ドラゴン
相変わらず題名適当です。
そして戦闘シーン……苦手です。
精一杯頑張ります
そういえば、知らないうちに22,000,000アクセスと390,000pvをいただいておりました。
ありがとうございます。
やや蒼い体躯、大きさはよくわからないが最低でも四メートルは在るだろう。翼を動かしながら滞空し、こちらを見やるドラゴン。龍ではなく、ドラゴンだ。手と翼は別に存在する為、翼竜ではない。ちなみに、噂では翼竜は下位種らしい。ということは噂通りなら目の前にいるのは上位種ってことになる。
「どうする、先手必勝で行くか? 作戦立てながら様子見をするか?」
「様子見に一票だな。もしかしたら見逃してくれるかもしれないし」
最初の威勢は何処へやら。キーヴは完全に逃げ腰だ。
「私もキーヴに賛成よ。こちらからの手出しは極力避けて、相手の行動を観察しないと、弱点も分かりゃしないわ」
「ティア、罠は行けるか?」
「流石に無理かな……手持ちの素材が少ないし。もう少し周りに木でも在れば違うんだけど」
長旅の荷物になるって事で最低限の罠素材しかないとのこと。罠は期待できそうにない。
「エリザ、耐えれるか?」
「……わかりません。エーテルでの強化と支援を貰えば、少しは耐えれるかもしれませんが」
「わかった。可能な限り避けよう。エリザにタゲが移ったら俺とティアでどうにかしよう」
小声でコソコソと話をしている間もドラゴンは滞空したままだ。もしかしたら戦闘しなくて済むかもしれない。
結構な速さで近づいてきた割に、何もしてこないドラゴン。このまま何とかやり過ごせるかな~、と思っていたら、気がついた。
「……なんか、あのドラゴンのエーテルが濃くなってないか?」
「エーテルだけじゃなく、周りに魔力も集まってきてるわ」
ってことは……
「やべぇ! なんかくるぞ、攻撃、攻撃!」
「エルファ、なんでもいいから気を逸らせ! ミコ、防御固めろ」
指示を出しながら、俺も矢を放つ。
「《ソニックショット》」
目標が大きいのでまず外さない。が、
カツン……
「げぇ!? 刺ささらねぇ」
なんつう硬さ。弓、意味ナス。
「《ライトニング》」
エルファの言葉で空から雷が落ちる。
しかし、それはドラゴンのブレスと同時だった。
「ノォォオ! 何とかして~」
キーヴの悲鳴が響く。
「《ウィンドシールド》」
俺達の前に風が渦を巻く。どうにかミコの魔法が間に合ったみたいだ。
ドラゴンのブレスはウィンドシールドに阻まれ、左右に広がっていく。
「ナイスだ、ミコ。キーヴも喚いてないで何かしろ!」
「遠距離攻撃なんて無ぇよ! ナイフ投げても効かねぇだろ」
「アホか! 何のために気功教えたんだよ。波動拳だ、カメハメ波だ!」
「おお、そうだ。そうだった! 修行の成果だ」
ちなみに、気功波はスキル名が気功波であって、波動拳やカメハメ波など無い。ただ、練るエーテルの量や、質で威力が変わるのだ。技名はただの気分。
ウィンドシールドが消え、視界に徐々に高度を下げるドラゴンが居た。
「魔法が効いてる? エルファ、もう一発だ」
「言われなくても、《ライトニング》」
再び雷が落ちる。
「グルァルアァ」
が、ドラゴンの一声で、何かに阻まれた様に雷が散っていく。
「はぁ!? そんなのあり?」
「よし、俺の出番だ。喰らえ! ドラゴンバスター!」
キーヴの両手から気功波が打ち出される。どうでもいいけど、傍から見てて技名叫ぶのは結構恥ずかしいな。スキル名でも無いからただの自称技なので尚更だ。
「グギァア」
見事に着弾。今度はかき消されることも無く命中した。俺達と一緒でスキルのクールタイムがあるのか?
「見たか! 俺の実力を」
「さっさと次を撃て馬鹿!」
ドラゴンを指差して自慢げにしているキーヴを殴り飛ばすエルファ。漫才してる場合じゃないんだが。
その横では同じように気功波を放つティアとエリザ。二人とも効きそうな対空のスキルが他にないしね。
どうやら、クールタイムがあるようで、気功波も防がれるときと、あたるときがある。
ちなみに、気功波のクールタイムはエーテルを練ってる間に終わるので、あんまり気になるタイムラグは出ない。
そういえば、エーテルは効果あるみたいだな。 やってみる価値はあるかも。
やるのはエーテル武器創造。作ったのは弓矢だ。
「よし! 出来た。行け《ソニックショット》」
弓は矢を放った瞬間に消滅した。矢の方はちゃんと飛んでいったようだ。一応スキルも発動したみたいだ。
ブッ、ドォゥウン。
さっきの矢の様に弾かれる事は無く、エーテルの矢は中ほどまで刺さり、一瞬の後に今朝の岩の時のように破裂した。
体に穴が開くことは無かったが、さすがのドラゴンも先ほどからの気功波と、エーテルの矢によるダメージで飛んでいられなくなったようで、地上に落下してきた。
地面に激突してくれれば儲けものだったが、さすがにそこまで上手くはいかない。激突前に羽ばたき、速度を殺し、体制を崩しながらではあるが着地した。
「《レクレス》の称号持ちをなめんなよ~」
「地上戦なら私でも行けます!」
着地後、バランスを崩しているドラゴンに、ティアとエリザが突撃していく。
スピードのあるティアが一番にドラゴンに切り込む。ドラゴンも当然腕を振ってそれを阻むが、ティアの動きの方が早い。
ドラゴンの腕を掻い潜り、
「《ピアッシングエッジ》」
ドラゴンの脇腹に、突き出した短剣が根元まで埋まりこむ。ビクンとしながらも反対の腕を振るドラゴン。
しかし、そこにエリザが追いついた。
「やらせません」
盾を構えて間に入った。
「っきゃあぁ!」
間に入ったは良いが、盾がドラゴンの一撃に耐えれず、破壊。そして、エリザごとティアを吹き飛ばした。
「ティア! エリザ! よくも……《ライトニングソード》」
エルファの手から雷が空へ向かって伸びる。そしてそれを振り下ろした。
轟音と閃光が辺りを支配した。もう少し周りへの影響を考えて使ってほしい所だが、そうも言ってられない状況だ。キーヴはエーテルの使い過ぎでスタミナ切れを起こし、後方で待機をしている。
……ホントに、もう少し考えて行動してほしい。
若干痛む耳と視力のいまいち回復していない状態だが、やるしかない。小周天を使い活動できるのは俺しかいない。
「ミコ、頼む。俺がしばらく引き受ける」
引き受ける、とは言ったが、俺の防御力ではすぐに死んでしまうだろう。ここは回避盾、という奴で行こう。
「《霞》」
この技は、態と隙を見せて攻撃を誘い、避けて攻撃をするカウンター技だ。技の特徴としては、こちらから狙って攻撃を出させるので、高い回避率を誇るが、名前の通りの霞の様なあやふやで軽いダメージしか与えられない。それでもドラゴンの硬い皮膚に傷をつけれるのだから上等だ。
尽く空を切るドラゴンの攻撃。こちらの攻撃は当たっているけど、身体に傷をつける程度。とは言え、ちりも積もればと言うやつで、だんだんとドラゴンの動きが落ちてくる。
たまにエーテル濃度が上がり、何か仕掛けてきそうになるので《朧》をキャンセルし、スキルでノックバックや硬直を付加し、行動をキャンセルさせる。
そんなことを何度か繰り返していたら、
「ごめん、お待たせ」
「すみません」
エリザとティアが回復して戻ってきた。エルファはドラゴンと俺の距離が近いので、回復と補助に回っている。ちなみにキーヴはチョコチョコと気功波を打っている。地味な活躍ではあるが、効果は出ている。
「助かった。そろそろ何とか決めたい。ティア、背後から奇襲できるか?」
「注意をそらしてくれたらできるよ」
「よし、こっちは俺とエリザで何とかする。ティアは奇襲で強力なのを一発頼む。隙ができたら俺とエリザも渾身の一撃をお見舞いするから」
「わかりました」
「おっけ~」
「じゃあ頼む。ミコ、エルファ。ティアに補助を。俺とエリザは回復を頼む」
返事の代わりにティアに攻撃、防御、敏捷、などの補助がかかる。
「じゃあ、行ってくるね。獣人の本領発揮だよ。《キャットウォーク》」
音と気配を断ち、ドラゴンの前から去っていく。いつもは罠を張る時に襲われない様に使っている技だ。
「おいおい、俺も混ぜてくれよ。火力としては今一だけど、パリィくらいなら役に立てるぜ」
キーヴも気功波をやめて、こっちに来た。なるほど、では役に立ってもらおう。
「じゃあ囮で。行け!」
「荒! 人使い荒!」
文句を言いながらもドラゴンの前に立つ。足がカクカクしているのは見なかったことにしてやろう。
キーヴが剣で受けて耐えているので、俺も回避から攻撃へと移る。
「ちょ、離せバカ!」
パリィくらい、と言っていたが早々に失敗し、ドラゴンに剣を掴まれるキーヴ。ダメじゃん。
とは言え、囮としては十分なので、利用させてもらおう。
「《爪牙》」
狙いはキーヴの剣を掴んだ腕だ。
「ギェアアァア!」
上下から挟むように刀を振るう一撃。鋏の要領で斬った一撃はドラゴンの腕を斬り落とした。
ドラゴンが悲鳴を上げながら俺を睨み付ける。鋭い眼光に一瞬動きが止まる、が。
「こっちからも行きますよ」
普段は皆の盾となるエリザだが、純粋な攻撃力はパーティでダントツだ。
「《グランヒット》」
上段からの振り下ろしの一撃。その一撃でドラゴンの左翼が半ばから落ちる。
「グアアァアァ!」
さすがにヨロけて、たたらを踏むドラゴン。そこに、
「待ってました~! 《クロスラッシュ》」
背後からティアの二連撃。称号の補正も手伝って、ドラゴンの右翼を根元から切り落とす。
「ナイスだ。腹がガラ空きだな!《十文字》」
ティアの攻撃で仰け反ったドラゴンの腹に右突きを入れる。突き入れた刀をそのまま左に振りぬき、後ろに引いた左手から、反動をつけ、身体ごと突き入れる。そしてその勢いのまま上に振りぬく。
ドラゴンの腹部に十文字の傷跡がついた。刀身が根元まで埋まり、かなりの手ごたえを得た。
「とどめは俺が! 《ヴォールパイク》」
キーヴが俺の入れた十文字の中心に、両手剣を突き入れた。
両手剣はキーヴの腕まで埋まり、ドラゴンが大きく痙攣し、確実に命を奪ったことが見て取れた。
「俺でもこれくらいの事なら出来るぜ」
ニヤリとするキーヴ。そして、力を失ったドラゴンが地面に倒れこむ。
「わ、わ、わっ、へぶし」
キーヴの下半身を下敷きにして……




