王都まで
トラクターに乗りながらの執筆は無理でした……
とりあえず、あまり引っ張るのもどうかと思ったので、ちょっと展開が早いです。
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――堪能した。
トロアだけじゃなく、イリアにも飲ませてもらった。少したどたどしく流し込んでくるイリアが萌えた。
交互に飲ませてもらったけど余韻を味わうことなく意識が落ちたのが残念だったけど。
「あ、起きましたか」
目が覚めるとトロアが身体を拭いてくれていた。
「今、イリアがスープを作りに行ってます。今日はもう皆出た後ですよ。護衛にはティアさんが残ってます」
ティアが護衛か。罠もあるし、機動性もあるからかな? あと料理ができるところもか。まぁティアって瞬間的な火力は劣っているけど以外と平均的に能力高いんだよね。
「ん。君達もちゃんと休みなよ?」
「ちゃんと休んでますから、大丈夫ですよ」
そう言って水を換えに出て行った。その間にステータスを確認してみると、失血によるステダウンが40%に、服毒後遺症が10%になっていた。昨日より体調がいいなと思ったが、順調に回復しているみたいだ。
でも、今日も甘えてしまった。
ワザとじゃないよ? 身体起こそうとしたら肩を押さえられてしまったからね。
「無理しないでいいですから」
なんて二人に微笑みながら言われてしまっては、従うのが正解でしょ。
でも体調が回復してきたからって事もあって、スープだけじゃ物足りなくなった。そう伝えると、何やら柔らかく煮たミンチの肉の様な物が入ったお粥? みたいな物を作ってくれた。
正直、形のあるものの口移しは……、とも思ったけど意外に悪くない。ただし美女(美少女も可)に限る。二人も嫌がらずに世話をしてくれる。今更だけど、いい子達だ。
でも二人ともティアが来るとスプーンでの食事に切り替える。何度か様子を見に来てくれていたけど、この食事風景はティアには内緒らしい。俺も恥ずかしいし、何だか罪悪感があったりもするから助かるけど。
ちなみにこの日は村に戻った人達は帰ってこなかった。
翌日。昨日のお粥? のおかげか失血によるステダウンが20%になり、服毒後遺症も5%になっていた。体調も快調とまでは行かないでもかなり動けるようになった。
流石に口移しは無くなったが、それでも世話をしたがるのか、身体を拭いたりと色々してくれる。
がそれは昼前に村に戻った人達が帰ってきたことで終わりを迎えた。
「……荷物それだけ?」
戻ってきた人達の荷物は、馬車に大型のアイテムボックスが二つと各個人がもつ携帯型のアイテムボックスだけである。そんな俺の疑問に答えたのはエリザだった。
「ほとんどの家財は燃えたり、壊されていて……。残りは攫った人達が持ってた金目の物だけだったんです。なので埋葬と村中から使えそうな物を集めただけでした」
「そっか」
そう言えば燃えていた家の消火はせずに追ってきたから、あれから燃えた家も増えたのだろう。消しておけば良かったのかも知れないが、消さなかったから追いつけたのかもしれない。あちらを立てればこちらが立たず、って奴か。
「それで、これからの予定は?」
とりあえず俺の体調も足手纏いから一歩脱したし、いつまでもここにいるわけにも行かない。
「そのことなんだが、ユルが寝ている間に奴らの使ってた馬を結構捕まえる事ができたんだよ。そんで、村に戻って方向と歩いた距離で村の人にこのキャンプ地の大体の場所を確認したら、王都まで馬車だと一日かからないらしい。奴らの馬車があるけど馬が少し少ないから少し休憩を多く取らないとだろうが、昼から出れば明日の夕方には着くだろうって事で意見がまとまってる」
そう言ってキーヴは少し申し訳な下げな顔をして続けた。
「まだ万全じゃないだろうが、できれば今から出て一気に王都まで行こうと思ってる。無理をさせるだろうが……」
言いにくそうに言葉を切るが、そこまで気にしなくてもいいし、普段のキーヴを知っているだけに少し気持ち悪い。
「気にし無くていいさ。イリナとトロアのおかげで、かなり良くなってる。余程の敵でない限り、自分の身も守れるし、最低限の護衛はできるさ」
たぶん、だけどね。まぁ、足手纏いにはならないだろうさ。
そして、そんな俺の言葉を聞いて、イリナとトロアが照れてるのかモジモジとしている。そしてそんな二人を若干睨んでいるのが三名ほど。……誰とは言わないよ? 流石にいくら鈍くても気付いてるから。ミコはともかく、二人は絞れないから答えを出してない。現実に戻ったときの事も考えると、いい加減なことはできないし色々と覚悟ができてないし、許して欲しいところだ。
それでもイリナとトロアに甘えたのは……まぁ、察して欲しい。禁欲にも限界があるのさ。…………はい、すいません。ゴメンナサイ。
まぁ何はともあれ、出発が決まり、俺の立ち位置も決まった。とりあえずは王都に着くまでは村人と一緒の馬車で護衛だそうだ。これは気を使われた結果で、どうやら馬車で休んで無理するな、と言うことらしい。ちなみに村人の馬車は三台あって、俺はイリナとトロアの乗っている馬車である。
何だかこの二人は俺の付き人と言うか愛妾? みたいな扱いになってる。この二人に対する例の三人の視線は鋭いけど。
王都までの旅は大人数のせいなのか何なのか、特に襲われることも無く、体調が完全復活する頃には王都の影が見えた。




