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聖剣の守り人  作者: しーまん
第一章
3/15

3

入学式での話です。


「さて、入学式会場は闘技場だったな。」


今朝見た、入学の手引きを思い出しながら、入学式会場へと向かった。

闘技場へ入ると、新入生らしき人で、埋め尽くされていた。

闘技場には、<A~Z>の旗が立ててある。

各自、入学前にもらった<A~Z>の札に対応してその場へ集合することとなっている。


「Zは、あそこか。」


旗へ着くと周りを見渡した。


「ここで、いいんだよな。ギリギリ間に合った…な!?。」


何かを見つけた守人は、声を上げてビックリした。

幸い、守人の声は、人でごった返した雑音で打ち消されたようだ。

守人が見つけたものとは、髪は背中まで長く、ブロンズでウェーブのかかった癖毛に、少しつり上がった目つきの少女。

そう、朝、道を聞いただけで木刀で大暴れした少女、紗綾であった。


「げ、あいつZ札持っる…。幸い、見つかってないみたいだから…」


そう言いながら、人ごみにまぎれ、裏の方に下がっていった、その時。


「…テスト、テスト」


闘技場に備え付けられているスピーカーから声がした。


「では、只今より入学式をはじめます。」


若い女性の声だ。

声の主は、先頭で、用意された台の上で話している女性だろう。

女性は続けて話を進める。


「まず初めに、皆さん、入学おめでとうございます。討伐組織育成ルーキス学園へようこそ。私は、このルーキス学園の生徒会長、竜崎(りゅうざき) (かなで)といいます。 」


柔らかい物腰で話し始めた奏。


「皆さんの多くは、当学園のルールを知っていると思いますが、高等部より、入学された方のために、当学園のルールを説明させていただきます。」


そう言うと、新入生たちがざわめき始めた。


「え?中途なんてこの学園とってたの?」


「とってるには、とってるらしいけど、無理でしょ普通。」


「いや、無理無理。中等部のトップクラスでさえ、難しい試験だって聞いたよ。」


等、騒いでいる。


「静かにしください。」


生徒会長の奏が、新入生を鎮め、話を続ける。


「では、学園のルールとそれに伴う補足説明に、移ります。」


そう言ってルールとそれに伴う補足説明を行った。

そのルールとは次の通りである。


■■■ルールと補足説明■■■

・魔王討伐組織とは、剣士、魔術師で、構成されており、アステマ王国へ敵意を持つ魔王を討伐するための特殊組織であること。

・当学園の目的は、魔王討伐組織への入隊を目的とした、魔術、武術を中心に育成する機関であること。

・生徒は、魔術、武術どちらかを選択すること。

・2人1組でのパートナーで行動すること。この時、2人1組でのパートナーであれば、組み合わせは、各生徒に委ねられる。

・武術者は、中等部までは武装が許可制となっており、教官の許可が無い場合は使用できなかったが、高等部からは、武装許可は不要となり、自己責任となる。

・武装とは、武術者に与えられた魔石より武器を召喚することを言いう。魔石より召喚される武器は召喚者、つまり武術者によって個体差がある。

■■■■■■■■■■■■■■


「以上が、大まかな、ルールと説明になります。詳しい内容は、生徒手帳に記載されていますので、そちらを参照してください。


また、明日は、ランク振り分け試験となりますので、ご参加する生徒は、各自準備してください。

それでは、国に恥じない、学園生活をお送りください。 生徒会長からは、以上です。

次に、学園長お願いいたします。」

そう言って奏は、台を降りていった。

次に台へ上がって来たのは、奏でが紹介した学園長らしき女性だった。


「ご紹介に預かった、学園長の閻魔だ。あまり、長い話は好きではないからな。皆、頑張れ!! 以上だ。」


そう言って、台を降りていった。

このあとも、色々な人、主に教官の紹介等があり、無事、入学式が終了した。


「ふぅ~。やっと終わったか。とりあえず、あいつにバレないようにしなきゃな。」


などと言いながら、こそこそと、人の陰に隠れながら、闘技場を出ようとしたその時。


「御剣守人だな。あと、三日月紗綾、どこにいる。」


そう言ったのは、先程、台の上で自己紹介をしていた、閻魔学園長だった。


「三日月って誰だ?…というか、学園長がなんのようだ?というか、閻魔ってすごい名前だよな。」


などと、考えていると


「ここであったが、百年目…ブチ抜く!!」


守人は、聞いたことがある声だなと思い、声のする方を見ると、そこには、腕をポキポキと鳴らす、今朝の暴力少女が、立っていた。


「百年というか…数時間ほどしか経っていませんが…」


「うっさい!ボケ!!!」


っと紗綾が、守人に掴みかかろうとしたその時。


「はいはい、じゃれあうのはそこまでだ。ちょっと付いてこい。」


と、暴れる寸前の紗綾の襟首を軽々と掴んだ。

そのまま、学園長は紗綾を引きずったまま、歩き出した。

紗綾は、狂犬の様に「ガルルル…」と唸りながら、守人を睨みつけていた。


「はい…。」


渋々、学園長の裏をついていく守人だった。

しばらく歩いていると、紗綾の襟首を掴んで先頭を歩いていた学園長が、大きな扉の前で立ち止まった。

扉には、<訓練場1>と書いてある。

扉を開けて、中へ入って行く学園長について行く守人。

学園長は、訓練場の中央まで行くと、急に立ち止り、紗綾の襟首を離し、守人のほうへ振り返った。


「さて、まどろっこしいのは、好きじゃないんでね。単刀直入に言う。お前ら、パートナーになれ。」


数秒の沈黙の後、


「「えぇ~!?」」


二人の驚いた声で、沈黙が破られた。


「いやいやいや。生徒会長の言ってたルールにもあるじゃないですか。パートナー選びは、各生徒に委ねるって。」


守人の訴えに対して学園長は、淡々と答えた。


「まぁ。何事にも特例とはあるもんだ。」


「いやいや、特例って言われても…」


「無理。」


守人が、訴えている途中に紗綾が割って入る。


「無理です。だって…だって、こいつは、今日、この場所で、私に殺されるんだから。」


そう言って、守人の方を睨みつけた。

口元がうっすら笑ってるところが、非常に怖い。


「…。と、まぁ。こんな感じで、仲も最悪なわけでありまして、パートナーなんて無理無理。絶対無理です。」


守人は、さっきよりも強く訴えたが、学園長は全く気にしておらず、そのまま話を続ける。


「まぁ。話はそれだけだ。では、国に恥じぬ学園生活をな。」


ものすごい笑顔で、二人に言い放った学園長は、訓練場を後にした。

取り残された二人に、しばしの沈黙が流た。

紗綾は、フルフルと怒りをこらえるように、下を向いている。


「まぁ。あれだ…」


気まずい雰囲気に耐えられなくなり、守人が言った。


「人生色々だ。ドンマイ。」


そう言って、とびっきりの苦笑いで、紗綾の肩に手をポンと置いた。

すると、俯いていた紗綾が、呟くように言った。


「そ、そうよね。人生色々。何があるかわからない。」


「そうそう」


「ドンマイ。気にしないってことよね。」


「そうそう。」


「わかった。」


そう言って紗綾は、木刀を握りしめた。


「そうそう…ん?どうしましたか紗綾さん。何故に木刀を握りしめているので?」


紗綾が握りしめた木刀を見つめ、焦りながら言う守人に紗綾が続けて話す。

「人生色々。何が起こるか分からない。私がうっかり木刀を抜き、うっかりその木刀でお前の脳天をブチ抜いてもドンマイってことよね。」


そう言い放った瞬間、守人の頭めがけて、木刀が振り下ろされる。

振り下ろされる木刀を紙一重で避け、守人が言う。


「待て待て。」


「チッ…。悪いね。うっかりだわ。」


「何だ今の舌打ちは!!うっかり着けりゃなんでもOKと思うなよ。」


「ふんっ。」


そう言って、紗綾は訓練場を出て行った。


「ちょ、ちょっと待てよ。」


守人は、紗綾の後を追いかけ、訓練場を後にした。


「なぁ、紗綾。」


「…」


「聞いてるか?紗綾。」


「…」


「今後のことをどうするか、話そうぜ。紗綾。」


「…」


訓練場を出て、校門前まで、ずっとこの調子で守人の問いかけに無視をしている紗綾。


「おいってば。さ…」

無視をし続けてきた紗綾が、守人の胸倉をつかみ、怒鳴った。


「紗綾、紗綾、紗綾、馴れ馴れしいんじゃ!!」


やっと反応した紗綾に、笑顔で答える守人。


「おっ!やっと、反応したか。無視するなよ。」


紗綾は、胸倉を掴んだ手を乱暴に離し、守人に言った。


「私に構うな!私は、一人でいい。誰の指図も、誰の力も借りない。だから、構うな!!」


そう言い放ち、守人の前から去って行った。

守人は、少しずつ遠ざかる紗綾の後ろ姿を見つめていた。

次は、戦闘話です。

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