雑魚達
お待たせです。
雷は恐ろしいですね。バチっという音とともに動かなくなるという。冷や汗出ました。PC自体は平気だったのですがデータを保存していた外付けHDが死にました。小説のみでなく仕事上のファイルもあったので精神的に死にました。
その後風邪で体調的にも半死人。
はい。言い訳です。ごめんなさい。
なんで知らないの! って言われても知らないものは知らないし。
みんなももちろん知らず、首をかしげている。てことで説明をお願いします。
「……シーフウルフはあまり強くない狼だ。群れが小さい時は家畜などを襲うが大きくなると商団なども襲う。人を襲うというより馬などが目的だと言われている。一応狼だからか強者には従うので狩りの相棒に従えている者も多い。ただ、圧倒的に盗賊等が使うことが多いからシーフウルフと呼ばれている。そのせいか最近は気配を消すことを覚えている個体も多い。こいつらに囲まれるときは大きな群れか盗賊に襲われそうな時だと思っていい。今回は大きな群れだろう」
群れだろうがシーフウルフ程度ならどうにでもなるが、と続けてため息を付く猫隊長。ちなみに猫隊長の名前はさっきキーヴが呼んでたけど覚えてない。最初はにゃん子隊長とこっそり呼んでたけど、良く見るとにゃん子って感じじゃないのだよね。年齢も含めて。
どうにもこのシーフウルフとやらは子供でも知ってる様な奴らで野生の狼より強く、魔獣となった狼より弱いそうだ。一応、十歳くらいの武術を習った子供二人なら一匹くらい狩れるそうだが、群れだとさすがに無理だと。ですよね。ちなみに魔獣と野生の動物の違いは魔石が採れるかどうかだそうで、基本心臓が硬化して魔石となるらしい。シーフウルフはゴブリンより魔石のランクが低いとさ。
あ、ゴブリンと言えば。すごくどうでもいいことなんだけども。
「あー、俺ゴブリンと戦ったことないわ」
今更だけど記憶にないわぁ。猫隊長は眼をくわっと見開いてこちらを見るけどキーヴ達も記憶にないのか同意している。
などと言ってる内にもうすぐそこまでシーフウルフが来たらしく、エルファの魔法が一匹の狼を仕留めた。
それを合図にしたように次々と跳びかかってくるシーフウルフ達。……なのだが。
「……弱い」
狼であるので動きは素早いのだが、それだけである。ティアの短剣を頭に喰らい、キーヴの剣気閃(キーヴ命名)に巻き込まれ、エリザの盾に殴られ、エルファの魔法で撃ち抜かれてどんどん数が減っていく。俺に跳びかかってきた狼の首に回し蹴りを喰らわすと骨の折れる感触が伝わって来て、その一撃で終わりだ。しかし、ミコに杖で殴られて死ぬ奴と俺たちの愛馬に蹴り殺される奴が哀れでならんね。
さすがに日が沈み、薄暗くなってきたうえに三十頭以上は居たので全くの無傷とはいかなかったが、ちょっとした擦過傷程度で殲滅し終えた。
「なんだか虐待っぽかったね~」
ティアが返り血を拭いながら寄って来た。
猫隊長も参戦していたので同じく返り血を拭いながら寄ってくる。
「シーフウルフはこんなものだ。……少々お前達が強すぎのきらいもあるが」
「強すぎというか、弱過ぎなだけだと思うけどな。なんか前より体が思うように動かない気がするし」
「あ、俺もなんかそんな感じ」
キーヴだけじゃなく、みんなもそんな気がすると言う。魔法が主体だったエルファは首をかしげているけど。
移動する前に動いた感じだとあまり思わなかったけど、今の戦闘で自分の反応に体が付いてこない。なんとなくワンテンポずれる気がする。まぁ、目覚めてあまり経ってないし、体が慣れてないだけなのかもしれない。それほど気にすることじゃないのかもしれないけど。
「一応は気を付けておいた方がいいかもね」
ティアが自分の尻尾をクニュクニュと揉みながら言う。俺も尻尾揉みたいです。
そんな俺を見て猫隊長が鎧に隠れているだろう尻尾の辺りをそっと隠すが、安心してほしい。キーヴの獲物を捕りはしません。ティアで我慢します。手を伸ばそうとしたら「後でね」と尻尾を下げられた。どうやら揉んでたのではなく少し固まった血を落としていたらしい。なんか前より気になるんだそうだ。
「あの、終わりましたか?」
兎っ子の、えと、ヴィーナだったっけか。馬車の幌から顔を出していた。
「ええ、終わりました」
それに猫隊長が答える。
「そうですか。門が閉まる前に、と思ったのですが少し間に合いませんか?」
猫隊長は空を見てしばらく考えていたが、軽く首を振る。
「無理ですね。今日は野宿になりそうです」
「ここで、ですか?」
ヴィーナは周りの狼の死体を見ながら嫌そうに聞くが、流石にそれはないだろう。猫隊長も移動すると言って準備を始めた。当然だが、もしここで野宿と言ったら張り倒すぞ。




