旅路5
すみません
遅くなった上に、今回は設定の補強? 的なものです。ストーリー進展はありません。
多くの方に設定の甘さを指摘されたので……
とはいえ今回の補足でもかなり無理矢理感を感じると思いますがご了承をいただければと思います。
次回からは話を進めていくつもりです
感想や評価をいただいてありがとうございます。
批判も含め嬉しく思いながら読ませていただいています。
皆さんの期待に答えれるよう頑張っていきたいと思います
「ところでユルさん。気功って他に知ってる人いないんですかね? 掲示板とかにも情報乗ってなかったと思うんですけど」
エリザの質問には俺も疑問があった。掲示板は武器とか以外はそんなに見てなかった(見てると早くプレイしたくて我慢できないから)ので知らないけど「自分だけが」とは思えない。
「流石にそれはないと思うよ。皆も持ってると思って書いてないか何かじゃないのかな」
実際、俺は他のみんなも修得していると思ってたし。
「そう言えば、そもそも掲示板にアビリティの詳細とかってあまり載ってなくない?」
「言われてみれば……そうかも。なにか制限でもあるのかな? 掲示板とかって読むことはあるけど書いたことって無いかも」
「あ、それは私もだわ」
「私もですね」
俺たちは掲示板書込み未経験者でした。このゲームの掲示板にどんなルールがあるのかよくわからん。
「ちょっと落ちて書き込んで来てみようか?」
ちょっと提案してみる。書いてみれば分かることだから。でも、いちいちログアウトしないと掲示板を利用できないのは不便だ。もしかしたら書き込みの少ないのはこれに原因があるのか。いや、流石にそれはないか。
「ん~……それも良いけど、その前に人に聞いてみましょう」
人に聞く? 誰に聞くんだろうか。顔に出ていたのかエルファが続けて説明してくれる。
どうやらこのゲーム、サポートシステムがあって内容にもよるが運営側と直接連絡が取れるらしい。なんて便利な。なのに掲示板は見れないとか変なゲームだ。
それにわざわざ一度ログアウトすると、ゲームの中では結構な時間が経つ。それなら、聞いてから行動してもいいとのこと。
「んじゃ呼ぶね。『サポート』」
エルファがそう口にすると、ウィンドウが表れ、オペレータ風の女性が出てきた。
『ゲームはお楽しみいただいてますでしょうか? こちらはプレイヤーの疑問にお答えするサポートセンターです。攻略情報等はお教えできませんのでご了承ください。私は担当の狩野亜希です』
笑顔が素敵な狩野さんだ。
「すいません、早速なんですが掲示板とアビリティに付いてお聞きしたいんですが」
『はい。掲示板とアビリティですね。どんな内容でしょうか』
俺たちは掲示板にアビリティの情報が少ないことや、気功のアビリティの事等を説明した。
『なるほど。気功のアビリティを修得されたのですね、おめでとうございます。まず、気功についてお話します。気功のアビリティは自然取得がメインとなります。これは気功等は《修行により修得できる物》という現実、及び漫画や小説など情報に基づいた設定です。ゲームを進めていく上で魔法の情報は必要不可欠になりますね? そこからエーテルを学び、さらに自分でコントロールし強くなろうとすると修得可能です。しかし、これだけでは誰も気づかないかもしれませんよね? そこで二次策として、人に教わる、という方法も追加しました。修得している人に話を聞き、教わることで修得できるというものです。これにも条件はありまして、まず求めるのはNPCに話をする、ということです。このゲームは現実世界を目指しております。よってNPCをただのモブと思わずに貴重な情報を持つ《人》として接し、会話することで様々な情報を手にすることができるように設定されています。その条件に従い、会話をして《気功、または魔法》に付いて聞くと情報を教えてもらえ、修得することが出来ます。また、修得した人が《自発的に》教えることで習得も可能ですが、今現在アビリティの情報はゲーム内ではかなり高価なようで自発的に教える人はあまり居ないようです。今現在、気功を修得された方は全体の二割、自然習得された方は十三人、位ですか。
次に、掲示板についてお話します。まずお気付きと思いますが、このゲームは会社の方針で《現実的》という点を追求しています。なので掲示板等に書き込みをされる情報は私達が二十四時間体制で管理しております。ゲームに付いての情報収集はゲーム内で行なって欲しいという願いからです。それにより先ほど言ったような修得条件などを記載するにはそのアビリティをプレイヤーの七割近く――物によっては五割の物もありますが――が知るものに限られます。ただ、街の位置などについてはその限りではありません。なのでお話の通り《気功の情報》を書き込むとこちらで掲示板から削除した後、今話したような情報をアカウント宛に発信致します』
以上でよろしいでしょうか、と言う言葉と共に長い説明が終わった。
「あの、ゲーム内で人に教えるって事はないんですか?」
エリザが質問する。確かに、俺も三人には教えたしね。
『無いこともないですがごくわずかですね。アビリティで成長する特性のあるこのゲームは、他人のもってないアビリティを修得すると他人より戦闘能力等が上がります。これによって生まれるのは《優越感》です。他よりも高い能力を持ち、パーティなどを組んで人から頼られる。それにより、自分が強く特別であると感じる人もいます。力に溺れるているとも取れますが……そんな人が他の人に情報を教えることはまず少ないですね。例えば気功ですが、これを修得している人のステータスはこっちに入ってる情報で2000に届くとこまで来ています。この方は力に溺れることなく、自分の考え等をもってゲームを楽しんでいますが、少数派ですね。大多数はご存知かもしれませんがギルド《騎士協会》のギルドマスターの様な方達です』
《騎士協会》と聞いた三人は一様に顔をしかめた。
「《騎士協会》? 俺知らないけどどんなの?」
「一言で言えば下衆です」
「いくらジョブが騎士でも名乗って欲しくないね」
エリザとティアの評価が結構辛口だった事に驚いた。そこまでの輩なのか。
『苦情がかなり来てます。ただギリギリの引き際を心得ているのでこちらも強引なことができないでいます。ステータス的には1100平均ですがそれでも全体で見ればトップレベルに入るのでPKペナルティ覚悟でかかっても中々勝てる人がいません。返り討ちにあうのが関の山です。アビリティの情報公開をしたいところですが先ほど言った様にこっちにも方針があります。そうそう方針変換もできないのです』
すごく疲れた表情で語る狩野さん。苦情とかかなり多いんだろうな。
『……話がそれましたね。各アビリティは公開条件を満たせばこちらから掲示板に随時載せていきます。ゲーム内で知り合いに広めるのは構いませんので。他に質問等ありますか?』
顔を見合わせたが誰も何も言わないのでありません、と答えた。
『そうですか。またなにかありましたらご連絡ください。それではこれからも《新しい人生》を楽しんでください』




