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紗綾との出会いの話です。
引き続き、章だてを改定しました。
場所は、変わって、ここは学園都市、中央部にある、学生寮一室。
部屋には、色違いの制服2着が壁にかかっており、その制服を鋭い目つきで、交互に見つめる少女がいた。
「…。チッ。」
不機嫌そうに、舌打ちする少女。
少女の名は、三日月 紗綾。
髪はブロンズで背中まで長く、少しウェーブが、かかっている。
ウェーブが、かかっているのは、オシャレ等ではなく、ただのくせっ毛だ。
目は大きく、少しつり上がっていて、茶色い瞳をしている。
この少女の特徴とも言える身長は、非常に小さく、150cm以下であることは断言できる。
そんな紗綾が、何故制服を睨んでいるかというと…
紗綾が睨みつけている制服、1着は、先月まできていた中等部の制服。
もう一着は、今日から着る高等部の制服である。
見比べて、わかるように、この二つ、サイズが全く一緒なのだ。
多分、いや絶対、ここに理由は隠されているように思うが、そっとしておく。
「ふんっ。別に気にしてないし。」
独り言をつぶやきながら、ようやく制服に着替えた紗綾は、学園へ向かった。
学園へ向かい歩いていると、後ろから呼び止められた。
「すみません。ルーキス学園の方ですよね。」
「あぁ。」
鋭い目つきで、睨みつけるように振り返る紗綾。
そこに立っていたのは、幼顔で、大きいバックを肩から下げた少年が立っていた。
「いや…。道がわからなくて迷っていたんです。で、その制服ルーキス学園の制服だと思って。道を…」
途中で言葉を止めた少年は、紗綾の腰をじっと見つめて、話を再開した。
「聞こうと思ったけど、思い出した。あぁ。あそこだった。うんうん。ごめんなさい。では、さよなら。」
振り返り、足早に立ち去ろうと、来た道を戻ろうとしたその時。
「ちょっと、まてぇい!!!」
怒りで震えている、紗綾が、少年を呼び止める。
「今、私の事…ち、ち…て…も…たでしょ。」
小さい声で何かを言っている紗綾に、少年は、聞き返す。いや、聞き返してしまった。
「え?今、なんて…」
「今、小さいって思っただろー!!!」
少年の発言を待たず、紗綾は、大声で叫びながら、腰についている木刀を振り抜き、少年に襲い掛かった。
「ちょっ!何!?」
切りつけられた木刀が少年の顔目掛けて、迫ってくる。
少年は、紙一重で木刀を避け、紗綾と距離を取った。
「待て待て待て。ちょっと待て。俺が…」
「うっさい。心配するな。殴られたことがわからないように、見えない部分をブチ抜いてやるから。」
「いやいやいや、初っ端から顔、狙ってましたから。見える部分をブチ抜こうとしてますから。」
ジリジリと後ろへ下がる少年だったが、裏に壁がああり、それ以上下がることができない。
「問題ないわ。包帯巻いときゃどこだって見えないだろうよ!!」
ドヤ顔で言い放った紗綾は、少年目掛けて、ものすごいスピードで、突きを放つ。
ドガッっと大きな音を立て、木刀が突き刺さった。
「では。またどこかで。」
そう言って、走り去って行く少年を、壁に突き刺さった木刀を抜きながら、睨みつけてボソボソと呟いた。
「次あったら、ブチ抜く。」
なんとか、危機を脱出した少年は考えていた。
「都会ってのは、道聞くだけで、木刀で殴られんのか?怖すぎだろ?ただ、木刀ぶら下げてんのはあいつだけだったし、あいつが異例なだけか。」
などと考えていると、紗綾と同じ制服を着た白髪のショートヘアの少女が歩いていた。
「今度こそ。」
っと意気込んで、少女に話しかけた。
「すみませせん。道を聞きたいんですが。」
無表情の少女が、振り向いて答える。
「何?」
「俺、今日からルーキス学園に通うことになってる、御剣守人みつるぎ もりとって言うんですが、ルーキス学園への行く道を教えてくれませんか?」
「こっち。」
そう言って、無表情の少女は、歩き出した。
「ちょっと、変な人っぽいけど、案内してくれるみたいだな。」
そんな事を考えながら、安心して、少女の横へ並んで歩き始めた。
「えーと。ルーキス学園の人ですよね?」
「そう。」
「俺もそうなんですよね。」
「知ってる。」
「ですよねぇ…。俺、高等部から、この学園に入学するんで、まだわかんない事だらけで。」
そう言った守人の方を少女がチラッと見て言った。
「そう。」
「通常は中等部から自動的に高等部へ上がるんですよね。」
「そう。」
「あなたは、中等部から?」
「そう。」
「へぇ~…。」
こんなやりとりを続けること10分、ようやくルーキス学園へ到着した。
ルーキス学園は、5本の指に入る程の超名門校。
それだけあって、作りが豪華だ。
入口の門は、西洋風のお城の門ような作りとなっている。
門の両端には、ルーキス学園のシンボルである、ドラゴンの像が、門を守るように立っている。
門をくぐると、学園があるのだが、その大きさは、異状なほど大きく、中を見回るには、3日はかかるだろうと言う広さ。
建物自体も、古さは感じられるが、手入れがしっかりとされている。
「さすが、名門校だけありますね。」
少女に話しかける守人。
「そうね。では、私はこっちだから。」
「あぁ。ありがとうございました。助かりました。」
「そう。では、失礼するわ。」
そう言って、学園内へ向かって歩いていく。
紗綾との、衝撃的な出会い…無理やり感ありすぎましたかね…。
次は、入学式です。