念願の《new life》
よくわからないまま書いてます
指摘も多々あると思いますがよろしくお願い致します
前代未聞のVRMMO|《new life》（ニューライフ）
そう言われつつも多くのプレイヤーがのめり込んでいる
その理由は――リアリティー
剣と魔法のファンタジー
モンスターを倒しマップを開拓し世界を切り開く
そんなありふれたゲームの人気の訳は……
夏休みに入って一週間。リビングで立ったり座ったりと落ち着きのない青年。俺である。
インターホンが鳴り来客を告げる。
今か今かと待ちわびていた俺は握り締めた印鑑を持って玄関へ駆けた。
「キター！」
待ちに待ったVRMMO《new life》のソフトとヘッドセットだ。
半年間待ち続けた俺に興奮するなと言うのは無理な話だ。
俺は携帯を取りさっそく連絡をとる。
『もし……』
「ケン！ キター!!」
興奮しすぎでテンションが上がりきっている俺は相手が電話に出た瞬間にまくしたてた。
「《new life》きたぞ！ ケンのとこはまだか？ まだなのか？ 先にいくぞ」
『ちょ……待て！ 一緒にって約束だろ!? ってかマジか？ マジで来たのか!? 俺んとこはまだ』
電話の向こうでケンこと健次は焦ったように応えるが電話からインターホンが鳴った。
『ガタン』
とたんに耳障りな音がして俺は顔をしかめた。
「……おい、ケン？」
無言の時間が過ぎ、そろそろ切ろうかと思った頃。
『……ぉぉぉおお！ キター!!』
俺より遥かに興奮したケンが鼻息荒く叫んだのだ。
幾分落ち着きケンとログイン時間を決め電話を切った。
「ついに、ついに《new life》がプレイできる」
長かった……本当に長かったのだ。
心情的には斜め上を向き、涙を流しながら両拳を握りしめる。男泣き。実際にやったけど。
βテストの抽選に漏れ、公正を期すための初期発売の抽選に漏れ、正式オープン記念のプレゼント抽選に漏れ……
システムのアップデートと機器のヘッドセット化に伴う第二販売に漸く手に入れたのだ。
半年早く始めた幼馴染みが自慢してきた時には本気で殺意を抱きそうになったものだ。
「さってと。時間までにアバ作らないとな」
ちなみにこのゲーム、性別は基本変更不能だ。
実はこのゲームは十五禁指定と十八禁指定がされている。
購入登録時に身分証明書のコピー送付義務がある。
何故そこまでするのか。それは購入時、購入後に十八歳を迎えると制限解除され、性行為、つまりsexが可能なのだ。
開発者は何を考えて居るのか……リアリティー求めすぎだろと突っ込みたい。
勿論お互いの同意がないと不可能である。
その為セクハラ行為、痴漢、過度なナンパ行為など女性が嫌がる行為を行うとセキュリティシステムによりペナルティーを受ける。そしてそれは掲示板にも掲載される。
そこまでするか、とも思うがそのお陰で女性プレイヤーも多い。
ついでに登録時に診断書などを提出すると性別変更可能だ。なので性同一性障害の人たちにも人気である。まさに|新しい人生（newlife）
話題閑話
「さてさて名前は《ユル》っと」
これはいつも俺が使うキャラネームだ。優人の優をユウとスグルと読んで最初と最後を合わせてユル。命名幼馴染み。
『スキャンしますか？Y/N』
「勿論イエス！」
俺は今までスキャンするゲームをしたことがなかったので実は楽しみだった。
『服を脱いでヘッドセットを装着してください』
スキャンで服を脱ぐのは抵抗があったが仕方ない。
俺は下着姿になりヘッドセットを着けenterを押す。
ヘッドセットからシールドが降り
『ヘッドセット右側のスキャナーを外し左足元に置き、enterを押してください五秒後にスキャンを開始します』
俺は言われた通りにしenterを押した。 すると足元のスキャナーが体の周りをゆっくり回りながら浮き上がる。
一分ばかりかけて元のヘッドセット右側に納まった。
「すげえ。こうやってスキャンするのか」
感心していると『ビー』と音がなった
『エラー。服を脱いで再度スキャンしてください』
「全裸かよ!!」
スキャンし終わったキャラクターをさらにエディットする。
種族は少なく『人間』『エルフ』『ドワーフ』『獣人・犬』『獣人・猫』の五種。
『人間』は特色がないのが特徴で、意外に多い。『エルフ』は魔法関連のアビリティを取得しやすくステータスも伸びやすい。『ドワーフ』は鍛冶などの製造系アビリティを、『獣人』は敏捷が関係するアビリティを得やすく『獣人・犬』は集団行動、『獣人・猫』はソロプレイ向きのスキルを取得しやすい。
《new life》ではアビリティを取得し、鍛えることによってスキルを取得できる。アビリティ構成によりジョブが決まるのである。
ここで《new life》の特徴を説明すると、他のMMOなどと違いアビリティを選択して取得するということができない。このゲームではアビリティ、スキル、ジョブは取得するのではなく修得するのだ。さらにステータスも行動により上昇する。
つまり、『走る』ことを続けるとAgiとVitが上がり規定値を超えるとアビリティ『ダッシュ』を覚える。戦闘などの経験値でレベルが上がるのではなく、行動によりステータスを伸ばし、自信を強化する。このゲームの人気があるシステムだ。
追求されたリアリティ。自分の行動により自分が成長する。まあゲームなので成長速度は現実よりはるかに早いが。
ジョブはステータスの上昇値にボーナスが付くのが特徴で上級職になればその分ボーナスも上がる。上級職になるほど条件は多くなる。例えば《剣士》と《騎士》。剣士は『剣術』があればなれるが、騎士には『剣術』『馬術』『槍術』『盾さばき』などに加え必要ステータスも決められている。
各ジョブに必要なアビリティ構成や要求ステータスは隠されており、それらも人気の秘密である。
ともあれキャラエディットだ。
「俺はやっぱり『人間』でいこう。……え゛」
種族選択後のキャラを見たらげんなりした。
スキャンしたので俺自身と同じというのはわかるが何故全裸……。
しかも調整パラメータに『膨張率』というものがあり何かと思っていじってみた。
もう、なんか……キャラを作る意欲が消え去った。
サイズが変わるのだ。…………息子の。
そりゃ年齢規制もかかってるし、使用することも出来るけど、ここまでやる必要があるのかと言いたい。
俺は考えるのを放棄してキャラ作成を終えた。
