表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

雨宿り指標

 彼女は、馬鹿だ。



「馬鹿は風邪引かないんだってー」


 どしゃ降りの中、屋根のあるベンチの上に座っていた俺に彼女はピンクの水玉模様の傘を差し出した。

 当然その肩は、髪は雨粒に打たれて湿っていく。


「わたしの家、近いからさあ」


 走ればすぐだから、ね。


 有無を言わせる前に空いていた俺の左手に開いたままの傘の柄を握らせると背を向けて走り出した。途中、転けそうになりながら。


「校区から考えるとそうとう遠いんだが」


 いま通っている中学校は二つの小学校からの生徒からなる。彼女は俺とは違うので必然的に逆方向だ。まだこちらのほうが近いといえる。


「馬鹿だな」


 まだほのかに温かい傘と濡れて震える温かい小さな毛玉を片手に呟く。


「夏風邪は馬鹿が引くんだが」




 次の日、彼女は学校を休んだ。

 その次の日、俺も学校を休んだ。



 馬鹿は風邪を引かないんだそうだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ