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聖剣の守り人  作者: しーまん
第一章
4/15

4

若干、前話に比べて長いです。

戦闘シーンを書くのは難しいですね…。

改定)シーンが抜けてたんで追記します。


「ここか。」


そう言った守人の目の前には、古びた、2階建てアパートがあった。

今日から、このアパートで暮らすことになる、学園が用意した守人の学生寮である。

本来であれば、ルーキス学園施設の学生寮があるのだが、あいにく満室となっている為、普通のアパートの部屋をルーキス学園で借りている。


「とりあえず、管理人に挨拶しないとか。確か、101号室だったか。」


ぶつぶつ、独り言を言いながら、101号室の扉の前に行き、呼び鈴を押した。

ピンーポーンと、呼び鈴が鳴るが、中から人が出てくる気配はない。


「留守か…。しょうがない、後でまた来るか。」


そう言いながら、守人の部屋、201号室へ向かった。


「ここが、これから暮らす俺の部屋か。」


201号室扉の前で、そんなことを言いながら、事前に届けられていた部屋のカギで扉を開ける。

ガチャリと、ドアノブを回し、部屋の扉が開かれた。

そこは、六畳一間の1Rの部屋。

ベットや棚等、最低限必要な物は最初から備え付けられていた。


「おっ。大体のものは揃えられているんだな。助かります。」


管理人さんに感謝している守人が、怪しい物を発見した。正確には、怪しい扉だった。


「何だ?この扉は。」


壁に取り付けられた、不自然な扉があり、修理中の張り紙が貼ってあった。


「まぁ~いいか。とりあえず、荷物を整理するか。」


あまり、気に留めず、荷物の整理をした。

大体の荷物が、所定の位置に腰を落ち着かせ、一休みとベットに寝転がる。

守人は、考えていた。


「あいつ、何だったんだ?私に構うなって言ってたけど…、この先、ルーキス学園でやって行けるのか?」


先ほどの凶暴…基、紗綾とのことだ。


「まっ。明日、また話してみるか…怖いけど。さてっ」


そういうと、先ほど所定の位置に置かれた、置き時計を見ると、昼の3時を回っていた。


「買い物でも行くか。」


そう言って、部屋を出て、繁華街へ繰り出す守人だった。


寮から、繁華街は遠くはなく、徒歩15分程度で着く距離だ。

この繁華街を抜けて直ぐにルーキス学園がある為、この繁華街は寮から学園の通り道に位置している。

繁華街に着いた守人は、スーパーがないかキョロキョロとあたりを見回した。

学園都市の繁華街ということもあり、周りには、学生服を着た生徒が多くいた。


「広すぎてどこに何があるのかわからんな…。」


そんなことを言っていると、後ろから声がした。


「お困りですか?」


振り向くと、そこには、綺麗な女性が立っていた。

年は20代前半、長い黒髪は背中まで伸びており、髪の中間辺を、ゴム止めで結んでいる。

身長は、守人より少し高く、スラットした体系が、大きな胸をより強調している。


「あっ。あの…」


守人は、驚いていた。道を聞けば殴られる様な、この荒れ果てた都会で、女神のように見えたその女性に。


「私は、神原響子かんばらきょうこといいます。何かお探しですか?」


「あぁ。はい。スーパーを探していまして。」


慌てる様に、響子の質問に答えた守人。


「そうですか。私はスーパーの帰りだったんですよ。」


そう言った響子の手には、スーパーの袋が握られていた。


「ここの道を真っすぐ言って、突き当りを左です。道なりに少し歩いたところに、スーパーがありますので。」


「ありがとうございます。助かりました。」


「いえいえ。もしよかったら、一緒に、着いてきましょうか。」


「いえ。そんな。道を教えていただいただけで、感謝ですよ。ありがとうございました。」


「そうですか。では、失礼しますね。」


「はい。ありがとうございました。」


去っていく響子に、見えなくなるまで手を振り続けた守人だった。


「響子さんか…。素晴らしい人だったな。いや…むしろ人じゃないな。神、女神だな!!」


わけのわからないことをぶつぶつと呟いているうちに、目的地のスーパーへたどり着いた。

スーパーへ入ると、籠を持ち、さっそうと必要な食糧源を籠へ入れていく。

籠の中身から察するに、自炊するようだ。

守人は、児童施設で家事全般を任されていたため、自炊することが当たり前と考えている。


「さて、とりあえず、こんなもんか。あまり無駄遣いもできんからな…。」


籠には、醤油、油、塩等の調味料と、米、セール品の肉等が入っていた。

レジでお会計を済ませ、スーパーを後にし、自室へ戻ろうと、繁華街を歩いていると、見覚えのある少女を見かけた。

その少女は、男2人に連れられて歩いていており、路地裏へ入って行った。


「…ん?紗綾か。…大丈夫なのか?」


心配に思った守人は、3人の後を付け、路地裏へ入って行く。


路地裏ということもあり、人気は全くなく、不良どものたまり場にでもなっているのか、壁がスプレーで落書きされている。


「こんなところに連れてこられて、紗綾のやつ、大丈夫なのか…」


そんなことを思っていると、前に歩いている2人の男が急に立ち止り、続くように、紗綾も立ち止る。

守人は、急いで壁に隠れ、様子をうかがう。


「よく、ビビらずに着いてきたな。」


一人の男が紗綾に対して挑発的に言った。

その男は、守人と同じ、ルーキス学園の制服を着ている。制服から察するに、学生剣士の様だ。

学生剣士というだけあり、ガタイがよく、身長は、180cm程ある、大男だ。

もう一人の男は、守人と同じ制服を着ており、学生魔術師の様だ。

体系は、ひょろりとしており、身長は、170cm程度のこれといって特徴のない男性だ。


「はぁ?ビビる?誰が、誰にビビるってのよ。頭悪いんじゃないの?」


学生剣士の挑発をさらに、挑発で返す紗綾。


「まぁいい。中等部の時の恨み、ここで返してやるよ。」


学生魔術師が、紗綾に向かって言い放った。


「ってか、あんたら誰か知らないけど、私もちょうどイライラしてたから、遠慮なくブチ抜かわしてもらうわ!!」


木刀を握りしめた紗綾は、学生剣士の顔面目がけて、木刀を振り抜いた。


「武装」


学生剣士の口から唱えられた武装の言葉と同時に、学生剣士の手に、一本の剣が握られていた。

その剣は、学生剣士の身長ほどある、大剣だった。

紗綾の一振りは、その大剣に阻まれた。


「ッチ。」


舌打ちをしながら、バックステップで学生剣士と距離を取った。


「無理すんな。棒っきれで、この武装を破ることできるわけないだろ。」


学生剣士がニヤニヤと、紗綾に言う。


「お前も武装使えばいいだろ?使えればだけど…。」


学生魔術師もニヤニヤとバカにするように紗綾に言った。


「ふんっ。お前らには、木刀一本で十分だっての!!」


紗綾は、学生剣士の懐へ素早く飛び込もうとしたその瞬間。


「ショートカット・ファイアーブレス」


学生魔術師が、何かを唱えた瞬間。


「チッ。」


舌打ちをした紗綾は、上空へと飛びあがった。

さっきまで、紗綾がいた場所には、炎が燃え上がっている。


「さすが、俊足の名はだてじゃないってか。」


上空へ飛びあがった紗綾の目の前に、大剣が切りかかってきた。

咄嗟に、木刀で受けたが、受け切れず木刀が折れ、衝撃でそのまま壁へと吹き飛ばされる。

ドガ!!!っと壁に凄い衝撃音が鳴り、砂煙が舞い上がった。


「中等部では、武装が許可制だったが、武装が使えりゃお前なんか相手にならないね。」


ケタケタと笑う学生剣士と学生魔術師の耳に、聞き覚えのない声がした。


「そんなに可笑しいか?ってか、背中が痛い。」


「誰だ?お前?」


砂煙が徐々に薄れていき、人影がぼんやりと浮かび上がった。


「通りすがりの、パートナーだよ。」


その声の主は、紗綾を抱えた、守人だった。

守人に抱えられた紗綾は驚いた声で言った。


「な…何であんたが、ここに居るの。」


「たまたまだ。そんなことより」


守人は、学生剣士に向かって言い放った。


「女子一人に男子二人ってのは、あまりよろしくないんじゃない?」


「うるせぇ。ってか、お前、そいつのパートナーか?武装の使えない剣士のパートナーって、お前も魔術が使えないってか?」


守人をバカにするように学生剣士が挑発する。

学生剣士は、キョトンとしている守人に続けて言った。


「知らなかったみたいだな。そいつは、武装が使えないんだよ。召喚した剣が重すぎて使えないって、笑い話だよな?」


「本当なのか?」


抱きかかえている紗綾に問いかける守人に、紗綾は恥ずかしそうに、俯いた。


「ってか、もう立てるから、おろせ。」


恥ずかしさを紛らわすように、守人の腕から、強引に降りた。


「ガハハハ。教師10人がかりで、重力魔法使ってようやく持ち上がったが、戦うなんてよっぽど無理な話だよな。」


学生剣士は、調子に乗ってきたのか、挑発に拍車がかかっていた。


「まぁ~。それは、どうでもいいけど、だからって女子一人に、男子二人ってのは、笑える話じゃないよな。ましてや、それが俺のパートナーってんなら、なおさらだ。」


学生剣士と学生魔術師は、ニヤニヤと守人を見て、言った。


「じゃ~、二人まとめて明日の振り分け試験は、お休みだな!!」


学生剣士は、大剣を守人に向かって、振り下ろしたが、ヒラリと、交わした。


「下がりな。」


学生魔術師が言うと、学生剣士は、バックステップで守人から距離を取った。

ニヤリとしながら、学生魔術師は呪文を唱えた。


「ショートカット・ファイヤーブレス」


「下がって、守人!!!」


紗綾の叫びが響き渡るが、守人はその場から動かない。だが、守人に術が当たることはなかった。

正確には、術が発動しなかったのだ。


「な、なんでだ?ショートカット・ファイアーブレス」


焦りながら、何度も呪文を唱える学生魔術師に、守人が言う。


「何度唱えても無駄だ。ってか、お前の魔法、プロテクト弱すぎるよ。簡単に割り込んでロックができてしまう。10点だね。」


バカにするわけでもなく、淡々と答える守人に、学生魔術師が驚く。


「どうなってるんだ。何でおれの魔術が…。」


「ん?まだ習っていないのか?魔術を構成する際に、プロテクトを組み込んでおかないと、相手魔術師に割り込まれてしまう。割り込まれると、自分の術式を相手に利用されてしまったり、ロックつまり使えなくさせられたりする。…こんな風にね。」


そう説明すると、呪文を唱え始める守人。


「ショートカット・ファイヤーブレス」


そう唱え終えると、パチンと指を鳴らした瞬間、バン!!っと、学生剣士の横で、先ほど学生魔術師が出した炎が燃え上がる。

正確に言うと、学生魔術師が出した炎の倍近い大きさの炎だった。


「ねっ。」


っと守人は、学生魔術師に笑顔で言った。

学生魔術師は、戦意を喪失したのか、崩れる様に蹲った。


「ふんっ。魔法がなくったって、武装の使えない奴なんかに、負けるはずがねぇ!!」


学生剣士は、まだ戦意を喪失していないらしく、攻撃態勢で、守人を睨みつける。


「紗綾、武装してみろ。」


驚いた顔で、紗綾が守人に言う。


「無理…。」


悔しそうに、下唇を噛みしめる紗綾に守人が言う。


「大丈夫。」


「無理。だって、だって私は…」


否定する紗綾の言葉をさえぎるように、守人が言う。


「大丈夫。信じろ。この瞬間だけでもいいから、紗綾のパートナーの俺を信じろ。」


その瞬間、二人の会話を邪魔するように、学生剣士が、守人に飛びかかる。


「お話は、そろそろ終わりだ!!くたばれ!!」


大剣が守人の頭に振り下ろされる。


「武装」


バキィィィィ!!!

激しい音が響いたが、守人は無傷だった。

守人の目の前には、学生剣士ではなく、紗綾が守人を守るように、学生剣士の大剣を受け止めていた。

大剣を受け止めていたのは、紗綾の召喚した剣だった。

光り輝く紗綾の大剣は、学生剣士の大剣よりも大きく、紗綾の体格に似つかわしくない大きさだった。

さらに、特徴的なのが、刃がないところだ。

刃の部分は、平らになっており、切るというよりは、潰すと言った攻撃になりそうだ。


「な。パートナーは信じるもんだろ。」


ニヤリと笑い、紗綾に話しかける守人。


「うっさい。ボケ。」


照れ隠しなのか、いつものように、暴言を吐く紗綾だった。

バキン!!っと、学生剣士の大剣を弾く紗綾。

バックステップで、紗綾との距離を取る学生剣士。


「げ…。何で持ち上がってんだ!?くっそう!!」


悔しがる、学生剣士に、紗綾が言った。


「一撃で、ブチ抜いてやるわ。」


言った瞬間、素早く、学生剣士の懐へ入り、腹部へ突きを放った。

紗綾の一突きは、学生剣士へ直撃し、壁へ吹き飛ばされた。

ドガ!!!っと大きな衝撃音が響き、学生剣士はぐったりとその場で、倒れていた。


「ふんっ。楽勝」


大剣を肩に掛け、ニヤリと、ほほ笑む紗綾に、守人が口をはさむ。


「まぁ~、ボコボコにされかかったんだし、楽勝ではなく、苦勝でわ?」


キッと、守人を睨みつけ、紗綾が、守人に大剣を振りかざそうとした瞬間、パチンと、守人が指を鳴らす。

すると、ドゴォォンっと、大剣が地面へめり込み、紗綾が持てない重さへと変わっていた。


「チッ。武装解除」


そういうと、紗綾の大剣は、シュンっと音お出し、その場から消えてしまった。


「まっ。とりあえず一件落着ですな。相棒!!」


そう言ってポンと、紗綾の肩に手を置く守人。


「だ~か~ら~…。馴れ馴れしいのよ、あんたは!!」


そう言って紗綾は守人の胸倉をつかんだ。

さらに続けて紗綾が言う。


「あんたは、相棒じゃない…。」


「…じゃ何なんだよ?」


「…、ペット?」


「何だそれは!!しかも疑問系ってなんだ。」


「ペットよペット。おめでとう。あなたはペットに昇格しました。」


「…ふぅ。とりあえず、帰るか。家まで送ってやるよ。」


紗綾の発言に、呆れ、話題を変える様に提案する守人。


「いい。私は買い物して帰るから。」


「おっ。そうか?付き合うぞ?」


「そう?木刀の試し切りに付き合ってくれるってこと?」


紗綾は、壊れた木刀を買いに行くようだった。


「また、明日だな。じゃ~気をつけてな。絡まれんなよ。」


紗綾の提案を遠回しに却下した。


「ふんっ。いいわよ。別に明日でもできるしね。じゃ~ね。また…また明日ね。」


恥ずかしそうに言って、走り去って行った。


「さて、俺も帰って飯の支度でもしなきゃな。」


そう言って、守人は、帰宅した。

次回は、ちょっとお色気がある…かも?

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