目覚め
やっとです
そして賛否が分かれそうな予感
とりあえずプロット失敗感がビンビンであまり役に立ちそうにない
今回も思い付きとご都合主義全開の予感……
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ありがたいことでありますが、プレッシャーです
とりあえず頑張ります
なんだかフワフワする。初めての感覚だ。
ログインしてから結構経ってる気がするけどなかなかつながらない。
意識はあるんだけど、ハッキリしないというか……。やっぱりなんかフワフワする気がする。
しばらくすると段々と落下している気がする。
……いや、落下している。あれだ。夢とかで目が覚める前に体感する奴。回りながら落ちてく、みたいな。やっとログインか。
はっ、と目が覚めた。すっきり、とではない。授業中とかで机に座ったまま寝て、カクンときてはっと目が覚める感じ。ダルイ。
「ユル? やっと起きたのか」
視界にひょいっと顔を出したのはキーヴだ。
「キーヴ……。なんでここに?」
確か宿屋でログアウトしたはず。しかも個室。キーヴがいるわけがないんだが。
「俺だけじゃなくて皆もいるぞ」
そう言われて見回してみれば、皆がいた。
起きてみれば、宿じゃなく、俺は天幕の下で寝ていたらしい。
「どこだ、ここは」
道も何もないただの平原のような場所だ。今までの場所とは全然違う。
「どこって……異世界でしょ」
やや投げやりげにエルファが言うが、耳の調子が悪いのか? 異世界と聞こえた。
「……どこだ、ここは」
もう一度言ってみた。
「だから、異世界なんじゃないの!?」
キレられた。意味わからん。夢か? ……もっかい寝よう。
寝れませんでした。
エルファだけじゃなくエリザまでが叩き起こしてくれた。ひどい。
「……とりあえずいいか? 意味わからん」
「私たちもわかんないよ」
間髪いれずにティアが返事をくれた。
「でもね、メニューも開けないし、システムメッセージも何も見れないし訳わかんないし意味わかんないしも~だれか説明してよ!!」
ティアは涙目になっている。……へにょっと垂れた耳としっぽがたまらん。よしよし、と慰めるふりをして耳を堪能した。ティアは寄りかかって来てグスグスと泣き出してしまった。
「グス…………兄さん……」
ミコも寄って来て背中に抱きついて泣き出した。
エリザも泣きそうにしょんぼりしている。エルファは不機嫌全開で、落ち着いて見えるのはキーヴくらいだ。
「あ~……とりあえず分かることだけ教えてくれ」
「とりあえずログインしたんだが、起きたらここにいた。俺が起きた時にはミコが起きてたからミコが一番最初のはず」
と言うと背中で頷く動きが分かった。
「お、起きたらグズ……皆た、倒れてって。ひ……ひと、一人だ、だけで。メニュー、もなっ何も使えないし」
「ミコ。大丈夫だから」
その時を思い出したのだろう。泣いてしゃくりあげるミコを抱き寄せて、続きをキーヴに促した。
「で、今みたいに蹲って泣いてたから、事情聞いて色々試してみた。そんでわかったのは今まであったシステムメニューが何も使えない。まぁアイテムボックスがシステム上の異空間系じゃなくて収納アイテムだったのは助かったのかもな。メニューとかのシステムが使えなくなってるから使用不可の可能性もあったし」
そういってアイテムポーチを叩く。どうやらポーチとアイテムボックスの中身は無事らしい。
「とりあえず、アイテムボックスと馬と馬車は無事。それ以外のシステム系統は全く反応がない。そのせいか知らんけど、スキルがほとんど発動しない」
「は? どういうこと??」
スキルが発動しないってかなり厳しい気がする。
「俺も良くわからん。ただ、今まで使ってたスキルが発動しないんだ。主に戦闘系統だけどな。システム関係が駄目になってるっぽいから手動で発動しなきゃダメなんだろうけどそれも発動しない。ただ魔法は使えるみたいだけど」
そう言ってエルファを指す。エルファは不機嫌な顔をしたまま頷く。
「でも制御とかすごくしにくいのよ。使えるけど使いにくいっていうか」
「あとエーテル関係も使えます。これも今までより威力とか下がってる気がしますけど」
エリザもそう続けた。
まとめると、今まであったシステムによるアシストやら何やらが消えてしまってまるきりリアルそのまま状態。魔法やエーテルは使えるけど攻撃スキルとかはなぜか発動しないと。
ゲーム? リアル?
ゲームだとするとシステム関係が死滅したバグ? あまり詳しくないからそんなことがあるのかよくわからんけど。
リアルだとしたら、魔法なんて現実には使えなかったし、ゲーム内での装備やアイテムがあるのはおかしい。
「……ゲームのような異世界、ってのが一番有力ってことか?」
「だな。今がどんな状態なのかハッキリわからん状態だから最悪異世界転移の現実って考えた方がいいと思うな。死んでも復活するとは限らんからな」
全面的に賛成だ。現状が謎だし、不用意なことはしない方がいい。
「今まで以上に慎重に行こう。この前みたいなこともあるかもしれない。人助けよりもまず生きることを重視して行こうと思う」
俺の言葉にキーヴはためらいなく、ティアとミコは泣きながらも素直に、エルファとエリザは不満そうにだが一応頷いた。
「二人ともそろそろ落ち着いた?」
何をすればいいのか特にわからなかったので、とりあえず簡単に食事を済ませ、休む時間をとった。
「うん。ごめんね」
ティアは大分落ち着いたみたいだ。ミコは相変わらず俺にひっついている。
「でも皆と一緒で良かったです。私一人だったらとても耐えれません」
と、エリザ。実際俺も皆がおらず一人だったらかなり騒いでいただろうな。状況を把握しきる前にミコ達が泣き出したのも物事を考える冷静さを得れた一つだとも思う。
「でもこれからどうするの? スキルも使えないし、ここがどこかも分からないんじゃどうしようもないわ」
確かにエルファの言うとおりだ。
「とりあえず一つずつ解決していこうか。現在地は草原だけど、むやみにうろついて迷っても危ない。動くのはもう少し現状把握できてからってことで」
幸い見通はいい。これなら何かが襲ってきたとしてもすぐ気付くだろう。皆が言ったようにスキルが使えないためか、気での気配察知がいまいちし難い。
「では次。装備とかだけど、食料はまだ結構あるみたいだ。装備もログアウトする前と同じだし、アイテムも減ってない。でも今はスキルとかが使えないから戦闘はどうなるか分からない。だからしばらくは戦闘訓練とかを中心にして他のスキルとか発動できないか試していこう」
「それは確認しましたよ。キーヴさんが主に戦闘系って言ってましたけど、挑発とかは使えるんです。ですが攻撃とかになるとなぜか発動しなかったりするんですよ」
「……? 具体的には?」
「そうだな、エーテルの放出系スキルは攻撃に問題なく発動したな。地走りとかの剣技とかは不発。単純な突き技だとかの力技は成功っぽい。あ、待てよ……。そういや、ゲーム内でエフェクトとか効果がついてたスキルは不発ってことか」
「なら魔法か何かでエフェクトでも付けてみる? 手伝ってあげるわよ」
「……それいいかもな」
エルファの案は的を射てるかも。システムを手動で再現することがばできるかもしれない。




