遭遇
まともな初戦闘です
初めての戦闘描写なのでイマイチかも知れませんが少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
知らぬまに3000アクセスを超えておりました。ありがとうございます。
非常に嬉しいです。
これからも精進していきたいと思います。
指摘や感想なども有りましたらお願いします。直せる限り直していきたいと思っています。
これからも楽しんでいただけるよう頑張ります。
取り敢えず魔法は危険だ。独学や生兵法は命取り。
でも取り敢えずもうひとつの方法、エーテルをそのまま使うって考えを検証してよう。
その前に回復をせねば。
気功術でエーテルを使えば回復するはず。イメージとしてはエーテルを失った命に補充する感じ。中身の減ったコップを満たすように……
《ピンポン。アビリティ《内気功》修得。内気功スキル《活気功》修得》
気功術でエーテル操作してたら何か覚えたぞ。
なになに、
《内気功。身体の中で気を運用、活用し、身体を変化させる。気功術の強化派生種。同列派生種に外気功がある。Str、Vit、Agiの上昇。エーテル量、濃度、効果大幅上昇》
なるほど。気功術だと身体強化しか出来なかったけど、これからは色々できるんかな?
取り敢えず物は試しで活気功を使ってみる。
さっき俺がやっていた様にエーテルが動きだし同時に身体が熱くなってきた。さっきは何も起きなかったけど今はゆっくりHPが回復して行く。回復するのはスキルだったのか。てっきり気功術があればできると思ってた。
HPが一割ほど回復した所で効果が切れた。今度はスキルを使わずにエーテル操作をしてASで発動させる。
後二割で完全回復すると思ったときまたシステムアナウンスがなった。
《ピンポン。内気功スキル《硬気功》《軽功》修得》
え? もう次を覚えたのか?
見ると内気功のレベルが4まで上がっていた。
活気功で全快したので、早速硬気功と軽功を使ってみた。
硬気功を使うとエーテルが体表面に集まりだした。今までの気功術は身体の部位単位だったのに対し、内気功は意思通りといえばいいのか、局地的に使用できるようだ。
軽功は使ったとたんに身体が軽くなった。
ただ両スキル共に発動時間が短い。だいたい十秒程度だ。ASで常に発動させていないと戦闘時に使えない。
なので今以上に練気に励まなければ。
さて取り敢えずはもうひとつの実験開始。
エーテルを手に集め、そのままの形で外に出す。そしてそれをもとに魔法を
《ピンポン。アビリティ《外気功》修得。外気功スキル《気功波》修得》
……はい?
ちょろっと待ってほしい。魔法使おうとしてたのに気功って。あ、そういやベリーは何て言った?
『――エーテルそのものを使うか、魔力として使うか……』
そうか、エーテルそのもので魔法は使えないんだ。エーテルで干渉して様々な現象を操作するのが『魔の方法』なんだ。
「やっぱり魔法はしばらく封印か」
取り敢えずは内功を使って接近戦が俺のスタイルだな。
方針が決まったところで次は森の中だ。せっかく二刀流覚えたんだからそろそろ使いたい。
「少しは歯応えのあるやつがいるといいけどな」
何てね。一度言ってみたかっただけ。
森に入って気づいた。あちこちに気配がする。
内気功を修得したからか、今まで感じなかった色々な気を感じるのだ。
「これはなかなか便利なことで。でも何でみんな集団なんだ?」
しばらくじっとしていたら唯一、単独の気配があった。
「よし、一匹発見。弓で一撃入れて後は斬りまくって終わり。これで行こう」
この時俺は完全に忘れていた。この森のモンスターが何かを。
弓は射程が長く、奇襲もでき、相手が近づくまで時間が取れる。という利点があるがが森の中で見通しが効くはずもなく、弓のアドバンテージはかなり低くなっていた。
それでも気にせずに単独で動く気配に向かっていったのは力を試したいと言う欲と、ラビィとの戦闘からくる油断だろう。
気配が探れるなら気配を消すこともできるはずと思ったら案の定だ。《隠行》を修得できた。
お陰で見つかることもなく標的を射れるとこまで来たが。
「……ヤバい、マジでヤバい。クソ、忘れてた。ウルフって事は狼だ。なら集団でいるのは当然。なら単独でいるのは当然……」
そう、20メートルも離れていない茂みの向こうには、3メートルにもなろうかという熊がいた。
デカイ。腕も太い。あれで殴られたら下手したら一撃で終わりそうだ。
どうする? 仕掛けるか? 引くか?
悩んでいた俺は重要なことを見落としていた。
それはこっちが風上だと言うことだ。
今までより少し強めの風が吹いた時、ベアの動きが止まり立ち上がってこちらを見る。
「しまった! ええい、やってやるさ」
先手必勝。弓をつがえてすぐさま射る。狙いは目。しかし見かけより数段素早く、ベアは左腕で顔を隠す。初弾はベアの腕に刺さり止められた。すぐさま次の矢を射て装備を変更。二刀を構えできる限りの内気功と身体強化を使い間合いをつめる。
「グガァ!」
二本目の矢はベアの腹に突き刺さった。一拍遅れて間合いに入った俺を待っていたのは右腕を振り上げたベアだ。思ってた以上に動きが速い。
後から分かったことだが、モンスターもエーテルを使えるものおり、魔法は限られるが気功系ならほとんどのモンスターは使えるらしい。体がでかいならエーテルも強いし多い。
そんなことは知らない俺はかなり焦った。森に入ったとたんに戦闘レベルが上がりすぎだろ。
攻撃を受けきる自身が無かったので右に跳んだ。跳んだ先は木があり体を捻って足で蹴った。確認をせずに跳んだので少し焦ったが身体は無理な動作をちゃんと処理してくれた。
「せ!」
三角飛びの要領で跳んだ反動でベアの頭の高さを超えた俺はもう一度身体を捻り、空中で逆さになり無防備な頭を狙う。流石に右腕を振り下ろした状態では防ぎ様のないらしくまともに入った。しかし足場のない空中でスキルもなしの攻撃はベアの額をクロスに切り裂くのみにとどまった。
「ガァ! グオォォ!」
着地を狙われるかと思ったが頭部への攻撃はベアを怯ませることが出来た。すかさず近づきASで二閃を放つ。右の一閃で腕を落とし続く左の一閃で腹部を裂く。
目に見えて動きの鈍くなったベアに飛びかかり、前宙の要領で勢いを付け踵落としで肩の辺りを蹴り付ける。ボキ、という音と伝わる感触で骨を砕いたのが分かったがまだ止まらない。油断すればこちらがやられる。
さすがに立っていられなくなったのか、四つん這いになろうとしたベアは、片腕がないのでバランスを崩し、右肩から地面に倒れ込む。すかさず背に飛び乗り首筋に左の刀を突き刺し、右の刀で一気に首を狩る。首から噴水のように吹き出す熱いそれを浴び、やっと戦闘が終わったと感じベアの背に腰掛け力を抜いた。
「なんとかなった。思ったより速かったわぁ。焦った~」
落ち着いてみると俺より速いってことは無かったのだが、それでもあの体格であれほど動けるとは思ってもみなかった。
「しかし、やたらと体がよく動いた気がする。三角飛びとかアビリティないはずだけど」
アビリティを確認してみたけどやっぱりない。しかし、いつの間にか《姿勢制御》と《ボディバランス》を取っていた。いつだろうか。
三角飛びはないので、アクロバットの影響だろうか? 試しに木に跳び、蹴り上げて方向転換してみる。すると木を蹴った反動でかなりの高さに飛ぶことが出来た。
その後も何度か飛び跳ねて蹴ってを繰り返し、踏むことが出来ればどんな状況でどんな体制でも足場に出来ることが分かった。体制が崩れないのは姿勢制御とボディバランスのおかげだろう。かなりトリッキーな動きをしても刀を振り回しても思いのままに体が動く。まるで忍者になった気分だ。
「とりあえず良かった。もう少し森で動き回ってから敵を探せばよかったわ。まあいいや。しばらくウルフ狩りで修行しよう」