後処理
はい、今回は短いです。いえ、今回も、ですかね
楽しみにしてくれている方が居てくれるのは非常に嬉しいですね
ありがとうございます
これからも頑張ります
「ああぁあ! キーヴさん!」
「あっははは。相変わらず馬鹿ね」
「……くっそ~、エルファめ。笑ってないで助けやがれ」
心配するエリザに笑うエルファ。俺とエルファはキーヴが何かやらかして失敗するのを結構見てきたので、ただの笑いの一コマにしか見えない。キーヴは基本的にお調子者なのだ。
「ありゃりゃ。キーヴ君、大丈夫?」
ティアもキーヴの側に行き心配気に覗き込んでいる。
「大丈夫だろう。いつもの事だしね。大体エリザに任せとけば良かったのに。攻撃力が一番低いのにさ」
一応、いつまでも挟まったままでもなんなので、手を貸してやる。
「いいじゃねぇかよ。ユルの付けた傷跡に決めれば俺でもいけると思ったんだよ。実際いけたし。大体、俺も少しは役に立ちたいっての」
ズルズルとドラゴンの下から這い出して、ブツブツと文句を言うキーヴ。
「ならせめて使うスキルとかをもう少し考えろ。ノックバック効果の高いスキル使ってたら下敷きにもならなかったしさ」
「うっ、それは、そうだが」
「はいはい、ユル君。お話はとりあえず措いといて、とりあえず、解体してしまおうよ。ドラゴン素材だよ? 時間切れになる前にアイテム化しておかないと勿体無いよ」
ティアの一言で、みんな気づいた。ドラゴンを倒したのだ。ドラゴンと言えば、多くのゲームで超高価な素材の宝庫だ。
「よし、さっさと採ってしまおう。キーヴはその前にミコに回復してもらえよ」
解体は結構大変だった。まず硬い。竜鱗といわれる鱗も硬いのだが、皮膚がすこぶる硬いのだ。肉と皮とを切り離したはいいが、中々に大きいので適当な大きさに斬ろうとしたのだが、解体用のナイフじゃ刃が立たなかった。仕方ないのでエリザに武器を使って斬ってもらった。
肉も骨ごとだとアイテム化されないので、骨からそぎ落とした。サイズがサイズなので中々じゃない。腕と脚の肉はアイテム化されなかったので、早々に胴体だけに取り付いたので少しはマシだったが。
ドラゴンの戦利品はこんな感じ。
『ミニドラゴンの鱗:ミニドラゴンの鱗。成体の竜鱗には劣るが、他生物の鱗よりは強度が高い。竜鱗の中では最低ランクだが、鉄より軽く、丈夫なため、スケイルアーマー等に良く使われる。Mdef+50の効果。ランクが低くく、強度不足により武器加工は不可能』
『ミニドラゴンの皮膚:ミニドラゴンの皮膚。成体には劣るが、他生物の上位種並みの強度を誇る。ただし、他生物の皮膚より劣化が早く、死後二日以内になめして皮加工しないと、ただのゴワゴワした皮膚になってしまい、何にも使えなくなる』
『ドラゴンの牙:竜種の牙。装飾品や武器に加工可能。サイズが小さい物は装飾品。30センチを越すものは武器として加工されるものが多い。装飾品へ加工すると、Atk+2%。武器に加工すると貫通属性+5%。主に刺突用武器へ加工される』
『ドラゴンの爪:竜種の爪。竜の種類によっては状態異常の効果付与がある。短剣、ピックなどに加工されることが多い。サイズは最長1メートルだが、めったに取れない。大体60センチ前後のものが多い』
『ドラゴンの肉:竜種の肉。エーテル内包量が他生物より多く、エーテルによる強度が高いドラゴンの肉は、腐りにくく、筋が少ないため柔らかい。グラム単価四万ガルの高級食材。ドラゴンには寄生虫が付かないので、新鮮なら生でも食べられる。取れたての肉だとグラム単価が十万ガルを超える』
『竜骨:竜種の骨。主に鈍器類の武器素材。刃物には向かないが刺突類の武器素材としても使える。ただし、骨を削るために強度は最低になる。稀に装飾品へ使われることもあるが、特別な効果が無い。樹の素材より硬く丈夫。全生物中最もエーテル伝達率が高いため、気功を使える者ならば武器のエーテル強化が可能』
『ドラゴンの皮膜:竜種の皮膜。皮膜としては厚く、耐火性、耐寒性に優れているのでマントとして加工されることが多い。火属性ダメージ15%軽減。氷属性ダメージ15%軽減』
『ドラゴンの血:竜種の血。エーテル純度やエーテル内包量が多いので、生命力の回復、エーテルの回復、状態異常の回復等に使える万能薬。ただし、強力すぎるために反動が大きく、生命力・エーテルの欠如の状態以外で摂取すると激痛や高熱などの症状が起き、病気や怪我からの回復後に反動で死に至ることもある。元々が病気や怪我で瀕死の者に使う場合は余程の事が無い限り、反動で死に至ることは無い』
「やっぱり凄いアイテムだね~」
「採るのはなかなか大変だったけどね」
「おい、ユルよ。この竜鱗で装備作ってくれよ」
キーヴが自分の分の竜鱗を渡してくる。ちなみにアイテムは均等割り。竜鱗は全部で百二十三枚取れたので、一人頭二十枚で分けた。
「そうだな。街に着いたらやってやるよ」
「じゃあ私はこの爪で短剣作って~」
ティアも爪を渡してくる。
「はいはい」
「兄さん、私にも何か……」
ああ~もう。
「わかった。街に着いたら皆になんか作るから」
「「「やた~」」」
「ユル、ユル。私それよりこれが気になる」
「あの、私も……」
そう言ってエルファとエリザが出したのは、ドラゴンの肉だった。




