街でその1
主人公の独白というか何というか……最初よりずれてきてます。キャラが走ってるのかなんなのか……
治すつもりは無いです。失敗しそうだから。なので気にしないでやってください。
まずすることは――『走る』。
移動の際はとにかく走る。とにかくアビリティを覚えて自身を強化。
俺はマッチョ系より速度重視で行きたい。速さで翻弄するのってかっこいいよな。
「何にせよ、まずは装備を揃えないと」
そのためには、お金が必要だ。初期は1000ガル持っているが、色々としたい俺としては全く足りない気がする。
とりあえずお金を稼ぐためにNPCに話しかけた。
「すいません」
街を歩いていた女性NPCに声をかける。
「はい? 見たことない人ですね。何かごようかしら?」
「あの、初めてこの街に来たんです。買い物をしたいのですが、お金がなくて……。何かいい仕事とかありませんか?」
このゲームでは決まった形のクエストが少ない。こちらの話し方、内容によってクエストの内容から目的、報酬も変わる。
「そうなの~。ミルスへようこそ。そうねぇ……そうだわ。この先の武器屋さんが私の知り合いなの。そこで何か仕事がないか聞いてみて。メリーザからの紹介だって言えば大丈夫よ」
『チェーンクエスト《武器製造》発生』
わっちゃ……いきなり製造系のクエストか。まあいいか。とりあえず出来ることを一つずつクリアしていこう。
「ありがとうございます。早速行ってみます」
「すみませーん。メリーザさんからの紹介できたのですが」
そう声をかけると奥からひとりの女性が出てきた。
「メリーザから? 珍しいじゃないか。それで何の用だい」
「……こちらで仕事を紹介して頂けるとのことだったのですが」
出てきた女性に正直圧倒された。とにかくデカイ。女性には失礼な表現だったかもしれないが、とにかく身長が高く体も女性らしい細っそりした感じではなく、ムキムキだ。首もかなり太ましい。
「そうかい。まぁメリーザの紹介なら仕方ない。――ちょっと手伝いな」
そう言うと付いてこいと促され俺は店の奥に連れて行かれた。
そして「製造クエスト」というより「しごき」が始まった。
「甘い! そんな研ぎ方じゃなまくらになっちまうよ」
「柄がガタガタ、やり直し!」
「炉の温度が低い! もっとしっかり空気送る!!」
「そんな打ち方で何造ろうってんだい! 鉄の棒造ってんじゃないんだからね」
「何だいこの細工は……ミミズがのたくってんのかい?」
研ぎ方から始まり武器の組立、錬鉄、刀身の細工と一つ終わるとすぐ次へ。休むことなく言葉通り「叩き」込まれた俺は彼女、イアンナから合格を貰った頃にはへとへとになり、崩れ落ちたのだ。
HPが切れかけるとイアンナがポーションをかける。どんなプレイだ。もう少し続いたらマズイ方向に目覚めそうだった。
何度かシステムがアビリティなどの取得を知らせたがそれどころではなかった。今も確認する気力はない。
「ま、なんとか見れる物が出来たね。とりあえず今位の腕なら売り物になるだろうさ。思ったより筋が良いのか短時間でここまで出来るとはね。さすがに予想しなかったよ」
短時間と言うが、時間を確認したところ五時間も立っていた。報酬もらったらログアウトして寝よう。
「これが報酬だよ。何本かナマクラにされたからその分は引いてあるからね」
受け取った報酬は――金貨二枚、二万ガル。これは多過ぎではないだろうか?
「……こんなに貰ってもいいんですか?」
初期にしては多い報酬にビビっているのだがイアンナは
「当然さ。ウチはそこら辺の鍛冶屋とは違うからね。修理にしても製造にしてもそれなりの金額になるからね。金貨二枚なんて安い安い」
と豪気に笑うのだった。
「ありがとうございます。お世話になりました」
「おっと忘れてた」
お礼を言って店を出ようとしたら呼び止められた。
「コレ。紹介状だから。アタシの知り合いの道具屋と防具屋。地図も入れといたから。それとこれは餞別だよ」
小包と二振りの短めの刀をくれた。
「あんたが剣を扱う時より刀を扱う方が目が輝いてたからね。」
しごきはキツかったけどいい人だ。
「ありがとうございます。大事に使います」
そしてようやく店を出るのだった。
ログアウトして気付いたこと。
まだ二時間も経っていなかった。……何故?
調べてみたところこのVRMMOは脳波読み取り速度を上げ、体感時間を加速させるらしい。脳に負担をかけないように安全マージンを取った三倍速が限界とのこと。
つまりこっちでは一時間でも向では三時間経っているのだ。
ついでに調べた結果いくつか分かったこと。
一つ、イベントや待ち合わせなどは現実時間で行われる。そりゃそうだ。あっちでは三倍の時間が過ぎるのだから、時間指定とか難しいだろう。
一つ、ゲームの中ではゲームの時間がメインなので、通常表示の時計はゲーム内の時間。システムウィンドウを呼び出すとリアルの時間が表示されるとのこと。
一つ、睡眠中は脳波も睡眠波を出すので睡眠はログアウトしなくてもいいらしい。ただ時間経過が三倍なので八時間睡眠を取ると丸一日過ぎる。なのでクエストを受けて寝ると時間切れになるものもあるので気を付けなければならない。
一つ、生産職の生産に関して。生産の為のスキルは効率は良いが品質は一定になるため、手順を踏んで手作業の方が品質も良く人気で、売値も高い。武器や防具などはスキルメイドでなくハンドメイドが多い。
「……チカに聞いてたらまた怒られてたな。やっぱり下調べは基本だ」
結局ログインし直して道具屋と防具屋に行った。そこで自分の確認ミスというか何というか……色々有りましたよ、ええ。
――チェーンクエスト、クエストの連鎖ですよ。
武器製造の時に表示されてたやつ。なぜ気付かなかったのか。
防具屋では皮加工と防具作成そして武器の時にもやったけど細工、道具屋では調薬と合成、ここでも更に細工。細工をどんだけやらせるんじゃ! と叫びたかった。怖かったので言えませんでした。
とにかく叩き込まれた。イアンナと同じく「叩き」込まれました。
全て終わった時、外は魔素が明るさを増し夜が開け始めてましたとさ。徹夜かよ。
初めてログインしたあのときから十二時間。現実では四時間だけど、もう三日くらい寝てない気がする。
「…………疲れた……」
クエスト放棄すれば良かったのかもしれないが、クエストは受けたからにはクリアせねば。途中放棄なんぞMMOプレーヤーとして許せはせん、許せはせんぞ~。
というか、失敗とかならともかく一度逃げたり諦めたりすると悪い癖が付きそうだから。
「とりあえず製造はもういいや……。そういえばアビリティとかどうなったかな」
ユル 人
称号 製造マスター
状態
装備 直刀「無名」、直刀「無名」、デイルのコート、デイルのパンツ、デイルのシャツ、アルトの腕輪
Str 63
Vit 40
Agi 29
Dex 186
Int 42
Atk 103
Def 146
《アビリティ》
物理耐性 Lv4
走る Lv3
研ぐ Lv5
下級武器製造 Lv‐
木材加工 Lv‐
製鉄 Lv5
練鉄 Lv6
鋳造 Lv‐
鍛造 Lv7
鍛鉄 Lv7
上級武器製造 Lv1
下級防具製造 Lv‐
衣類製造 Lv‐
軽装備製造 Lv‐
重装備製造 Lv‐
裁縫 Lv8
紡績 Lv5
製糸 Lv5
皮加工 Lv5
金属加工 Lv5
上級防具製造 Lv1
調薬 Lv‐
調剤 Lv3
薬学 Lv5
合成 Lv4
分解 Lv2
抽出 Lv2
細工 Lv‐
彫金 Lv3
増えた……増えすぎだ。把握するのが大変だ。
ほとんどが製造関係なのでDexがやたらと上がった。きっと製造を続けるとすごい数値になるんだろうな。
鍛鉄や鍛造でStrが上がって、薬学とかでIntが上がっている。「叩き」込まれたので物理耐性が上昇して体力とか上がったけど何か……情けない、ね。かなりのスパルタでした。
行動とって取得したことがそのまま能力になるのは良いけど確認がめんどくさい。
アビリティの確認はあまりしないようにしよう。
初めて取ったけどこの称号はなんだろうか?
《製造マスター》製造熟練度上昇率、製造品質上昇率アップ
「おお、便利だ。……便利だけど製造はしばらくしたくないな」
装備やアビリティの表示とかそのうち変えるかもです。読みやすさと面白さ重視で行きたいと思います。……面白いと思ってくれると嬉しいですが。