旅路6
遅れました。
感想ありがとうございます。
そしてお知らせです。
意見等をもとに何度か後付け修正みたいなことをしましたが、作者の考えなしなので余計に齟齬が出たり、粗がでました。
なので、意見などは参考にはしますが後付け解説などはしない方向で行きます。
大筋を変えずに修正できるところはします。
これからも皆さんが楽しんでいただければと思って頑張っていきます
とりあえず休息を終え、再び進み出した俺たちは特に戦闘らしきものもなく順調に進むことができた。
「今日はそろそろ休まない?」
エルファがそう言った時には魔素の輝きも薄くなり、月の蒼白い光りが強くなり始めた頃だった。
「そうだね。戦闘自体は少なかったけど色々あったし。ご飯準備してここで野営しよう」
俺より経験豊富な二人の意見に反対することもない。賛成してテントの準備をする。いや、しようとしたところで声をかけられた。
「ユル、あんた料理は?」
「ん、出来るよ。まだレベルは低いけど」
一応リアルの方でも自炊してたからレベル低くても味はちゃんとしている。味覚のアビリティ、正確には《料理人の舌》も修得してるし。
「じゃあユルとティアが料理担当で。私とエリザで野営の準備するわ」
「二人は料理しないの?」
「……私の料理を食べたいの?」
エルファの手料理を一度だけ食べたことがある。中学の時の家庭科の授業で同じ班になった時だ。その時、同じ班のメンバーで共通の認識を得た。
エルファに料理をさせてはいけない。
「こっちなら大丈夫と思ったんだけど」
そう言ったエルファをティアは残念そうに見つめ、エリザは仲間意識をもって見つめている。
つまり二人は同類ということだ。
「……遠慮させていただきます。こっちは任せてくれ」
「よろしく。……何でこっちでもみんな不評なのよ」
エルファはブツブツ言いながらエリザと準備に向かう。
エルファの料理、それを一言で言うと宝くじだ。当たりもあればハズレもある。厄介なのは見た目は同じ、という点だ。同じ料理を作っても当たりとハズレが存在する。何故か。それはエルファの味覚にあった。
エルファは味覚音痴と言うほどでもないが、『美味い』の振れ幅が大きいのだ。他の人が『不味い』と感じてもエルファには『美味い』、エルファが『まぁまぁの味』と感じれば常人には『かなり不味い』と感じ、エルファが『不味い』と言うものは食べ物として成り立たない気がする。
他の人の料理を初めて食べて分かったのだが、このゲームの料理はレベルが上がっても味が良くなるのではなく、料理に付属する効果や鮮度持続時間が上昇するらしい。味はアビリティの味覚がモノをいうらしく、現実で味音痴だと《料理人の舌》が発生しないらしい。ちなみにこれと同じもので《絶対音感》なども在るらしいので、現実の能力とリンクする物が他にもありそうだ。
料理は今日の昼のシャインヘロンの肉を使ったスープと簡易焼き鳥もどきだ。肉としてのランクが高いのか耐久値が結構あったが折角だったので調理してみた。もちろんまだ大量に残っているからカヴァーロで残りを売るつもりだ。
「焼き鳥ウマー。塩であっさりヘルシー、振った香草もバッチリだね」
「意外と柔らかいです。中々のものですね」
料理というには簡単なものだったけど概ね好評だ。
「パンもちょっと硬いけど、スープに浸して食べると柔らかくなるし、味が染み込んで美味しいわ」
エルファの美味しいは少し怪しいけど、皆も同じことを言ってるので本当だろう。
「ん~、食べた食べた」
結構な量の肉を焼いたはずだけど跡形もなく、四人のお腹に入ってしまった。哀れな鳥さんだ。
「一応予定通りだとして、後二日か?」
ペイドさんは三日歩いた所って言ってたけど、歩いて三日なのか、三日歩いて四日目になるのか……。もっとちゃんと聞いておけばよかった。
「あんまり交流とかもないみたいですね。ここまで来るのに道と言えそうな道は無かったですし。少し不安です」
全く無いというわけではないだろう。今までも獣道よりちょっとはマシ、という程度の道はあった。やはり、ここ最近はほとんど交流がないのだろう。とはいえ、現実より大型の動物が多いこのゲームだ。真実、ただの獣道の可能性もあるが。
「一応方向的にはあってるよ。余裕を持って三日後に村に着く、と思ってたらいいと思うよ」
「でしょうね。今から不安がっても仕方ないわよ、とは言っても気持ちはわかるけどね。私達だけじゃなくほとんどの人が道なき道を進んだことないもの。どうなることやらね」
そう言うと、ん~、と伸びをしてエルファはさっさとテントに向かって歩いていく。
「私先に寝るわ。最初の見張りよろしくね。二人一組みで……一時になったら交代にしましょ。組み分けは適当にやっといて。ふぁあぁ、おやすみ」
まさか早々に寝に行くとは。自由すぎる。
テントに消えたエルファをちらっと見て、俺たちはため息をついた。




