街で3
まだ街です
ごめんなさい。説明文が多いですね。ごめんなさい。
頑張ります
とりあえず最低限のお勉強はしたので良しとすることにした。
ロウに言われた通り《練気》をすることにした。ちなみにこれもアビリティの一つだ。
他に今回覚えたアビリティは《気功術》《呼吸法》《魔法術》《魔法知識》《魔力制御》。
魔法関係も色々試したいけど、街の中だともし失敗したときとかまずいので外に出るまで我慢だ。その代わり練気でエーテルを強化しつつ気功術で身体強化することにした。とりあえず強化できるものは可能な限り強化する。
気功術に関してだけど、実は初めてスキルを使ってみた。スキル《強化》。実はこれ、非常に使いにくい。強化する場所を指定すると強制的にエーテルを集中させるのだけど、強度指定がない。更に同時に複数箇所強化ができない。
エルファに聞いたところ
「このゲームは基本的にアクティブスキルが使いにくいのよ。現実にスキル発動ってないでしょ? だかららしいんだけどね。しかもシステム上のスキル使用時より、アビリティの延長上での『AS』の方が威力とかアビリティとかスキルの成長度も高いのよ。あ、『AS』ってプレイヤーが呼んでるだけだから。他にも単純に『技』って呼んでるから。便利だよ~。慣れると『コンボ』も出来るしさ」
エルファ談だとシステムのスキルって形だけ作った感じだ。ただアビリティの足りない動きはスキルアシストが無いと発動しにくいらしい。
例えば飛び上がってからの攻撃をするスキルがあるとする。『AS』での発動をするには『ジャンプ』あるいは『二段ジャンプ』が無いと使えないが、スキル選択での使用をするとアシストがかかり『ジャンプ』が発動し、使用可能となるらしい。
何かややこしい。エルファの話を聞く限りだとスキルっていらない子のような気がする。
そう聞くとエルファの返事では実はそうでもないらしい。
スキルには攻撃力のプラス補正があるから強敵との戦闘では必須らしい。ASでの発動にしても動作として『型』が必要なのでそれを覚えるのに要るらしい。しかも、同じ動きをなぞったとしても、スキルを修得してない状態だと『スキル』として発動しないので意味はないとか。
まぁとにかく、生産にしろ何にしろシステムとしてのスキルを使わない方がレベルとして高いなら常にそうしようじゃないか。
ということで気功術を使いまくってエーテル消費して呼吸法と練気を鍛え、さらに走る。
次の目標は道場だ。
道場はマップ表示されているのですぐ見つかった。しかし、この道場というやつは意味がない気がする。
武器の扱い方を教わってアビリティを覚えたら『皆伝』となり、終わり。え? ちょっと待って。エルファは道場に行くのが基本――と言ってたよな。
「キーヴ? 俺も道場に行ったんだけど」
先に道場に行ったであろうキーヴに連絡してみたところこっちの聞きたいことが直ぐにわかったらしい。
「ああ、あれか。俺もエルファに速攻で連絡したよ。したら怒られた。武器のアビリティって道場でないと覚えないんだって。使っていくと《我流》に派生してくらしい。また『最初にそれくらい調べとけ!』だってさ」
そうだったのか……。エルファじゃなくキーヴに連絡してよかった。
武器とか調べたけどアビリティの取得条件まで調べなかったからなぁ……。
「ついでに、何か遠距離ようの武器も取ったほうがいいってさ。気づいてない相手に攻撃すると《奇襲》ってのが出来てかなりダメージ与えるらしいよ。気殺とかの系列で奇襲するのは前から有ったみたいだけど遠距離でも出来るらしい。これは最近出た情報らしいよ。魔法だとエフェクトとか付いて派手になるから奇襲にならないってさ」
キーヴは《投擲》と《ダガー》のアビリティを取ったらしい。
投擲かぁ。確かあれってStr依存で飛距離と威力が変わるんだよな。速度重視の俺としては筋トレ系は遠慮したい。となると、《弓》か。取り回しの邪魔にならないショート・ボウ辺にしよう
だいたい街中を走り回って買い物とクエスト(施設案内程度)が終わった。
休憩と昼食(ゲーム内で空腹だと能力値が落ちる)を取って中央広場で休んでると、音楽が聞こえてきた。テンポが良く、俺好みの音楽だったので、気になって音の方へ行ってみた。
ちょうど中央広場の俺がいたとこの反対側辺に四人の女性がいた。
二人はリュートを鳴らし、もう二人は踊っていた。特に人も集まっておらず、四人も気にせずに演舞を続けていたが、俺に気づいたのか演奏が止んだ。
「あの、何かご用ですか?」
リュートを弾いていた女性が声をかけてきた。
「ああ、いえ。俺好みの曲が聞こえたもので。気になって聴きに来ました」
「気に入ってもらえて嬉しいです。実は私のオリジナルなんです。」
もう一人の女性が話しかけてきた。
最初に話しかけてきたのがアミさん、その後がメルーサさん。このゲームで知り合い以外で初めてプレイヤーとの会話だ。なんだか新鮮。
「踊りもオリジナルなんですか?」
「踊りはスキルなんですよ」
「私達は一応旅芸人ってことで」
話に入ってきた二人はちょっと目のやりどころに困る衣装だ。なので演奏中もなるべく目に入れないようにしていたのだが、相手が回り込んできた。
「そ……うですか。それって《ジョブ》なんですか?」
男として反応した視線を無理やり外した。
「ジョブとしては踊り子と楽士。結構簡単になれるジョブなんだ」
この子はミュウ。小柄な割にメリハリボディさんです。谷間が……。
「高校の頃からこういうのに憧れてたんですけど、なかなかジョブとして存在するMMOがなくて」
こっちの子はミリーさん。俺と同じくらいの身長でボンキュッボンではないが、スレンダーでスタイリッシュな女性だ。容姿は中々の美人さんで、無整形かどうか謎だがリアルであったら声をかけたくてもかけにくい女性たちだ。ゲームでよかった。……ただ俺がヘタレなだけかもしれないけど。
みんな同級生でもう大学二年らしい。俺より年上だった。ってことは小っさいミュウ……ミュウさんも年上か。サイズは合法ロリってやつですね、そうですね。
「ダンスなら俺も少しやってたんだけど。そのアビリティって俺でも覚えれます?」
「簡単だよ。《ジャンプ》と《ステップ》を覚えて音楽に合わせてリズム取ると《リズム感》が取れるから。後は音楽に合わせて体を自由に動かすと結構すぐに覚えるよ」
そう言うとミュウさんがジャンプしたりクルクル回ったり。そのたびに、腰のスカートがヒラヒラ、太股がチラチラっと。そしてたゆんたゆん、と揺れる。プルプルと揺れる。……揺れる。
どうにか、視線をどうにかそらして、息子を全身全霊をかけ沈める。
(落ち着け、クールになれ、クールにだ。そう、これはゲームだ。生身じゃない。あの足も、胸もバーチャルだ。グラフィックだ。いくらプルプルでムチムチでも……ムチムチ…………。いやいや落ち着け俺)
どうにか落ち着けかけたところでミュウさんが視界に回り込んできた。近い近い。
「ちゃんと見てた? 聞いてた?」
見てました。しっかり見てましたから。だから離れて! いい匂いするから! ゲームなのに匂いするから! リアル過ぎるんだよ運営。
「ねぇ?」
「見ました、聞きました! お願いですから離れて! 俺、男ですから~!」
やけくそ気味に叫んだ俺は回れ右をして走ろうとしたらアミさんいました。しかも
「「「「えええ!」」」」
驚愕の顔で。
男と思ってなかったのか。ショックで力が抜けへなへなと崩れ落ちた。おかげで息子もへなへな~。制御に成功しました。泣きたい。
《ピンポン。アビリティ《自制心》取得》
ちょっと泣いた。