合流
いきなり停電で……最近こんなんばっかりデス
ちょっと粗めですが……
ユニークも200,000になりまして……大変嬉しく思います
ちょっと怖くもありますが
これからも頑張ります
「ごめんエリザ。今日の内にやっておきたいことがあるから、皆と買い出しお願い。エルファ達にも謝っておいて。それと、これも渡しておいて」
朝起きてユルさんが顔を合わせるなりそう告げ、ユルさんお手製の『チート武器』を渡されました。
「え、ちょっと、ユルさ~ん!」
渡すと同時に宿の外に飛び出してしまいました。
多分、昨日行けなかった所に行くのだろうけど……。せめてもう少し説明が欲しいと思うのは贅沢でしょうか。
しかし、この渡された武器。皆に渡すのが少し怖い。何といってもパラメーターがおかしいです。
今まで見たことがあるのは「~+30」とかです。例えば今まで私が装備していた「オノール」。ダンジョンで見つけた物です。武器能力は
オノール
切れ味 C+ 強度 B- 重量 B 総合 B- Str +42 Vit +51
というものです。
ちなみに武器の威力は切れ味と重量によります。鈍器は重量と強度が武器の威力に比例するんです。
最終的な攻撃力は武器の総合値と装備者のstrとAgi、それに武器の熟練度によって決まりますけど。
問題は昨日の装備です。ユルさんが鑑定を覚えたときに私も覚えたので武器の詳細を見たんです。
『守護者のロングソード:ユルによって鍛えられたロングソード。仲間を護る者の力になりたいという想いの籠った一振り。切れ味 A 強度A- 重量 A- 総合 A- Str +9% Vit +13% 状態異常耐性 小』
総合がA-でもかなりの高性能ですけど、それよりステータスの上昇が%単位でしかも状態異常耐性が付いてるなんて。何処の高級武具ですか。
一度NPC売りの店で見かけたことがありましたが、B級品でStrが6%上昇で255000ガルでした。恐ろしいです。
イアンナさんも大したことないと言ってましたが、あの人達は基準がおかしいです。
「おはようエリザ。これで来てないのはユルだけね。自分で言った時間くらい守りなさいよね」
ギルドの前には、もうすでに皆が来てました。
「あ~、ユルさんは今日来れないみたいで、準備よろしくって言ってました」
伝えたとたんにエルファの機嫌が目に見えて悪くなりました。なので空かさずに例のものを渡します。
「あのっ、これ、ユルさんからです」
「何これ? 新しい装備? こんなもんで誤魔化そう何て甘く見られたもんね」
やっぱり。プレイヤーメイドは鑑定をしないと能力が解らないですから。
「取り敢えず装備してみてください。かなり驚きますよ」
「……まぁ、エリザがそこまで言うなら」
ぶつぶつ言いながらも今までの杖をしまい、新しい杖を装備しました。
さぁ、驚いてください
まったく……せっかくユルと買い物(ふたりっきりじゃないけどさ)できると思ったのに。
「取り敢えず装備してみてください。かなり驚きますよ」
まぁ、エリザがそこまで言うなら……
装備してステータスを開いて驚いた。
え? 何でこんなに上がってるの!
「ちょ、何これ! か、鑑定!」
数値が見えないってことはプレイヤーメイド。ステータスの上昇からみてかなりの逸品のはず。
「エルファ、鑑定使えたんですか?」
「まぁね。伊達に大量の本を読んでないわよ」
『エルファの杖:一人の魔法使いの為だけに造られた杖。ユルの愛を感じる逸品。 切れ味 E- 強度A- 重量 C+ 総合 B Int +11% Min +9% 火属性 +27% 風属性 +12% 各種魔法効果 +3%』
杖の能力も凄いけど、
「エル、ファの、杖……私だけの」
ユルが、私だけの為に造った杖なんだ。それが、一番嬉しい。
「……しょうがないわね。今回は大目に見てあげるわ」
「ねぇ、私には無いの?」
「ティアにも在りますよ」
「やたー。ユル君ラブ!」
……何か、台無しだわ。
「いや~、いいものもらったし、そろそろ行こうか」
ティアも新しい装備に替えている。
「ん、もう少し待って。実はあと二人程来るんだ」
「前にユルさんが言ってた、キーブさん、でしたっけ?」
「キーヴ、ね。そのキーヴが後もう一人連れてくるって。信用は出来るってさ」
「あ、あの二人ですか?」
「え? あ、そうそう……って、うわ」
キーヴの言うもう一人って……
「よっしゃ、完成~」
デイルさんとアルトさんの所に行く前に貸し工房で、あるものを製作中。朝の内に終わらせたいと思ったけど、意外と早く出来た。
昨日、イアンナさんの所で《鑑定》を覚えて色々鑑定してたら、意外なことがわかった。
それはイアンナさんの工房の道具。製作者はイアンナさんで、Dex45%上昇の効果付。
ということは、裁縫に使う針も、彫金や細工に使う道具も出来るんじゃ……。
そう思ってやってみたら、出来ました。『名工の鎚』と『針子の裁縫具』、『匠の彫刻刀』『匠の細工道具』ついでに『製造者の作業着』。全部Dex15%上昇の効果付。 上級製造のレベル低いから、《瞑想》で集中力上げて内気功で手先の繊細さを上げて、漸く15%の付与が出来た。イアンナさんの域には遠いな。
造った道具使って作り直しても良いけど、今はそんな時間ないしね。
ちなみにステータス付与がDex依存なのは、付与方法が細工だから。細工は金属や木製なら彫金や彫刻、布などなら縫込みになる。
エーテルなのか魔力なのか謎だけど、イメージを持ちながら細工をすると付与される。
特に決まった形は無いけど、strなら鋭角的な模様を、Vitなら模様が六角形に見えるように。Agiなら曲線を多用し、Dexなら完成した模様が円に見える様に、などだ。
その細工の美しさと細かさで性能が変わるのだ。
状態異常や耐性、魔力増幅なども色々在るが、完成した物が美しく無いと全体的に能力が落ちるので、詰め込みすぎは良くない。
取り敢えず今回のことで、内気功が筋力の強化以外にも感覚を研ぎ澄ませる事に使えることが分かって良かったよ。
いや、前に聴覚が強化出来た時に気付けよ、俺。
まぁ、五感が強化できても、手の強化は純粋な握力だと思ってたしな。仕方ないよね。そう言えば味覚強化したこと無いな。
味覚強化とか、美味いもの作るのに役立ちそうだな。一口食べて「こ、この味は!!」とか。ハハ、○王かよ。
でも、味○のじいさんなら味覚強化の為だけに気功の修行とかしてそうだ。
って、どうでもいい話だな。
デイルさんの所に行こう。
デイルさんは、ヒョロっとした風のオジサンだ。
「おや、ユル君。お久しぶりですね。どうしたんですか?」
「お久しぶりです、デイルさん。今日は挨拶と少し聞きたいことが」
聞きたいことは、以前作った装備にステータス付与出来るかだ。
「そうですか。まあ、とりあえず奥へどうぞ」
「そうですか。出来なくはないですが、後から細工は効果が低いですね。やはり一から作ったほうがいいですよ」
「そうですか。後からだとどれくらいの効果になります?」
「そうですね……だいたい二割から三割の性能、ですね」
それだと今の俺の技術だと2%から5%位か。ちょっと頂けない。
「なら一から作り直すかな……」
「工房、使いますか?」
「借りてもいいですか?」
「勿論。ただし、条件もあります」
デイルさんの条件。二つ、魔蚕の繭を使うこと。
魔蚕は魔素の濃い所に住んでおり、月光樹という、魔力の宿った樹の葉を食べる。そして、身に魔素を溜め込み、その魔素を繭を作る時に糸に含ませ、天敵の攻撃を防ぐと云う。その為、その繭から作る糸は強度と魔力耐性が高い。そのかわり加工がしにくい。
普通は湯などで解すのだが、この繭は湯では解れない。魔力をゆっくり与えながら解すのだ。ただし、魔力が弱いと解れず、魔力が高いとボロボロになってしまう。
もう一つは銀糸を細工に使うこと。
銀糸は言うまでもなく目立つ。なので下手な細工をすると見た目が非常に悪い。
普段はひょろっとして頼りなさげなのに、製造の事になると鬼と化す。ギャップが余計に恐ろしい。
魔蚕の繭を使えと言われるとは思ってもみなかった。御陰で製糸だけでかなりの時間をくった。
造ったのは『栄光騎士のコート』『栄光騎士のインナー』『栄光騎士のパンツ』『栄光騎士のブーツ』『栄光騎士のグローブ』だ。ちなみに命名はデイルさん。いつもながら恥ずかしい名前だ。ちなみに同じ名前なのは素材と細工の模様が同じだから。
施した細工はAgi+7%とVit+6%、魔力抵抗+6%と状態異常耐性小だ。ブーツだけには『シャインヘロンの羽』を使用したためAgi+19%が出来た。
使用したのが銀糸でなければ目立たないからもっと付加出来たのに……。曲線を使った六角形の模様ってやりにくい。所々に角が付いたのでAgi効果下がったし、Strが付くほどの角じゃないし、微妙。
とりあえずデイルさんの眼が光ってたのでデザイン重視で行きました。なので確かに『栄光騎士』の装備と言えなくはない。シルクは黒く染めせて頂きました。俺は黒と赤が好きなのでね。銀糸も赤く染めた物とそのままの者を使った。
コートの背中には騎士団の紋章の様な細工がしてある。コレ、着るのちょっと恥ずかしいかも。
その後、アルトさんの所にも寄って、回復アイテム等を作ったり補充したりして、エルファ達と連絡を取った。
流石に時刻は夕刻。買い物は終わったので、一旦食事を取りつつ明日の予定等を話をしようと言うことに。集合場所はギルド。ってことはギルドの食堂かな?
「悪い、遅れた」
「遅い。皆はもう中に居るわよ」
遅れたと言っても十分位だけど。
「悪かったよ。中、入ろうぜ」
皆が居るテーブルに近づくと懐かしい顔が。
「よう、ユル。久しぶりだな」
「キーヴ、どうしてここに?」
「昨日、偶々見つけてね。私が呼んだの」
「そう云うこった。そんで、ユル。お前さんにお客」
「俺に客?」
誰だろうと思ったら、横からいきなり抱きつかれた。
「お久しぶりです。兄さん」
「兄さって、お前ミコ!?」
「ドッキリ成功です」




