馬の背中で船を漕ぐと落馬する
サブタイトルは全く関係ありません
そして何時ものごとく短いです、ハイ
そろそろ街に戻りたい頃です
ユル君に女を抱いてもらいたいですね
馬の背に乗って村への帰り道。一応出発前に鞍やら馬銜やらを準備しておいたので早速馬に装着してある。
他の三人も同様に騎乗の人となっているが、馬の気がそぞろで気を抜くとはぐれてしまうらしい。現にティアが何度かはぐれそうになっていた。
「お前も名前を決めておかないと不便だよな」
馬の名前、といわれて思い浮かぶのは『赤兎』とか『松風』とかか? 有名どこだし。でもコイツは鹿毛では無いので『赤兎』はないな。
俺の乗っている馬は全身真っ黒。色だけで言うとエリザの馬と一緒だが、エリザの馬より一回りくらい大きい。
黒くて大きいとは……やるな。口に出しては言えないけどね。女性陣に何を言われるか分かったもんじゃないし。ギャグって言っても通じないだろうしね。
冗談はさておき、中々に格好いいお馬さんなのだ。いい名前をつけたい。
ちなみにエルファの馬は「シルバ」。白いし、馬と行ったらこれでしょ。だそうだ。別に文句は無いよ。ほんとに。
ティアの馬は「ブラオ」で、エリザの馬は「ゲルゲラ」となった。
「そうだな……カイザー、でどうだ?」
馬は首を上下に何度か揺らした。了承、だと思う。
「よし。よろしく、カイザー」
森から出て村が見えるとこまで来たとき、前方にバンデットの群れがいた。村を襲うつもりなのか分からないが、見える範囲に居ると言うことは戦闘になる確率が高い。放置して村を襲われても厄介だ。
となると先手必勝。少し馬を止めてみんなに確認する。
「目の前に見える奴ら、狩るつもりだけど、どう?」
「いいんじゃないの。襲ってきても面倒だし」
「そうそう。数も少ないし、ちゃちゃっとやっちゃおうよ」
エリザも頷いて了承する。
「よし、じゃあ奇襲!」
馬上から弓を引いて発射。それと同時に馬を駆る。一匹は奇襲成功で一撃で沈んだ。それによりこちらに気づいた群れが反転して駆けてきた。
馬を駆りながら次々と弓を射て掃射をかけるが、一撃で倒れるものは少ない。六本ばかり撃ち込んでから武器を変え、敵の中に突っ込む。
馬上での戦闘は初めてだが、牧場での事を思い出せ、と自分を励まし左右の刀を振る。
左右から飛び掛って来たのを上から振り下ろし、両断。すれ違いざまに薙ぎ払い、腹を切り裂く。正面から馬を狙ってきた者を突き殺し、後ろに回った奴をカイザーが蹴り殺す。
馬の突進に任せて弾き飛ばし、踵を返しまた突っ込む。その間も左右の刀を振り数を減らす。ふと気付くと、動くバンデットは居なかった。
なんだか呆気ないな。そう思っているとみんなが寄ってきた。
「ユル君、何かえらく強くなってない? あっという間だったよ」
「何で両手放して落ちないのよ」
「どうやったらそんな風に馬を操れるんですか?」
一気に聞かれても答えれんわ。
「あ~、質問は後で。コイツら解体して素材とってささっと村に行こう。腹減ったし」
教えることも多そうだし、一先ず村に戻ってからだ。
「馬での戦闘って難しいよ~。バランス取るのも難しいし、馬が怖がって動かないし」
食事を終えてから、宿の部屋でティアが切り出した。
戦闘の後、色々聞きたかったんだろうけど食事のあとでね~、と言っておいたのを守って今まで聞かなかったのだ。御陰でしっかりご飯食べました。ケプッ。
「それで、何か聞きたいことは?」
そう聞いたら、三人同時に話し出した。
「はいはい、順番にね」
「じゃあ、まず何で両手放して落馬しないの?」
「それと、どうやったらあんなに馬が云うことを聞いてくれるのか、です」
「そんでもって、えらく強くなってる気がするんだけど、気のせい?」
エルファとエリザの問いにはペイドさんに聞いたことを話す。
「なるほどね。それで一週間くらいずっと牧場に居たって言ってたのね」
「では練習と仲良くなることが課題ですね」
「そうなるね。まあ、接し方と後はひたすらに乗るだけだから。そんなに難しくはないしね。頑張って」
「ねぇ~、私の質問~」
「はいはい。強くなったっていうか、新しいアビリティを三つ程覚えたからじゃないかな。エーテル関係で気功にも影響してるだろうし。それでじゃないかな」
当然三人に教えて、と言われ教えるが、瞑想とイメージトレーニングは覚えたが小周天は覚えられなかったようだ。おそらく何かが足りないのだろう。
「要修行、だね」
そう言ってみんなで寝るまで瞑想とイメージトレーニングに励んだ。
しかし、女性と同じ部屋に居るといい匂いがして、俺だけ妄想と自制トレーニングになってしまったけど。




