スキル
色々感想をありがとうございます
返信しておりませんがすべて眼を通しております
様々な意見をいただいて、大変参考になります
反映できるかちょっと分かりませんが頑張ります
結果を言うと……成功。
でも全くの別物だと思います。はい。
キーヴの地走りをまずやってみようってことになりまして、大剣にエーテルを集めて地面に指して放出! ってやったのだけど、半径三メートルの土が爆散。キーヴは大ダメージを負った。
放出方向をちゃんと指定しろとエルファにどつかれ、やり直したがなかなかうまくいかず、何十回と繰り返して刺した剣を振りぬくことで何とか成功をした。喜んだキーヴだがティアが
「これって他の武器とかでもできるんじゃない?」
と言ってチャレンジした結果、何度目かで短剣ゆえに威力は落ちたが成功した。エルファも杖を地面に刺し、やり易いからと魔法のイメージでやると地走りではなく土の棘がいくつも発生。一応の成功? となった。ゲームでは大剣の技だったが、発動方法さえ分かれば他の武器でも発生するようだった。ただ武器により発動後の効果はまちまちのようで、体術でやるとどうやっても自分を中心とした地面の爆散にしかならなかった。さらにエーテル量など関係ないようで、武器自体の質量が大きい方が威力はあるらしくキーヴの大剣が一番だった。でも、恐らく大槌とかバトルアックスとかの方がもっと威力がでるはずだ。
さて、となると他の武器の技でもできるんじゃ? ということになりまして、技発動訓練が始まった。
エリザが羨ましいと思っていたらしい槍技「多段突き」。一度の突きなのにヒット数が七回ほど入るらしい。エフェクトは槍の周りに複数の矛先が見えるとか。さすがにそれは無理じゃないかな。
チャレンジした結果、若干違うものの似た物はできた。武器を持つ手にエーテルを集中させて、突いた瞬間にエーテルを送り出す。すると武器を通って先から衝撃波が突きぬける。軽いノックバック効果もあるらしく、エルファの作った泥人形が突き刺され後ろに若干飛んだ。ノックバック効果にエリザは喜んだ。盾役のエリザは敵に囲まれるからこの効果は嬉しいらしい。
エリザがやった突きが二段突き。てことはエーテルの送り出し回数を増やせばノックバック効果も大きくなるんじゃ? と思ってやってみた。引き絞った腕を一気に伸ばして突く! 一撃目が泥人形に刺さり、エーテルの衝撃波が襲う。さらに追加の一撃は……ノックバックで抜けた切先から放出されたが、届かない。どうも一発目と二発目の間が大きいらしく、何度やってもうまくいかない。でも溜めて放出するまでの時間がどうしても縮まらない。要訓練だろうか。
う~ん……と悩んでいたら閃いた。きっかけはキーヴ達。実はキーヴが練習も兼ねて地走りを連発。それがたまたまティアの目の前をかすめていった。驚き軽く腹を立てたティアも地走りで反撃したが、キーヴが地走りで打ち消して押し切った。そこでティアはエリザに何かを頼み、再びティアが地走りを撃つ。当然キーヴも迎え撃つ。が、ティアが撃ったすぐ後をエリザが地走りを撃った。それを見たキーヴもあわてて次を撃とうとしたが、ティアがすでに準備を終えており、次を撃った。その後、エリザとティアが交互に撃つことで最終的にキーヴの地走りを押し切り、逃げるキーヴを追い回していた。
それを見て閃いたのだ。撃った後に再びエーテル集めて撃つんじゃなく、あらかじめストックしておいて撃てばいいんじゃないかと。イメージとしては手と肘あたりにエーテルを集中させて突くと同時に放出する。突き刺さった後、衝撃波が突きぬけノックバックが発生。そのすぐ後、刀身が抜ける前ににさらに追加の衝撃波が突きぬけ後退する勢いが増した。どうやら成功したらしい。泥人形も最初の倍の距離を跳ばされている。
「ユルさん、今のどうやったんですか?」
エリザが詰め寄ってきた。今のを見ていたらしく、教えてくれと頼み込んできた。で、教えたのだけど、
「む、難しいです」
どうやら二か所にエーテルを溜めておくのが難しいらしく、上手くいかないらしい。そんなに難しかったかな?
何度やっても上手くいかず、それを見た他のメンバーも挑戦し始めた。エルファとティアはエリザと一緒で、どうにも二か所に溜めていくと合流して手と肘の中間あたりで一つになってしまう。ミコとキーヴは溜めようとすると手のエーテルが消えて肘に集まりだす。何が駄目なんかな~、と思ったけど多分単純にエーテル関連の熟練度の違いじゃないかな、と気づいた。
俺はメンバーの中じゃ一番エーテル操作にも長けている自信がある。次いでエルファ達、で最後にミコ達だ。このことを伝えると、皆に指導するように言われ、さらに技の再現係にされてしまった。
仕方ないので抜刀術の飛燕を再現しようと四苦八苦し、刀身自体にエーテルを集め振りぬくのと同時に放出することでエーテルが刃状になり切り裂くことができた。それを教えようとしたのだけど、誰も成功しなかった。一応、エーテルは飛んで行くんだけど、刃状にならなかったり、狙った所に行かなかったり。唯一ティアだけが狙いが定まらないながらも何とか形になった。
「なんでできないんだ?」
ティアはミコに手伝ってもらいながら黙々と練習している。キーヴとエリザは相変わらず俺が教えている。
「分からん。ユルよ、ちょっとゆっくりやってくれ」
キーヴが今までにない集中を見せている気がする。顔がマジだし眼もマジだ。
「わかった。いいか? エーテルが刀身に行きわたってるのがわかるだろ? そして振ると同時に放出すると……あれ?」
分かりやすいようにとゆっくりした動作で刀を振るったのだが、なぜか失敗。みんなと同じように刃状にならず、余所へ行ってしまった。
なんでかな? と思ってもう一回やってみる。
シャ。
成功。なんでだろう。もう一回やってみよう。
シャ。
成功。うん、よくわからん。
「ごめん、もう一回やるわ。こう溜めて、振ると同時に……こう。あれ?」
失敗だ。んん?
シャ。
成功。
シャ。
成功
なんでだ? こうして~こう。これだと失敗。構えて……シャ。っと、これだと成功。ん~……違うのは、振りぬきの速さ、か?
「こう……こう。これは? こうだ。ならこれくらい? じゃあこれ。これは? これなら……………おし、ここか……うん、これだな」
キーヴ達を措いて研究してみたらやっぱりある一定以上の剣速がないとできないみたいだ。
「分かった。キーヴ達にはこれ無理だと思う。ある程度の速さがないとできないみたいだわ」
「なんだよそれ。エーテル使えば再現できるんじゃないのかよ」
「現実と一緒でしょ。ちゃんと鍛えないと技なんて身に付かないのよ。あんたはエーテル操作も一番下手なんだからしっかり練習しなさい」
落ち込むキーヴに追い打ちをかけるエルファ。
「だよな。キーヴは昔からある程度になると手を抜く癖があるからな。しっかり技術を、しっかり技術……技術? …………アビリティがあって、スキルが身に着く。これってそのまま現実と……」
「ユル?」
俺は英語苦手だけど、確かアビリティってのは才能とか、能力だったはず。スキルが技術とか技能だっけ? やっぱりこれって現実……あれ? でもゲームの中も同じだったよな。潜在的なものとかじゃなくて行動でアビリティが身に付くんだけど。アビリティを鍛えるとスキル覚えるって。どっちだ。現実か、ゲームか。
ゲーム? リアル?
ゲーム。リアル。ゲーム、リアル、ゲーム、リアルゲームリアルゲームリアルゲー…………
「ああ~!! もう訳分からんわボケェ!」
バシャ!
「っ~~冷てぇぇ!!」
突然冷水を浴びせられた。顔を上げると杖をこちらに向けているエルファ。
「何すんだ!」
「落ち着きなさいよ。今は訳分からないことだらけなのは分かってるでしょ。……それにミコとティア、あんたがいるから落ち着いてるようなもんなのよ。そのあんたが取り乱してたら二人が不安がるでしょ」
少し控えめの声量で言ってくる。視線を動かしたらミコとティアが二人でこっちを見ている。何をしているのか分からないのだろう、首をかしげているので手を振って何でもないと伝えておく。
「……悪かったな。考えないようにしてたんだけど、きっかけが掴めそうで掴めなかったから」
「ふん、まぁいいわ。それで何かわかったの?」
「一応戦闘スキル関連での予測は」
と、俺は思ったことをエルファに伝えた。
「なるほどね。…………それなら一旦皆と話してこれからの方針を変えたいんだけど良い?」
エルファは少し考えてそう言う。特に異論はないし、頷いておく。
「じゃあ決まり。ミコ、ティア。ちょっといい?」




