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最初の方なのでかなり説明臭くて申し訳ないです
指摘等有りましたら遠慮なくお願いします
『《new life》手に入れたぞ。すぐに追い付いてやる』
ケンとの約束時間に近づいてきたことで俺のやる気は再び燃焼を始めた。
その勢いで例の幼馴染みに宣戦布告のメールを出した。が、その返事は
『そうなんだ。おめでとう~。中で待ってるから後で会おうね』
というもの。半年前に散々自慢してきたので今回も挑発してくるかと思ったのだが拍子抜けだ。
まあ待つこと言うのだから後で声をかけておこう。ログイン時間だけ知らせておいた。
ついに来た約束の時! なんて楽しみ過ぎてテンションがおかしい。大学生になっても心は子供。童心忘るべからず。いい言葉だ。
ヘッドセットを着けてベッドに横たわり準備完了。
「さあ。第二の人生の始まりだ」
目を開けた先にあったのは――
「綺麗だ……」
美しい街並み溢れる他種族の人、そして蒼白い輝きを放つ大きな月。
始まりの国ミルスは夜の支配する国、欠けることのない月が魔素を活性化させ幻想的な明かりを造り出す。
そんな世界に魅入っているといつの間にか横に人が立っていた。
「すげえな……」
そう言って俺と同じく世界に魅入っている青年は、髪の色と瞳の色こそ違うが俺のよく知る人物だ。
「ケンか?」
「てことはやっぱりユウか」
そう言ったケンは俺をじろじろと眺めている。
「……なんだよ」
「いや、相変わらずの美少女っぷりだねぇ。性別判断がスキャナー任せだと確実に女性アバだぜ」
かっかっか、と笑うケンを軽くにらんで言う。
「うるさいな……俺だっていじろうとしたんだよ。……あの『膨張率』でエディット意欲が削がれた」
肩を落とした俺にケンもどこか遠くを見つめた。
「あれには俺もやられたぜ。ナニのサイズを自分で決めるとか……情けない」
現実では大きい方がいいがゲームで大きくすれば現実で落ち込む。
俺はそこまで強くない。精神的に。
二人の容貌はというと、俺は銀髪でショートカット。細めの輪郭でわりとくっきりした二重の奥の瞳はアメジストの様に輝いている。小さめの口の小顔は確かに美少女と言える。現実はもう少し男っぽいぞ。
ケンの方はというと、ピンクかかった朱でウルフヘア。角張ることのない輪郭に切れ長の目。瞳は髪と同じくルビーの様だ。口元はややニヤついているが中々の美形だ。
「とりあえずステータス確認とフレンド登録しておくか」
「そうだな『ステータスオープン』」
目の前に自分のステータスが表示される。
ユル 人
称号
状態
装備 布の服、綿のパンツ
Str 2
Vit 3
Agi 3
Dex 3
Int 2
Atk 5
Def 6
「初期だしな、こんなもんか」
「じゃ俺も『ステータスオープン』」
キーヴ 人
称号
状態
装備 布の服、綿のパンツ
Str 3
Vit 3
Agi 2
Dex 2
Int 1
Atk 5
Def 6
「ユウのと違うな。ランダムなのか」
「みたいだな。あとゲームの中じゃ『ユル』で。じゃあフレンド登録しますかね」
「オッケー、俺はキーヴで。」
拳をコツンと当てて笑い合う。そこに
「お? ユウとケン?」
俺たちの幼馴染によく似た女性が立っていた。
「そうだけど……チカか?」
「そうだよ~。久しぶりだね、終業式以来?」
耳が尖っているのはエルフなのだろう。髪はくくってポニーテールにしている。薄いグリーンの髪とブルーの瞳以外はどう見てもチカにそっくりなのだが。
「「胸がある!?」」
見事にハモった俺達にチカの拳骨が落ちた。
『ピンポン。アビリティ《物理耐性》修得』