・・・・


今年に入ってから一層活発化した事務レベルの会議は、此処で作られた案を、シャルフィ王国は女王と宰相が。

シレジアの方でも議会の承認を得られれば・・・・という段階へ至った。


本来であれば、此処で一度、首脳会談なりを設けて合意書へ。


ところが。

この動きに対してか、四月に入って早々、ヘイムダル帝国が一つの事件を起こした。


不信任可決。

以降のシレジアとヘイムダル帝国の関係は、事実、穏やかとは言えない状況になった。

けれど、双方ともに友好的な繋がりが無い訳ではない。

互いに親睦を深めようとする民間レベルの交流事業などが幾つもある。

交流事業を主催する者達は、長い歴史を紐解けば、そこには政府レベルで幾度か不穏になった時期もある。

だから、今回も時間が経てば、外交を通じて改善の兆しもあるだろう・・・・・・

双方の関係者達は、こういった認識も共有していた。


だが、三月の末から始まった恒例の交流事業で、ヘイムダル帝国の民間団体が招いたシレジアの学生研修団が逮捕拘束される事件が起きた。


正統政府からの発表によると、シレジアから帝国へ訪れた彼の学生達は、しかし、帝国の法が禁止と定める薬物を持ち込んでいたが為に逮捕へ至った。

俗に麻薬と呼ばれる薬物は、持ち込んだ量に多少の差はあっても。

逮捕した学生達の全員が所持していた。


この件は、今日に至っても拘束された者達が解放されずにいる。

同時に、事件直後からシレジア政府は、事実無根との姿勢を僅かにも崩していない。


未だ解決されない事件は、これで強く反発したシレジアの民意が、それで議会を突き動かした。


そうしてシャルフィへ届けられたシレジアからの可決成立の報せは、シルビアが故の多忙に追われる身となった事情にも絡んでいる。


シレジアの議会は、懸案事項を残したまま帰属案を賛成多数で可決した。

ただ、懸案となる制度上の問題は、帰属しても数年間は現行の制度を続ける。

その間に協議を重ねての結論を見出すが明記された。


シレジアから届いた報せへ。

概ね想定範囲内・・・とは、シャルフィの政治を束ねる宰相の発言である。

そもそも、制度の議論それ自体は、前国王の時代から現在も続いているのだ。

政治の師であり前任でもある聖賢宰相の貢献が、ある程度の方向性を見出した所で現宰相のカーラが引き継いだ。

以来、概ね纏まりそうな所まで至った新制度案は、それでも、後数年は詰めの作業が要るだろう案件だった。


ところが、昨年の不信任可決の後から未だ一年に遠く及ばない。

付け足しで事件まで起きた。

状況の悪化がこう作用すると、故の暫定処置が要るくらいは必然だろう。


シャルフィとて新たな風を起こし始めたばかり。

シレジアの帰属を見据えた政策は、その中で試験的に導入した部分もある。

よって難題も課題も山積しているのが現状なのは変わらない。

しかも、此処から先で想定し得なかった問題も起こるだろう。


レンズ越しの瞳は、此方が差し出したファイルを、今も開くと中身へ視線を落としている。

時々ページを捲る手の動きが止まる中で、沈黙を通すシルビアの胸中を、その多忙も理解るカーラには察する事も出来る。


「カーラ。今年は恐らく。私にとっても貴女にとっても。未来への正念場になると思います。負担ばかり掛けて・・・・だから。ごめんなさい」


シルビアの謝罪は、その時だけ瞳が自分へ向けられた。

真摯な印象が、それを正面から受け取らされた感だった。


「陛下。こう言っては失礼ですが・・・・とても王らしい表情をされる様になりました。共に乗り切りましょう」


シルビアの雰囲気が、カーラには一瞬でもユリナ様を重ねさせた。

やはり母娘なんだと・・・・・・


「寝坊と遅刻と、それからサボり癖。それさえ無ければ大丈夫でしょう」


途端、頬に空気をため込んで私を睨む表情。

此方は見飽きるほど見て来たいつものシルビアだった。


自然と鼻でも笑ったカーラは、しかし、息子と一緒の生活をしている限り。

この点は然程、気にすることもない。


何故なら。

アスランと同居している限り。

この母親は、当然と見栄っ張りな聖人君子でしか居られないのだから。


-----


新しい年度が始まった四月は、上は王宮から下は一般の暮らしまで。

大なり小なり何かしらの変化を訪れさせていた。


そして、前の騎士団長が引退して以降は、騎士団長の代行を務めるこの男も同じ。

聖騎士ハンスの日常は、特に私生活の場が賑やかになった。


ハンスと妻シエラとの間には、半月ほど前に待望の一子が生まれた。

生まれた娘はとても愛らしい。

ハンスのバカ親っぷりな一面は、それが意外なほど似合っている声も多かった。


ところが。

娘が生まれて今は煩いくらい賑やかな一家には、既に初等科へ通う年齢の男子が二人も暮らしている。

女王陛下によって此度、幼年騎士の位を授けられたエルトシャンとカールの二人は、任命した陛下より従騎士になるまでの期間を、その間はハンスの家庭へ養子も同然に預けられる事となった。


待望の子供を授かったばかりでもある。

故にこの件は、それを理由として女王が特に悩んだそうだ。


ただ、女王はエルトシャンとカールの二人を幼年騎士へ任命すると決めた折、その時にはもう既にハンスに預けるくらいも伝えはした。

ハンスの方でも二人の男子を一人前に育て上げる。

此方もそういう風には返事もしたのだが。


それで奥方の方が出産を終えたばかりとあっては・・・・・故に時期を躊躇った。


まさか、予定日よりも一月早く生まれるなど。

ただ、まぁ・・・この時の破水した妻を前に何も出来なかった夫とは正反対。

数日前から暮らし始めたばかりのカールとエルトシャンの二人は、おろおろするばかりのハンスへ叱るも同然な声が医者を呼んで来るように。

そうして医者を呼びに走ったハンスを見送ることも無く。

二人の男子とも、先ず破水したシエラをベッドへ運ぶと、そこからは湯を沸かす等。


途中、ハンスから聞いて来たのだろう。

出産の準備中に駆け付けた宰相や副団長のマリューの後で、女王陛下と一緒に現れたアスランも手伝いに参加したその夜。


シエラは無事、元気な娘を両腕に抱く事が出来た。

そして、この時のエルトシャンとカールの行動が、シエラをとても喜ばせた。


『俺はカールやアスランほどじゃないが。それでも、孤児院で暮らす間に出産の手伝いも経験している。それが役立ったに過ぎない』

『手伝ったと言っても。シエラさんをベッドに運んで、それから楽な姿勢が出来るように腰と背中へ丸めた毛布と枕を詰めたりとか。後は何度もやったお湯を沸かすのと綺麗なタオルか布を。それはシエラさんに場所を聞いて用意したくらいだな』


おろおろするばかりで役に立たなかった夫の株は下がり・・・・・

突然の破水にも必要な処置が出来た男子二人は、この件で一層の好感を持たれた。


故に、産後の母体の状態も考えれば。

それで一旦は預けることを躊躇った女王だったが。

寧ろ居てくれた方が安心出来る。

シエラからそう言われて、女王はならばと。


五人家族は、そして、今日も賑やかな一日を過ごしている。


-----


事務仕事が大嫌いな俺は、それでも騎士団長代行として日々、汗を流している。

あんな事件があったせいで。

それで俺とて理解る。

当時は正義を示した幼年騎士のアスランが、兎にも角にも注目を浴びていた。


陛下は、そんなアスランを、先ず王都の治安を束ねる要職へと就けた。

と言っても、この件は俺も陛下へ直に尋ねたのだ。

未だ幼い男子を何故と。


マスコットに仕立て上げた・・・・そのくらいは俺も抱いたのだ。

粛清されたオットーの件は、俺の見ていない所で騎士が如何に理不尽な行いをして来たのかを。

新聞は毎日の様に騎士を糾弾した。

それは今でも憶えている。

あの頃は、それでプライベートな時間に市場へ買い物に出掛ける事も難しくなった。

行きつけの酒場へ足を運ぶ事などは論外だった。


騎士とは何なのか。

その在り様が根差す所は何処なのか。


―――騎士は、守るために在る―――


陛下は俺に、建国当初の在るべき姿へ立ち返る。

それくらいの激変が、今この瞬間に求められたのだ。


なる程・・・・・

確かに俺も、今の騎士の在り様には抱くものがあった。

この件は、それで俺も浅慮したようなマスコットと見る目も在るはずだと。

陛下は、それくらい程度の非難は当然と受け止める。

しかし、騎士が本来の在り様へ立ち返られる機は、それが今なのだと強く仰せられた。


陛下は、本気で変えようと動かれた。

そんな陛下の姿勢には、俺とて精一杯尽くそうと思ったのだ。


アスランは誰が見てもそう。

同年代とは完全にかけ離れた感がある。

なのに、折にふと、未だ子供なのだと思わされる。


鎮守府総監と騎士団長という役職が、それを兼任している子供等。

他国から見れば、大人の俺達へ・・・・情けないくらいの声もあるだろう。


だがな。

そういう声は、先ず、アスランを直に見てから言って欲しい。

これは、俺の本心だ。


アスランは、本当に稀有なのだ。

育てた師父にも、俺はこれ以上を無い。

それくらいの敬意を払える。


師父スレインは、真実、偉大な父なのだ。


-----


思えば、俺はアスランから始まって、後に続いた幼年騎士達の全員を預かる身になっていた。

まぁ、マリューの時には陛下が直々に指導されたのだが。

それは、平民とも庶民とも言われる家柄から初めて任命された事情がそうなった・・・・・くらいも理解っている。

実際、俺も陛下に頼まれて面倒を見て来た身だからな。


当時のマリューを見て、その時には一層思ったものだ。

身分や出自とは、それで高位の者が、下位の者達を当然と虐げて構わない習いへ。

俺は心底、胸糞悪くなった。


孤児のアスランを預かる身となって。

俺は、だからこそ守ってやろうと強く思ったのだ。


なのにだ。

アスランは、俺の目の届かない所で・・・・・・

はぁ・・・あんな五歳児を、たぶん、世界に二人といないだろう。


否。

あんな子供が何人も居て堪るか。

だいたい、アスラン一人でも俺は気苦労が絶えない。

二人も居たら。

間違いなく倒れられるだろう。


それくらいも思ったものだ。


アスランの後で幼年騎士となったイザークは、そうだな・・・・・

中等科に通う身分で幼年騎士だからな。

本人の自分よりも格下への上から目線な性格は、それで今も時々は揶揄う連中を内心で馬鹿にしている。

とは言え、それくらいなら俺も目を瞑ろう。


今年は陛下がサザーランド公国への外交から帰って直ぐ。

そこで、俺は陛下に呼び出された。


用向きは、アスランと同じように孤児院で育った男子を二人。

陛下はその男子を新たに幼年騎士へ任命する。

ついては指導役を任せる・・・・・・・


別に構わんさ。

と言うか、事務仕事じゃなければ拒否もしない。


付け足すと、選んでも構わんのだろうが・・・・・行き着く先は変わらんのだろうしな。


ははははは・・・・・

これも宮仕えならではの運命(さだめ)なのさ。


そうして俺は、エルトシャンとカールの二人を預かる事になった。


エルトシャンは、そうだな・・・・・

マリューと似ている所がある男子だ。

カールは、俺のガキの頃と似ているかな。

要領よく手を抜く所なんか・・・・仲良くやって行けそうだ。


二人とも良い子供だ。

アスランと比べれば、それでも同年代では、ずっと大人だろう。


アスランが規格外だとするなら。

二人は、規格の上限に近い。


陛下は、真実、人を見る目に才がある。

シャルフィの将来は、きっともっと良くなるだろう。


-----


シルビア様の警護として、それで初めて行ったローランディア王国は、エスト姉とは理不尽な鉄拳もあったけどさ。

でも、シルビア様はエスト姉が受けた飛び級の試験。

その合格発表を直に見ようと、それで一日多く滞在したんだ。


エスト姉ならきっと合格している。

これは、僕もシルビア様も同じだった。


王都ヴィネツィーラからは湖を北へ。

エスト姉が暮らす地方都市コフィは、白い壁と赤い屋根の建物が目立つ街だった。

案内をしてくれたクローフィリアさんの話だと、この街はローランディア王国でもずっと歴史のある学業の都市。

特に教育者を育てるための設備が整った街は、そこでエスト姉が通う学校だね。

空から見ると丸いドーナツの様な五階建ての学校は、教室の数がとにかく多かった。


此処で学ぶ生徒は、欲しい単位に合わせて教室を移動しながら授業を受ける。

だからと言うか。

先生の数だけで三百人も居るって・・・・ホント、ビックリだったね。


学校長さんの話では、エスト姉はとても優秀だって。

授業では先生から教えられるだけでなく。

先生が用意した課題を用いて授業を行うという形式が、此処では当然とあるそうです。


そして、学校長さんは、エスト姉の教える方に才能を感じている。

教師向きな素質を持っているという感想は、聞いていて何か自慢したくなりましたね。


僕は、そんなエスト姉のおかげで今がある・・・・ってね。


けどね・・・・・

そう、エスト姉は、やっぱりエスト姉だったよ。


エスト姉が受けていた授業。

それを教室の外から終わるのを待っていた僕とシルビア様はね。

で、教室を出て来たエスト姉をビックリさせてやろう・・・・・


僕は、廊下へ出て来たエスト姉を背後から『わっ』って。

まさかね。

振り向き様の蹴りと、肘を叩き込まれるだなんて・・・・・・


ああ・・・理不尽だ。

エスト姉。

貴女は教師以前に歩く凶器だよ。


なのに。

シルビア様は凄く楽しそうに笑ってた。

その隣で、クローフィリアさんが真っ青になってたね。

きっと、恐ろしいって思ったんだ。

ええ、実際のエスト姉はこうなんです。


そんなエスト姉だったのですが。

学校を背景にして僕とシルビア様と三人での記念撮影は、後からニコラさんとかクローフィリアさんも入って何枚か撮りました。


僕は、エスト姉が飛び級試験の合格証書を両手に持っている写真ですね。

出来上がったら焼き増しして、シャナ達にも配るつもりでした。


だから。

シャルフィへ帰って来て。

その時になって僕は、シャナがもうアルデリア法皇国へ行ってしまった・・・・・


今回もお土産のお菓子とかを両手に子供達の家へ行った僕は、そこで初めて知って。

なんて言うか。

こう、上手く言えないのですが。

穴が開いた。

そういう感じで、だから・・・・


エルトシャンとカールは、シャナがアルデリア法皇国へ行く日を知っていたそうです。

でも、二人からはシャナが僕にだけは秘密にしておいて欲しい。

シャナがアルデリア法皇国へ行く日は、僕がシルビア様の警護でローランディア王国へ行っている日でもありました。


エルトシャンは、『シャナはお前に気遣わせたくなかったんだ』って。

カールもそれは同感ってさ。

シャナは、自分の見送り程度で、僕が警護を断ったらを気にしていたそうです。

だから秘密にしていた。


見送りには行けなくても。

知っていたら、僕だってちゃんと挨拶とか・・・・・


僕は、シルビア様にお願いしました。

アルデリア法皇国へ行く機会があったら連れて行って欲しい。


シルビア様は、早ければ五月。

その時には、また僕を警護に任命すると約束してくれました。


エスト姉の写真は、その時に直接、手渡そうと思います。


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